
「日の名残り The Remains of the Day」(ジェームズ・アイヴォリー監督、一九九三年、カズオ・イシグロの同名小説の映画化)を久し振りに見た。おおよそのストーリーは記憶していたものの、細部はすっかり忘れており、楽しく見られた。
「チャリング・クロス街84番地」で古書店の番頭フランクを演じていたアンソニー・ホプキンズがここでは忠実な執事スティーヴンスを好演している。上は主人の書斎で新任のメイド頭ミス・ケントン (エマ・トンプソン)について報告している場面。
次は梯子に上って本を書棚に戻しているシーン。お盆に注目。こんな小物があったのだ!

それから
映画「Emma エマ」 にも登場した模造文庫(ニセの書棚)がこのお屋敷にもあった。

細かいところまでよく出来たラブストーリーである。俳優のなかで注目したのは執事スティーヴンスの父親(やはり執事として長年働いてきた)を演じているピーター・ヴォーガン(Peter Vaughan)。日本語のウィキにはまだ立項されていないが、「
Internet Movie Database」によればイギリスのTV俳優として一九五〇年代から活躍しているようで、映画も「未来世紀ブラジル」「わらの犬」などに出演。本作ではこの執事一徹の父の死が見事にスパイスとなって効果を発揮している。