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祝祭、あるいは文学同じく『D STYLE』掲載の写真より。「ダンディズム」の自筆原稿か。 生田耕作反故原稿 http://sumus.exblog.jp/14800128/ 某氏より『D STYLE』とともに『新潮』二〇〇四年八月号のコピーも頂戴した。それは坂井輝久「祝祭、あるいは文学 鷹峯閑人生田耕作没後十年」と題された回想記である。坂井氏は生田耕作の一番弟子ともいうべき人物。 生田の住居についてこう書かれている。 《民家が並ぶ中に、ベージュの壁の四角い家が見えてくる。お世辞にも瀟洒なとか、粋なとか、そのような修飾語のどれもがつけがたい、一見してプレハブと分る家。私はこの家にどれだけ通ったことであろう。平成六(一九九四)年十月二十一日未明、フランス文学者、生田耕作はこの家で亡くなった。》 《この家は誰が名づけたか知らないが、俗に「セリーヌ御殿」と呼ばれた。昭和三十九(一九六四)年、生田耕作は卑語俗語を吐き捨てるように書き連ねた難解な文章の『夜の果ての旅』を足掛け三年かけて翻訳し、中央公論社「世界の文学」全集の一冊として刊行した。》 この中公のセリーヌは小生も面白く読んだのでよく覚えている。第一次世界大戦の雰囲気が如実に伝わってくる始まり方、逃亡するように落ちて行った暗黒アフリカの描写も新鮮だった。生田訳で感銘したのでガリマールのフォリオ版もかじってみたけれど、セリーヌ、したたかに上手い文章である。 《当時、出版界は全集ブームで、この翻訳の出版によってまとまった印税が入ったことは間違いないが、鷹峯の新居を「セリーヌ御殿」と呼んだのには多分にやっかみもあってのことであったろう。いまは二階建てに増築されているが、最初は平屋のささやかな家であったと聞いた。》 昭和四十三年に京大へ入学した坂井氏は友人に連れられて生田のサロンへ加わった。 《サロンは何の予告もなく突然始まる。場所は大方、百万遍の北にある喫茶店「学士堂」であった。生田耕作は名うての休講魔である。新入生相手のabc(アベセ)から始まる語学講義が面白い訳がない。いくつもの翻訳の仕事を抱えて、大学への出講は最少日数の最短滞留時間を心がけることになる。掲示板にしばしば休講の張り紙があった。それでも講義があると、目ざとく見つけた先輩諸氏が授業潰しに襲い掛かる。教室の廊下から、手を振り、コーヒーミルをギリギリ回す仕種を大仰にやる。》 《「文学は教室で教えられませんよ。お勉強で小説を読むわけじゃなし」 生田耕作がこう言うと、喫茶店内の幾つものテーブルからイスを寄せてきて取り囲んだ学生たちが「そうだ、そうだ」とばかり応じて、止めどもない話が沸き起こる。レーモン・クーノーがどうの、ブレーズ・サンドラールがどうの。》 《集まった誰彼がよんどころない用事で一人立ち、二人立ちするのを潮にサロンは解散となる。このとき、抜け目なくそっと生田耕作の顔色を窺う。去っていったあとで、誰かがいう。「きょうは『ゲリラ』だ」。三、四人が「よし、行こう」と応ずる。「ゲリラ」というのは、京都祇園の縄手通を四条から少し下ったところにある「ぎおんビル」五階スナックである。この勘が結構当たる。生田耕作が現れるのである。こうなったら、サロンの再開、酒が入って祝杯に次ぐ祝杯、一気に祝祭は最高潮になる。》 と、このように引用をしていてはキリがないが、生田耕作を取り巻く一九七〇年前後の空気がじつによく伝わってくるように思う。 一九七二年に生田は京都を離れ神戸に住む。『バイロス画集』摘発事件を経て、京都に戻るのは八七年である。セリーヌ御殿はこの転居を機に「双蓮書屋」「双蓮居」と名付けられ、江戸後期漢詩への傾斜があきらかとなる。神戸時代から「敗荷」と号していたが、さらに鷹峯閑人(おうほうかんじん)、鴨東酔史(おうとうすいし)という別号を用いた。 《後から聞けば、もともと江戸の戯作文学を愛読してきたが、いつか日本の文人の漢詩文も耽読してみたいと思っていたところ、市島春城の旧蔵書を受け継いだ蔵書家の練木準のコレクションなどが一括して古書店に出たので、この際、もう後戻りできないよう踏ん切りをつける意味で購入したという。「何かやろうとするときは、君も絶対逃げられないように自分を追い込むことだ」。親切な教訓付きで話してくれた。》 なんとも過激な……。
by sumus_co
| 2013-05-02 20:52
| 古書日録
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