プロの仕事の進め方。新人コンサルタントが叩き込まれる、2つの基本仕事術 - STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習

プロの仕事の進め方。新人コンサルタントが叩き込まれる、2つの基本仕事術

仕事をしている様子

世のなかにはさまざまな仕事術がありますが、すべては基本があってこそ。仕事ができる一流コンサルタントは、新人のときに叩き込まれた仕事の基本を大切にしているそうです。

本記事では、より高みを目指すビジネスパーソン向けに、一流コンサルタントが仕事の価値を上げるうえで大切にしている基本の仕事術をふたつ紹介します。ぜひご一読ください。

基本1. 事実・解釈・アクションを明確にする

「言われたことをしっかりこなしているのに、評価されない」
「自分なりに考えて意見を述べたり提案したりしても、受け入れてもらえない」

このようにお悩みの人は、 “提案の基本の型” を実践してみるといいでしょう。その型とは「事実と、解釈と、アクションの区別をつけ」る、「雲雨傘の論理」です。*1

雲雨傘とは、以下のとおり。

  • 「雲」→空に雲が多いという「事実」
  • 「雨」→雲が多いという「事実から推測される」、雨が降りそうだという「解釈」
  • 「傘」→雨が降りそうだという「解釈」により起こる、傘が必要だという「アクション」 *1

このように事実・解釈・アクションに区別をつけると、何を言いたいのか明確になり、説得力も増します。システムトラブルの原因を報告するように上司から指示されたときの、報告の仕方を例に見ていきましょう。

(例1)「ログを調査したところ、処理Aと処理Bの部分で整合性をとれていなかったのが原因だとわかりました」

(例2)「ログを調査したところ、処理Aと処理Bの部分で整合性をとれていなかったのが原因でした。各処理の担当者間で仕様の認識に相違がないか確認します。」

例1では結果を報告しただけで、「『だから何なのか?』という解釈」がありません。その後の対策を検討するうえでの情報が足りず、不親切だと言えるでしょう。『コンサル一年目が学ぶこと』の著者でアクセンチュア出身のコンサルタント大石哲之氏は、事実だけでなく「そこから何が言えるのかをセットでもっていかなくては、意味のある報告にはな」らないと言います。*1 単なる事実の列挙では、「それで?」と思わせてしまい、報告の意図が伝わりません。

また例2では、「なぜそうなるのか?」という「根拠」が抜けており、本当にその対応でいいのかという説得力に欠けてしまいます。同氏いわく、「何かを提案するときはアクションだけを提案」するのではなく、「必ず、元になる事実と解釈もセットで伝えなければいけ」ないのだそう。*1 なぜそのアクションが必要なのかを明確にしないと、理解や賛同を得ることが難しくなるのです。

このように、雲雨傘(事実・解釈・アクション)のどれかひとつでも漏れてしまうと、筋が通らず説得力にも欠けてしまいます。自分では仕事をそつなくこなしているつもりなのに評価されなかったり、意見が通りにくいと感じるならば、雲雨傘となる部分を明確にできているか、振り返ってみるとよさそうです。

この雲雨傘の3つを意識して、先ほどの例での報告を筆者なりに考えてみたのがこちら。

「ログを調査したところ、処理Aと処理Bの部分で整合性をとれていなかったのが原因でした。各処理の担当者にヒアリングしたところ、仕様の認識に相違があったようです(事実)。ほかにも認識の相違がないか洗い出したほうがいいと思うので(解釈)、確認して対応しようと考えています(アクション)

事実の報告は誰にでもできますが、解釈やアクションはこれまでの経験や知識を存分に発揮できる部分。また、事実と解釈が明確であれば「確認ってどのようにするの?」「◯◯を先にしたほうがいいんじゃない?」のような対話も生まれ、仕事の精度も高まるはずです。

仕事をしている女性

基本2. スピードと質を確保する

「いつも真面目に丁寧に仕事に取り組んでいるけど、そのぶん仕事が遅くなってしまう」
「スピード感をもって仕事したいけど、質も落としたくない」

このようにお悩みならば、「Quick & Dirty」と言われる「完成度よりもスピードを重視する」考え方を取り入れてみるのはどうでしょうか。*2

「スピード重視」と聞くと質が悪くなりそうに感じるかもしれませんが、じつはスピードと質は両立できるのです。「大事なのは『できるだけ早いスピードで、できるだけクオリティの高いものを提供する』こと」だと話すのは、ボストンコンサルティンググループ出身でコンサルティング・システムの提供を行なう株式会社HashPort代表取締役吉田世博氏。*2

相手は少しでも早く成果物の大枠を確認したいのに、「完璧にしてから提出したい」という自分の思いを優先したために時間がかかってしまえば、成果物がどんなに素晴らしくても評価にはつながらない可能性が高いでしょう。相手の役に立ち、自分の評価も高めるには、スピードと質の両立が不可欠なのです。

対話している従業員

元マイクロソフト株式会社ゼネラルビジネスマーケティング統括本部長でビジネスコーチ・コンサルタントの山口畝誉氏は、早さと質を両立させるためには、「はじめから完璧を目指さずフィードバックを得ながら練り上げていく」ことが大切だと言います。*3

たとえば、上司に資料作成を頼まれたとしましょう。抜かりなく完璧につくって提出したところ、「欲しいのはこういうのじゃないんだよ」と言われてしまえば、手戻りの影響が大きく、余計な時間がかかってしまいます。

先の雲雨傘の論理にも通じますが、上司は何らかの事実(雲)をもとに「資料が必要だ」と解釈(雨)し、「資料作成を部下に依頼する」というアクション(傘)をとったはずです。上司がアクションをとるまでの思考過程を正確に把握できればいいですが、それは難しい場合が多いでしょう。であれば、早い段階で作成したものを確認してもらい、上司が求めているものから逸れていないか確認してもらうべきなのです。

先の例で言うと、上司と以下のようなコミュニケーションをとれていれば結果も変わったのではないでしょうか。

部下「資料の1ページ目はこのようにつくってみました。これをもとに、2ページ目以降はデータをグラフ化して各項目を詳しく掘り下げていこうと思っています。方向性に問題ないかご確認いただけますか?

上司「1ページ目はいい感じだね。2枚目以降はそこまで詳しくなくていいから、A4用紙1〜2枚に収まるくらいの分量でお願い。グラフはほしいけど、プレゼンするわけではないから体裁はそこまで気にしないで」

もしこの部下が自分の考えだけで資料を作成してしまっていたら、詳細をまとめた膨大な資料ができあがっていたかもしれません。提出までに時間がかかっていた可能性もあります。

しかし、早めにフィードバックをもらえれば軌道修正できますし、上司のニーズにも的確に答えられるでしょう。そうすれば、評価にもつながるはずです。

このように、フィードバックをもらいながら最小限の手戻りで成果物を作成できれば、精度の高い成果物を作成できます。仕事を進めるときは初めから完璧を目指すのではなく、途中で方向性の確認を挟みながら、スピードと質を確保していくのが大切なのです。

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一流のコンサルタントが新人のうちに身につける基本の仕事術をふたつ紹介しました。日々の仕事の質を高めるために、本記事を参考にしてみてください。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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