日本人である私たちが、海外の欧文文字を扱う時に、押さえておきたい基礎的な知識を学べる本「欧文書体―その背景と使い方」
1冊目の欧文書体―その背景と使い方は、代表的な欧文書体30書体を中心にその書体がどのようにできたか、またその成り立ちを歴史的な背景から紹介しています。
著者である小林氏は欧文書体で120年の歴史を持つライノタイプ社のタイプディレクターとして活躍された方で、日本人でありながら、欧文書体の深いところ熟知されている凄い方。
例えば、格式が高く伝統的な印象「TRAJAN(トレイジャン)」は、ローマン書体の起源とされており、その昔石に文字を掘っていたイタリアのトラヤヌス帝の碑文が元となっています。約2,000年前に作成されている非常い古い文字です。日本で言うと弥生時代。
その碑文の文字を元に作成されたTRAJAN Proは1989年にAdobeの書体デザイナーであるCarol Twombly (キャロル・トンブリー)さんによって制作されたフォントです。
そういった背景から、TRAJANには“格式が高く伝統的な印象”があり、そのフォントを今時のデザイン紙面に使用すると、どこか違和感が発生していしまいます。
そのように、書体の成り立ちや、書体デザイナーがどういう意図でその書体をデザインしているのかを知った上で、適切な書体を選ばなければ、「このデザイナーは雰囲気で書体を選んでいるな」と思われ、恥をかいてしまうことがありるので、こういう基礎的な知識はデザイン以前にとても重要ですね。