読むのが遅い私が1冊にかかる時間を3分の1に短縮できた、マッキンゼー出身者推奨の「読書法」 - STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習

読むのが遅い私が1冊にかかる時間を3分の1に短縮できた、マッキンゼー出身者推奨の「読書法」

耳をすませて注意深く聞いている女性

「読むスピードが遅いから、本で勉強するのは効率が悪いと感じる……」
「いつも集中力が続かなくて、読書をしても苦痛に感じる……」
「時間がなくて、本を読めない……」

このように読書に対して苦手意識や悩みがある人でも、楽に読書ができるようになる方法があります。本を読むものではなく「聞くもの」にすると、インプットの量や質が一気に上がるようなのです。そのやり方を、筆者の実践の模様も交えて詳しく解説しましょう。

【ライタープロフィール】
藤真 唯
大学では日本古典文学を専攻。現在も古典文学や近代文学を読み勉強中。効率のよい学び方にも関心が高く、日々情報収集に努めている。ライターとしては、仕事術・コミュニケーション術に関する執筆経験が豊富。丁寧なリサーチに基づいてわかりやすく伝えることを得意とする。

(参考)

勝間和代 (2020),『圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100』, KADOKAWA.
8760|勝間和代さんが「読書は錬金術」と語る理由 自身が実践的に活かしている知識の8割は本から得たもの
プレジデントオンライン|いちばんのオススメは音読だが…声の出せない環境でも定着率を高められる"脳科学的な記憶術"

マッキンゼー出身の勝間和代さんが実践する「耳読」とは?

今回ご紹介するのは「耳読」という読書法。元マッキンゼー・アンド・カンパニー勤務で経済評論家の勝間和代氏が実践しているもので、文章を「読む」のではなく「音声として聞く」ことを指します。勝間氏はこの方法で、1日に2冊のペースで読書をしているそう。

具体的には「Kindleストアで本を買ったら、Android端末やFire端末に読み上げさせて聞いている」そうで、

日本語で書かれた本なら、2~3倍速にすると2~3時間で聞き終えられます。分厚い翻訳本の場合でも8~9時間で、かかっても2~3日で聞き終えます。

(上記カギカッコ内・枠内引用元:勝間和代 (2020), 『圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100』, KADOKAWA.)

と語っています。

さらに、「移動時間だろうが、寝るときだろうが、家事をしているときだろうが」耳読しているのだとか。(カギカッコ内引用元:8760|勝間和代さんが「読書は錬金術」と語る理由 自身が実践的に活かしている知識の8割は本から得たもの

音声を聞くだけなら、本を手に持って開いたり活字を目で追ったりする必要がなく、ほかの作業と並行できますよね。通勤時間や筋トレ中などでも取り入れやすいため、仕事にプライベートに忙しい人でも、本に触れる時間を設けやすいはず。

とはいえ、ただ聞くだけで本の内容を本当に理解できるのか、不安に思う人もいるでしょう。勝間氏によれば、「わからないことがあったら、kindle端末を開いて目で確認」すればいいとのこと。

そして、そもそも内容をすべて理解して吸収しようとする姿勢は不要だと勝間氏は指摘します。

読書の最大の敵は何かというと、完璧主義です。(中略)本を読む醍醐味は何かというと、このアイデアだけ覚えておけば十分だ、というポイントを見抜くことです。それを「キーアイデア」と呼びますが、そのキーアイデアを読み取ることに集中して本を読んでみてください。

(上記カギカッコ内・枠内引用元:前出の『勝間式ネオ・ライフハック100』)

本の内容を丸ごと理解する必要はないのだと考えれば、気楽に、そして効率よくインプットできそうですね。

「耳読」で勉強している女性

「耳読」は記憶の定着に役立つ

勝間氏がすすめる耳読は、脳科学的にも有効なようです。

脳科学者の加藤俊徳氏は、「聴覚は視覚よりも記憶に直結し、記憶の一時保管庫である海馬にアクセスしやすいという特性がある」と述べています。

つまり脳の性質上、本を読むより聞くほうが、その内容を無理なく記憶しやすいのですね。

だからこそ加藤氏も、

オーディオブックやラジオは、電車や車での移動中などの隙間時間にも活用できますし、忙しい大人にとってとても便利なツール。

(上記カギカッコ内・枠内引用元:プレジデントオンライン|いちばんのオススメは音読だが…声の出せない環境でも定着率を高められる"脳科学的な記憶術"

と、耳を使った読書法を推奨しています。

活字を追うのが苦手な人にも、じっくり本を読む時間がとれない人にも、黙読だと内容をつい忘れがちな人にも、耳読はおすすめなのです。

「耳読」の際に用いる本とイヤホン

「耳読」を勉強に取り入れてみた

筆者もさっそく、耳読を実践してみました。読書自体に抵抗はないものの、「仕事がある平日に本を開いて読む時間をなかなかとれない」「効率よくインプットしたいのに、読むスピードが遅い」という悩みを抱えていたのです。

勝間氏は耳読で使用する機器などについては特に指定していなかったため、筆者自身で、次のように4つのルールを決めました。

  • 読むのは「Kindle書籍」
  • iPhoneの「読み上げ機能」で聞く
  • 読み上げスピードは「1.5倍」
  • 耳読の実践タイミングは「移動中」と「家事中」

Kindleそのものに読み上げ機能は備わっていません。そこで、iPhoneの機能を活用することにしました。設定から「アクセシビリティ」を開いて、「読み上げコンテンツ」で設定できます。

下図のように「画面の読み上げ」がオンになっていれば、合成音声が、本の文章を音読してくれるようになります。

スマートフォンでの本の読み上げ設定画面

勝間氏は読み上げの速度を2~3倍速にしているとのことですが、実際に2倍速で聞くとかなり速く感じました。車の運転や家事をしながらだと書籍の内容を聞き逃してしまうこともあったため、筆者の場合は、1.5倍速で聞いてインプットを行ないました。

「耳読」でインプットの量と質が上がった!

実際に耳読を試してみた感想と、提案したいことをまとめます。

1. 1冊の本を、たった2日で読み終えられた!

今回の実践では、日本の神話や信仰に関する本を耳読しました。すると、218ページを2日で読破できたのです。筆者はこれまで、200ページほどの本を読みきるのに、1週間ほどかかっていました。それが3分の1程度になったことを思えば、勝間氏ほどではないものの、時間を大きく短縮できたと言えるでしょう。

読書時間の短縮につながった理由のひとつは、「ながら」作業で聞けたことだと考えています。移動中や家事中など、本を開かなくても聞いて読むことができたため「仕事が忙しくて読書ができない」「疲れていて読書に集中できず、本を閉じてしまう」といった日が減ったのです。

読むスピードがあまり速くなく、また何度も読み返すこともしばしばあった筆者。でも耳読を実践してからは、黙読より速く読み進めることができ、意外にも「よくわからなかった……」と読み返すことも少なくすみました

今後も実践を続けていけば、インプットの量を格段に増やせそうだと感じましたよ。

2. 読んだ内容を長期的に覚えていられた!

また、インプットの「速度」だけでなく「質」も高められることを実感できました。「ながら」で聞くだけでも、本の重要な部分はきちんと覚えていられたからです。

これまで筆者は、本を黙読するとき、書いてある内容をすべて理解して覚えようとしていました。勝間氏が指摘していた「完璧主義」に陥っていたのです。

しかし耳読では、聞き取れるギリギリの速さで聞くというのもあってか、初めから「すべて覚えるのは無理だ」と感じていました。

そのため自然と「この箇所がおもしろそう」「ここが重要じゃないかな」と、覚えたい部分を絞って聞けたのです。さらに、読了して数日経っても、重要な部分を思い出すことができました。

この実践から、耳読は「幅広い知識をインプットする」勉強に最適だと感じました。ビジネス系の知識を学ぶ際や、試験勉強の序盤で全体像をとらえる際などにも活用できそうです。

***
マッキンゼー出身者も実践する耳読なら、インプットの質と量、それぞれどちらも上げてくれるはず。読書が知識や教養のインプットに役立つのはわかっていても、なかなか実践できていなかった方。読書の効果を思うように得られていない方。ぜひ耳読を試してみてくださいね。

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