学んだことは「即実践」して「誰かに話す」——あなたの学びを加速させる、たった二つの方法 - STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習

学んだことは「即実践」して「誰かに話す」——あなたの学びを加速させる、たった二つの方法

勉強をする女性

多くの社会人が、キャリアアップや自己成長のために日々学習に励んでいます。しかし、「たくさんの専門書を読んだのに、実際の仕事で知識をうまく活用できない」「資格を取得したけれど、その学びが実践で生きていない気がする」といった悩みを抱えていませんか?

せっかく時間と労力を費やして学んだことを、実際の場面で効果的に活用したい——。そんな思いは誰しも持っているはずです。

では、なぜ学んだことが実践で活きないのでしょうか? その原因は、意外にも私たちの「学び方」自体にあるかもしれません。

本記事では、学習効果を劇的に高める2つの重要なポイントをご紹介します。これらを意識することで、あなたの学びはより実践的で、実りあるものに変わるでしょう。特に、最新のテクノロジーを活用した驚くほど効果的な学習法もお伝えします。

1. 学んだことをすぐ実践しているか?

もし、自分は勉強した内容を役立てられていないと思うなら、「学んだことを実践する機会を自らつくっているか?」を振り返ってみてください。

事実、実際に体験すると、学習定着率が高まるというデータがあるのです。グロービス経営大学院副学長の田久保善彦氏は「ラーニングピラミッド」を紹介しています。

これは、アメリカの国立訓練研究所が発表した研究結果で、学習方法と平均学習定着率との関係を明らかにしたもの。

これによると、「具体的な経験をして、その経験から振り返るという」学習方法をとると、学習定着率が75%になるということがわかっているのです。*1

ラーニングピラミッド

また、ビジネスの場面で学びを活かすという観点でも、実践するというのは非常に効果的。

アンド・クリエイト代表取締役社長で人材育成コンサルタントの清水久三子氏は、「ビジネスパーソンの学びには、実は『打たれる』ことが必要です。アウトプットに評価を受けて初めて、実践で使えるレベルかどうかという判断が可能になります。」と語っています。*2

打たれる——つまり、学んだことを実際に使い、失敗したりまわりから厳しい評価を受けたりする経験をあえて積むこと。これがビジネスパーソンが学び、成長するうえで欠かせないことなのです。

読者の方のなかには、仕事で役立てるために勉強に励んでいる方も多いのではないでしょうか。そんなときこそ、学んだことをすぐ実践することが大切。習得した知識やスキルを現場で使うことで、どの程度通用するものなのか確認することができますし、フィードバックをもらうことで、さらなる気づきが得られます。

具体的にはどのように実践すればいいのでしょうか。清水氏は、具体的な実践例をいくつか紹介しています。

  • プレゼンテーションのスキルを習得したい場合:週に1回は自分がプレゼンして評価を受ける場をつくる
  • 財務諸表を読めるようになりたい場合:実際に財務諸表を読み込んで企業分析をして株を買ってみる *2

このように、自ら実践する機会をつくることで、本当に現場で活用できる学びが得られるのです。

2. 学んだ内容を誰かに話しているか?

勉強した内容を役立てられない方は、ひとりで情報をインプットするだけという勉強方法になっていないかを振り返ってみてください。

前述したように、学びを身につけるには実践するなどアウトプットすることが大切。アウトプット方法のなかでも特に効果的なのが、人に教えることなのです。

会話をする人たち

ラーニングピラミッドで、最も学習定着率が高い学習方法はなんだったか覚えているでしょうか。それが、人に教えることなのです。体験することの学習定着率が75%であるのに対し、人に教えることは90%にもなるのです。

なぜ人に教えると、こんなにも学習定着率が高くなるのでしょうか。それは、誰かに説明するという行為によって、脳のあらゆる部位が働くから。

脳内科医の加藤俊徳氏は、読んでいる本の内容を、あとでほかの人に説明するという前提で読むことで、「伝達系脳番地が脳番地全体の監視役となり、通常時より脳番地がしっかりと働くようにな」ると話します。また、本の内容を自分なりにまとめることで、思考系、理解系の脳番地も働きます。ちなみに脳番地とは、「同じような働きをする神経細胞の集まり(部位)と、その神経細胞群と関連している機能の総称」。*4

誰かに説明しようと思うと、自分がインプットするだけの状態では見落としていた曖昧な部分がいくつも見つかります。「なぜそうなるのか」「そのことによってメリットはあるのか」など、自分のなかからツッコミが思い浮かび、そのことを理解できるように読み返したり、ほかの文献にあたってみたりするようになります。こうすることで脳が活性化し、記憶がより定着しやすくなるのです。

ただ、実際に誰かに教える機会をもつのは難しいもの。ブログやSNSを活用するのもひとつの方法ですが、筆者は生成AIに教える方法をおすすめします。

生成AIなら、いつでも話の聞き手になってくれるだけでなく、質問をしたり意見を述べたりするように設定することも可能です。次項で、実際に試してみた様子をご紹介します。

ChatGPTに学んだ内容を教えてみた

筆者は、最近ゲーミフィケーションの書籍を読んでいるので、その内容をChatGPTに説明してみることにしました。読んでいる書籍は、深田浩嗣氏の『ゲームにすればうまくいく 〈ゲーミフィケーション〉9つのフレームワーク』です。

区切りのいいページまで読み、その内容を自分なりに噛み砕きながらChatGPTに書き込みます。筆者は、ChatGPTに意見や感想を答えさせましたが、より深く議論したい場合は質問させたり、そのトピックに関連する問題を出題させたりするという使い方もできそうです。

ChatGPTに本の内容を説明する様子

ChatGPTの回答がこちら。

ChatGPTの回答

ChatGPTに説明するにあたり、自分でも要約しながら説明しますが、ChatGPT側も違うかたちで要約してくれるため、両者を読み比べながら理解を深められるというメリットがありました。
また、「なにを可視化するかが重要」と筆者が書いた点については、それを補うように具体例を挙げてくれたのが非常にわかりやすいと感じました。

ただ読書をするだけでなく、自分なりに考えてChatGPTに説明し、さらにChatGPTからの回答を読んで理解を深めるというふたつのステップを踏むことで、本の内容がしっかりと頭に残る感覚がありました。

やはり「説明する」というのは、知識を記憶する手段として効果的なようです。「まわりの人に学んだことを説明するのは気が引ける」という方には、ChatGPTに説明する方法をおすすめします。

***
学んだことを記憶し、実生活で活かすには、「実践すること」と「説明すること」がとても効果的です。ぜひ取り入れてみてください。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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