【今週の今日の一冊】新一年生を応援! 入学時期に読んであげたいお話
小学校ってどんなところ? どんなことをするのかな? ともだちはできるかな? 先生はどんな人?
4月から小学校に入学する新一年生。新しいランドセルを目の前にして、ワクワクする気持ちと同じぐらい不安もいっぱいの毎日を過ごしているころでしょうか。今週は、そんな新一年生の気持ちに寄り添い、学校に行くのが楽しみになるようなお話をご紹介します。
2024年3月25日から3月31日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
3月25日 「は、はじめまして。たんにんのやぎこです。」
月曜日は『やぎこ先生 いちねんせい』
今日はやぎやま小学校の入学式。
色とりどりのランドセルを背負っているのは、この春一年生になったばかりの八ぴきの小やぎたち。
そして一年生はもうひとり。校長先生のとなりで白いワンピースを着てかちんこちんになっているやぎこ先生です。
「は、はじめまして。たんにんのやぎこです。このはる、先生になりました」
このやぎこ先生、いったいどんな先生なのかちょっと教室の様子をのぞいてみましょう。
「はる」
毎日学校に着ていくワンピースの色で悩むやぎこ先生。授業もなんだかうわの空です。そんなやぎこ先生に、小やぎたちが考えたワンピースを着る順番は?
「なつ」
きゅうしょくの時間、にんじんがきらいなやぎこ先生は、好き嫌いがばれないようににんじんが大好きだとうそをついてしまいます。すると小やぎたちがにんじんをどんどんやぎこ先生に持ってきて山盛りに‥‥‥。困ったやぎこ先生のなみだにひとり気づいたベエきちくんがとった行動とは?
「あき」
うんどうかいの日、真っ白な校庭とたくさんの白いやぎと真っ白な体操着という白づくしの光景に、ねむたくて仕方なくなってしまったやぎこ先生は、ほしくさの中へ。そのうち「ほしくさ玉ころがし」が始まって、なんとやぎこ先生も一緒に転がされてしまって……。
「ふゆ」
かん字のテストをすることになったこくごの時間。細長くとんがった「山」は「トンガリ山」、川の下に3本のニョロニョロを書いて「ニョロニョロ川」。ほそながい「月」で「みか月」……。小やぎたちがどんどんユニークな漢字を生み出していきます。では学校の「校」はどんな漢字になった?
入学したばかりの元気いっぱいの小やぎたちと、楽しい事件を巻き起こすやぎこ先生のハラハラドキドキの一年間。季節を追いながら、全部で7つのお話が収録されています。
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(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
読者の声より
やぎやま小学校にやってきた、新人のやぎこ先生は、着る服に迷って遅刻したり、夏休みの宿題を出し忘れたり。(笑) 校長先生に怒られてばかりのやぎこ先生が、とってもチャーミング。給食に出てきたやぎこ先生の苦手なものをクラスの子どもが代わりに食べてくれたり・・。生徒のこやぎたちと共に、成長していく様子がユーモアたっぷりに描かれています。入学を控えたお子さまにとっては、きっと小学校って楽しそう!と思える1冊です。
(ぼんぬさん 40代・ママ 女の子4歳)
3月26日 教室のものたちのおしゃべりをのぞいてみよう!
火曜日は『おはなし きょうしつ』
学校に通う子どもたちが教室でふだん目にしている、たくさんの道具やものたち。
ページを開くと、なにやら楽しそうなひそひそ声が聞こえてきますよ。
ちょっと聞いてみましょう。
「ふでばこ」―ふでばこがしたじきに、もんだいを出しています。
「さて、もんだいです。きょう、ぼく ふでばこの なかには、なにが はいっているでしょうか?」
したじきはすぐに こたえます。「えんぴつと けしごむと ものさし、それから、あかえんぴつも はいってる」
「せいかいです。でも、まだ、なにか はいっています」…。
(さて何がはいっていたのでしょうか?)
「うわぐつ」―うわぐつの かたほうが いいました。「あした、おやすみだよね」「うん、そうだよ」もうかたほうが答えると、
「もうすぐだね。もうすぐしたら、いえに かえって きれいに あらって もらえるんだね」「たのしみだね」…。
(うわぐつたちは、このあと無事に洗ってもらえたのでしょうか?)
教室で使われているものたちがどんなことを考えているのか、それぞれの特徴がよく表れていて、なるほど!と思ったり、くすっと笑ってしまったり。他にも、リコーダーとピアニカ、あかしろぼう、ランドセル、給食のパン、黒板消し、通知表など、教室でおなじみのものがつぎつぎに登場してきては、楽しいお話を繰り広げていきます。
1話の長さは見開き1ページ。親子での読み聞かせタイムや、学校でのちょっとした時間の読み聞かせにもちょうどいいボリューム。
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(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
読者の声より
学校に関連する様々なモノが、おもしろいお話を聞かせてくれます。
今年小学校に入学した娘は大喜び。
1年生のクラスで読み聞かせをしたところ、みんな大笑いでした。
(1話1~2分で読めるので、ちょっとした読み聞かせにぴったりです)
特に、子どもたちは「ふでばこ」「クレヨン」がお気に入り。
私は「こくばん」おじいさんの優しさが好きです。
(やじみさん 30代・ママ 男の子8歳、女の子6歳)
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3月27日 しんぱいがあわみたいにもこもこふくらんで……
水曜日は『しんぱいなことが ありすぎます!』
「しんぱいなことがありすぎます!」
いったいどんなしんぱい事が登場するのでしょうか。
ももがしんぱいなのはまずは忘れ物です。忘れ物をして泣いていたり、不自由をしていたり、ケンカしているクラスメイトたちを見て、ぜったいに忘れ物をしたくないと思うのです。おかげで、教科書やノートがぎゅうぎゅうに詰め込まれたもものランドセルは、いつもパンパンです。さらに右手にも左手にもたくさんの荷物を持って、ももは学校へ向かいます。
そんなももの登校姿を見て、「ヤドカリみたいだな」と言ってきたのは、同じクラスのかずまくん。かずまくんは、ももとはまるっきり違って、とっても身軽な様子です。どうしてかずまくんは軽そうなの? そんなかずまくんはクラスでも忘れ物ナンバーワンで、先生に注意されても、えへへへへって笑っています。どうしてしかられてるのに、わらってるんだろう。ももはかずまくんが不思議でたまりません。
その日の学校帰り、かずまくんと帰り道でばったり会ったもも。かずまくんにでっかいコイがいる、と言われて川をのぞくと、思いがけない出来事が……。
しっかり者のももちゃんと、元気でお調子者のかずまくん。ももちゃんタイプの子もかずまくんタイプの子も、どちらでもないけど似ている子がクラスにいるなあ、なんて思い浮かぶ子も、共感しながら、思わず笑っちゃうような場面がいっぱいです。個人的にとくに笑ってしまったのは、かずまくんから金魚の話を聞いてびっくりするももちゃんの表情! ふたりのユーモラスなやりとりの中に、それぞれの個性が生き生きと光ります。
作者は、子どもたちの身近な場所を舞台に、子どもたちの本音に寄り添うお話をつぎつぎに生み出されている児童文学作家の工藤純子さん。全ページに絵本作家の吉田尚令さんの楽しく生き生きとしたさし絵が入り、文字も大きいので、はじめてのひとり読みに挑戦する本としてもおすすめです。大人の方が読んであげるのもいいですね。
入学前の子どもたちや小学1年生にとくにおすすめの一冊。ももちゃんとかずまくんのやりとりに触れて、緊張する気持ちが少しでもほどけていきますように。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
読者の声より
タイトルに惹かれ、手に取りました。
心配性のももちゃん。毎日しんぱいしすぎて、教科書やノートもありったけ持って登校することになるのです。だから表紙のイラストように、すごい荷物になってしまいます。
対照的なのがかずまくん。楽天的なかずまくんとのやりとりを経て、ももちゃんも少しずつ成長していくようです。
大人になった今も「しんぱいなことがありすぎる」私。このお話を読んでクスッと笑えて元気になった気がします。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳)
3月28日 すみれ色のランドセルではりきって学校へ
木曜日は『すみれちゃんは一年生』
読者の声より
もうすぐ1年生の長女へ借りてきました。
すみれちゃんには妹がいて設定が似ていたので面白かったです。
園児には長いお話なので二回に分けて黙読しています。
振り返ると担任の先生が印象に残っています。
すみれちゃんの誕生日におんぶして
「すみれのは~な~さく~ころ~」って歌ってくれるんです。
学校行かないって言い出したおともだちへの
先生の手紙も温かかったです。
そしてすみれちゃんの妹のかりんちゃんへの気持ち。
大好きだけど厄介もの。
可愛いんだけど部屋には入れたくない。
いつもママは子守を頼む。そんなお姉ちゃん心をうまく表現していて
すみれちゃんの気持ちが長女の気持ちとダブってしまいます。
姉妹を持つママには共感がいっぱいですよ。
そして長女もきっとすみれちゃんに共感すると思います。
前作の「すみれちゃん」も読んでみようと思います。
(事務員さん 30代・ママ 女の子6歳、女の子4歳)
「わたしはすみれ」シリーズ
3月29日 ピクルスの毎日は楽しさいっぱい。でも失敗も…!
読者の声より
この春、小学一年生になる男の子の入学祝いに何がいいかなと考えている折、ある書店に立ち寄ると、机に向かってるこぶたちゃんの表紙の絵本が目に入りました。
パラパラとページをめくってみると、こぶたちゃんのお母さんが「わすれ物はない?」それに答えてて「教科書、よし!ノートよし!エンピツ、よし!ハンカチ、よし!わすれものは、ひとつもなし」とピクルス君。
生き生きとスキップしてるかわいいさし絵。4話構成でお話の内容も充実。やさしい言葉遣いと美しくしっかりとした装丁。
もうすぐピカピカの一年生にぴったり。これから愛読書として成長に合わせて一緒に歩んでいってくれるといいな。
ピクルス君のように元気にそして活発ないい子に育ってほしいとの願いを込めて、プレゼントしようと思います。
(chicoさん 20代・その他の方)
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3月30日 がっこうってどんなところかなあ?
土曜日は『がっこうのてんこちゃん はじめてばかりでどうしよう! の巻』
きょうから学校がはじまります。はじめてのことが苦手な、テンのてんこちゃんはドキドキしながら学校へいきます。クラスは全員で10ぴき。てんこちゃんは、自己紹介で緊張しすぎてしまい……。他に、お弁当や遠足のお話など全5話。はじめての学校で、誰もが経験する不安を少しずつ乗り越えていく姿を描いた本書は子どもたちの心に寄り添うことでしょう。ユーモラスな絵と文が一体化して読みやすく自分で読むファーストブックに!
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3月31日 かしこいねこになるために、小学校へ通います
日曜日は『こねこのレイコは一年生』
“レイコも学校にいって、かしこくなりたいよー”
小学校に通うことになった、元気いっぱいな赤さび色のこねこのレイコ。
わんぱくな黒ねこのパコ・しっかりもののミュウ・あまえんぼうのぶちねこリク・たれ目のしまねこヨーイチ……ゆかいな友だちや、トラキチ先生にかこまれて、にぎやかな毎日がはじまります。
読者の声より
レイコの名前の由来に少しびっくりしました。知りたがり屋で元気いっぱいの子猫レイコと電気屋さんのおとうさん、子猫の小学校である、茶畑小学校の仲間や先生達、町の人達が繰り広げる半年の日々。
にしかわおさむさんの絵も楽しくて、ワクワクします。校歌のメロディーは「むすんでひらいて」によく似ています。歌い方もそれぞれの子猫の性格が出ていて、微笑ましいです。
あまえんぼで怖がりのリクですが、要所要所で活躍します。
レイコは時々、騒動を起こしますが、周りの人(動物)に助けられて、成長していきます。迷子になったレイコを助けた黒い犬はレイコに聞きます。「まいごのかわいいこねこちゃん、あなたのおうちはどこですか」何だか楽しくなってきます。
卒業式当日にも騒動を起こすレイコ。でも周りの人(動物)は温かく見守っていて、私も心が温かくなりました。
(わさんぼんさん 60代・その他の方)
いかがでしたか。
実は一番ドキドキしてしまうのは、この入学するまでの間の時間なのかもしれないですよね。子どもたちの気持ちが少しでも軽くなって、入学が少しでも楽しみになるように、学校の楽しいお話を活用してみてくださいね。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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