英語の長文が読めない理由と解決方法! スラスラ読める人がおすすめするコツ
「英語の長文が難しすぎて読めない」
「まとまった量の英文の内容がまったく頭に入らない」
そうお困りではありませんか。ビジネスの現場や英語の資格試験では、大量の英語の長文をスムーズに処理しなくてはいけません。なおかつ、内容を正確に理解していなければ、試験では点数に、ビジネスでは相手からの信頼に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。どうしたら英語の長文をすばやく、正確に読めるようになるでしょうか。
英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」が、英語の長文が読めないという苦手意識をおもちの方のために、「英語の長文が読めない主な原因」および「英語の長文をスラスラと正確に読めるようにする学習法」についてご紹介しましょう。
英語の長文が読めない主な理由
英語の長文が読めない問題を解決するためには、まず原因を明らかにしなければなりません。主な原因は以下のふたつ。
- 語彙・文法の知識不足
- 返り読み
ひとつずつ見ていきましょう。
語彙・文法の知識不足
長文をゆっくり読んでも頭に入らない場合は、基本的な語彙や文法の知識に抜けがあることが考えられます。主に、中学・高校で勉強した英語の知識の大半を忘れてしまっている方に当てはまるかもしれません。
語彙や文法は覚える項目が多く、敬遠してしまう方もいるでしょう。しかし、語彙や文法の学習をおろそかにすると、「読む力」は言うまでもなく、「聞く力」「話す力」「書く力」を効率よく伸ばすことができません。なぜなら、第二言語習得研究(母語以外の言語を身につけるプロセスやメカニズムを解き明かす学問)の知見によると、すでに母語を身につけた大人の場合、次のような順番で知識やスキルの獲得を意識すると効率的だとされているからです。
- 基本的な語彙・文法知識
- 受容スキル(リーディング・リスニング)
- 産出スキル(ライティング・スピーキング)
語彙・文法の知識を身につけることは、英語の長文を速く正しく読めるようになるための大前提。特に、英語を日常的に使うわけではない学習者は、英語によるインプットを日々大量に得て、自然に語彙や文法を身につけることは難しいもの。語彙や文法を意識的に学習することで、このインプットの不足を補うことが可能になります。
まずは、日常生活に必須の基本的な語彙と、中学・高校で学習する基礎レベルの文法知識を身につけていく必要があります。
返り読み
「ゆっくり読めばどうにか理解できる。けれども限られた時間だと全然読み進められない」という場合、一番の原因は「返り読み」です。「返り読み」とは、英文に最後まで目を通してから訳し上げていく読み方のこと。文法や語彙の知識はあるものの、英語を日本語に訳すことで理解する形式の授業を学校などで受けてきた方が陥る傾向があります。
日本語と英語は語順が違う言語。日本語に訳しつつ理解しようとすれば、文の最後まで目を通したあと、前に返って読むことになります。英文を行ったり来たりしながら読むことになるため、リーディングスピードが遅くなってしまうのです。
以上が、英語の長文をスムーズに読めない主な原因。まずは、なぜ英語の長文が読めないのか、自分に当てはまる原因を探っていきましょう。
「英語の長文が読めない……」を解決する方法
英語の長文が読めない原因がわかったら、原因を取り除くための学習に取り組んでいきます。ここからは、「単語・文法の効率的な学習法」と「速く、正確に読めるようにするためのトレーニング」をご紹介しましょう。
基本的な単語と文法の学習
単語の暗記の仕方
学習初期の段階では、日本語訳のついている単語帳で一気にインプットすることがおすすめ。単語帳の中身を見て「知っている単語が多いな」と感じるレベルのものから始めるのがコツです。
単語は、以下のようなプロセスを踏むと覚えやすくなります。
- 20〜50語を1セットとする。セット内の英単語の音声を聞き、自分でも発音しながら、意味を目で見て確認する。
- 日本語訳を隠し、英単語を見て発音しながら、意味を思い浮かべる。その後日本語訳を見て、合っているか確かめる。
- 覚えた単語・覚えられていない単語含め、セット内のすべての単語の意味が瞬時に思い浮かぶようになるまで、2.を繰り返す。5回ほど行なうと効果的。
- 翌日、前日に学んだ単語の復習と新たな単語の学習を行なう。既習単語は2.の手順でさっと確認し、未習単語は1.〜3.の手順で学べばよい。
覚えるときは、20〜50語程度を1セットとして覚えましょう。できるだけ多めの語数を1セットにすることで、より長く記憶に残せるためです。たとえば、50語を1セットにすると決めたら、その50語の学習を、5周ほど回していきます。
ある単語に出会ったあと、その単語に再度出会うまでの期間をできるだけ長くするのは、復習の間隔を空けることで、より記憶に残りやすくなるという「遅延効果」を得るため。記憶は思い出そうとするときに強化されるもの。「忘れそう......」というタイミングで再度出会うことで、「思い出そう」とする力が働き、より強固な記憶になっていきます。
逆に非効率的なのは、「毎日10個確実に覚える」といった、少ない語数にかなりの時間をかけて少しずつ覚えるやり方。学習したあと、まだその単語の記憶が鮮明に残っている状態で、同じ単語を再び学習することになり、遅延効果が働かないためです。
そして翌日、前日に覚えた内容を復習し、その後も少しずつ間隔を空けて復習を重ねることで、より長いあいだ覚えていられるようになります。人によって記憶力に差はあるものの、反復学習をしていくことで定着しやすくなるのです。どうしても覚えにくい単語があるときは、苦手な単語を覚えることに時間を割くより、文法やリーディングなど、ほかの学習に時間をかけましょう。
単語を覚えるプロセスで最も重要なのは、正しい発音とともに覚えること。
人は英語を読むときに、脳内で音読をしています。目で見た単語を、脳内で音に変換し、脳内の辞書(メンタルレキシコン)と照合して、意味を引き出しているのです。
実際に発音して覚えることで、音に変換するプロセスが意識しなくても速くできるようになり、音に変換するのに必要な脳内のリソースの消費量を減らすことができます。その余ったリソースを、短期記憶から長期記憶への転送に費やすことができるので、覚えた単語をより記憶に残しやすくなるのです。
単語の覚え方の詳細は、以下のコラムで説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
英単語を覚えたいときに「ひたすら書く」が遠回りなワケ。デキる人は “この2つ” の方法を実践している
認知文法による文法の学び方
文法は、雑多なルールを丸暗記しないと理解できないとお思いかもしれませんが、そんなことはありません。文法は、ネイティブが母語を通して「どのように世界をとらえ、どう感じているのか」を基盤にした「認知文法」というアプローチで学んでいくと、効率的ですよ。ネイティブスピーカーがもっている文法感覚をイメージとしてとらえていくことで、日本語の訳に頼らずに理解する習慣をつけることができます。
たとえば、「進行形」で使うing形。学校英語では、ing形=「〜ている」と習うため、“The bus is stopping.” を「バスは止まっている」と解釈するかもしれません。しかし正しくは、「バスは止まりつつある」。バスはこの時点ではまだ動いています。なぜなら、ing形そのものに、「動作の途中」という意味合いがあるから。「止まる」という出来事が起きている途中を指しているのです。
「ing形=動作の途中」というイメージをつかんでおけば、必ずしも等しいわけではない日本語と英語の概念をややこしいと感じにくくなりますよ。
「認知文法」のアプローチの詳細は、以下のコラムで説明しているため、ぜひ参考にしてみてくださいね。
英文法は難しい? 簡単に感じるとっておきのアプローチを伝授!
文法学習は、ただイメージを理解して終わりではありません。身につけたい文法を使った例文を以下のように変化させ、何度も音読する「パターンプラクティス」というトレーニングも合わせて行ないましょう。
I am studying English now. → She is studying English now.
「パターンプラクティス」は、英文を見て瞬時に意味をつかむリーディングの土台づくりにもなりますよ。
品詞の学習
文構造が複雑になっていくと、意味の区切りがしだいにわかりづらくなります。複雑な文構造の長文になると読めない問題の対処としておすすめなのが、品詞(名詞や動詞、形容詞などの “単語の種類” )への意識。品詞を意識することで、文構造が把握でき、意味の区切りが特定しやすくなります。結果、リーディングスピードと理解力の両方が向上するのです。
品詞への意識の前提として、まず英文が次の4つの要素から成ることを理解しましょう。
【主語(S)】「誰が」「何が」に相当
【述語(述語動詞)(V)】「〜する」「〜である」などの動作や状態に相当
【目的語(O)】「誰を」「何に」など、動詞が表す動作の対象になる語
【補語(C)】主語あるいは目的語の中身を説明する語
この4つの組み合わせからできるのが「文型」。英語では、以下の5つのパターンに分かれます。
【第1文型】主語(S)+述語(V)
【第2文型】主語(S)+述語(V)+補語(C)
【第3文型】主語(S)+述語(V)+目的語(O)
【第4文型】主語(S)+述語(V)+目的語(O)+目的語(O)
【第5文型】主語(S)+述語(V)+目的語(O)+補語(C)
文型のなかには、ある一定の役割をもつ単語が入ります。単語を役割ごとにグルーピングしたのが「品詞」。以下は、英語の主要な4つの品詞の定義と役割です。
【名詞】事物を表す。主語・目的語・補語になれる。
【動詞】動作・作用などを表す。述語の役割を担う。
【形容詞】名詞を修飾する。補語になれる。
【副詞】名詞以外(動詞・形容詞・副詞など)を修飾する。主語・述語・目的語・補語のいずれにも該当しない。
チャンクリーディング
英語の長文を速く読むためには、頭から瞬時に英文を理解する読み方が必要。難しそうに聞こえるかもしれませんが、あるトレーニングを繰り返すことで、簡単に頭から理解できるようになりますよ。そのトレーニングが、これからご紹介する「チャンクリーディング」です。
チャンクリーディングは、英文を意味のかたまり(チャンク)ごとに改行したものを読んでいくトレーニング。チャンクごとに情景をイメージしながら、瞬時に読んでいきます。
まずは、以下の英文を読んでみましょう。
My brother likes to play video games, but he also enjoys outdoor activities.
チャンクで区切ると、以下のようになります。
My brother /
私の兄は
likes to play /
〜するのが好きだ
video games, /
ビデオゲームを
but /
しかし
he also enjoys /
彼はまた楽しんでいる
outdoor activities. //
アウトドア活動を
チャンクのない最初の文に比べると、読みやすくなりましたね。チャンクリーディングに慣れてくると、複雑な文でも返り読みせず、頭から瞬時に理解できるようになっていきますよ。
チャンクごとに内容を整理できたら、次はプロの通訳も実践している「サイトトランスレーション」。やるべきことは以下のふたつ。
- チャンクごとに瞬時に意味を思い浮かべてみる
- チャンクごとに知らない語彙や不足している文法をチェックする
チャンクごとにすぐ内容を思い浮かべられるかが重要であるため、きれいに訳そうとせず、すばやさを意識するのがポイントです。
音読
リーディングスピードを上げるのに最も効果を発揮するのが「音読」。
単語の発音の箇所でも説明したとおり、声に出す練習をすることで、音に変換するプロセスが無意識に速くできるようになります。そうすると、文字から変換された音声情報と脳内の「辞書」の照合ができ、文字を音に変換する「音韻符号化」のプロセスから、意味を引き出す「理解」のプロセスへとスムーズに進めるのです。結果、リーディングスピードも速くなります。チャンクごとに内容を瞬時にイメージしながら、声に出して読んでいきましょう。
音読で注意すべき点が次のふたつ。
- 音読する長文の内容をしっかり把握しておく
- 数をこなす
まず、音読は内容を完全に理解した状態で行ないましょう。意味のわかっていない長文を機械的に音読練習しても、発音が自動化されるだけ。「音韻符号化」のプロセスは速くなりますが、意味を理解したうえで音読練習しないと、「理解」のプロセスまで到達することができません。つまり、音の再現はできるものの、内容が頭に入っていない状態になります。「頭から瞬時に長文を理解できるようになる」という目的を達成できないのです。
次に、音読は練習量が重要。一度音読して終わりにせず、スムーズに意味が思い浮かぶようになるまで繰り返し練習してこそ、効果を発揮します。
さらに、音読だけでなく「暗唱」まですると、なお効果的です。何も見ずに音読する段階まで進めると、英語の長文が瞬時に理解できるようになるでしょう。
スキミング
「一言一句丁寧に読む必要はないものの、長文の要点だけはすばやく正確に押さえたい」
そんな方におすすめなのが、「スキミング」。スキミングとは、斜め読みしながら文章全体の内容をつかむ方法のこと。要点を拾いながら文章を読み進めていくため、リーディングスピードを上げることができます。リーディングテストで時間内にどうしても解き終わらない方や、論文や記事などの論理的な英文資料を早急に要約する必要がある方に最適です。
どのようにすれば、要点をすばやくつかみやすくなるでしょうか。主なコツは以下の3つ。
- 「タイトル」「見出し」「図表」に目を通す
- 第1段落と最終段落に注目する
- 段落の最初の一文を意識する
先にタイトルや見出し、図表を見ることで、文章の内容を大まかに把握できます。そのうえで注目すべきは、初めの段落と終わりの段落。段落構成が重視される英語では、文章展開がある程度一定です。5段落の論理的な英文の場合、一般的な構成は、次のとおり。
【第1段落】主張
【第2段落】主張の理由・具体例その1
【第3段落】主張の理由・具体例その2
【第4段落】主張の理由・具体例その3
【第5段落】結論
特に終わりの段落は、文章全体の内容をまとめている可能性がとても高く、主要なキーワードを含んでいることがあります。よって、終わりの段落を読み込んでからスキミングを行なうのもよいでしょう。
そして、各段落の冒頭の一文を意識することが重要。英語の論理的な文章は「ひとつの段落につき、ひとつの主張(one paragraph, one idea)」という考えで書かれるのが一般的です。段落の主張が述べられている文(トピックセンテンス)を見つけるだけで、その段落の要旨がつかめます。
絶対のルールではありませんが、段落の主張が書かれているのは、おおむね段落最初の一文。各段落冒頭の一文に意識をおくことで、スキミングがしやすくなるでしょう。
以上の読み方や学習法を、日々の英語学習にぜひ取り入れてみてください。英語の長文が読めない悩みが、きっと解決できるはずです!
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英語の長文が読めないという問題は、原因を明らかにして、原因に働きかける学習法を続けていくことで解消できますよ。今回の記事を参考に、ぜひ英語の長文読解への苦手意識を克服していきましょう。