生産性向上コンサルタントの David Allen 氏が広めた「2分ルール」とは、たとえば簡単なメール返信など、2分以内にできるタスクを即座にやってしまう戦略。実践経験があるビジネスパーソンも多いことでしょう。*1
しかし、近年は生成AIの進化により、わずか2分でこなせるタスクの範囲が飛躍的に広がりました。つまり、2分でこなせるタスクの概念が大きく変わってきたのです。
どんどんタスクがたまってしまうと焦りを感じている、あるいは生成AIを利用して生産性をあげたいビジネスパーソン、または、迅速な意思決定が求められる管理職の方々にとって、このテクノロジーは強力な味方となるはず。
今回は、生成AIで進化した「2分ルール」活用法を、実践しながらお伝えします。
「2分ルール」の詳細と活用法
リーダーシップコーチ、講演者、ビジネス書籍の著者でもある Luciana Paulise 氏がForbes に寄稿した内容によると「2分ルール」は、小さなタスクの放置が “精神的余裕を消費する” といった論理的根拠に基づいているそうです。
そして、この実践により、ToDoリストが山積みになる状況を未然に防げるとのことです。*1
つまり、簡単なタスクをすぐに終わらせることで、精神的な余裕が生まれやすくなるわけです。事実、筆者も小さなタスクが積み重なると、大きなストレスを感じることがあります。
また、Paulise 氏も伝えているように、小さなタスクを片づけてしまえば、もっとほかのより重要な仕事に集中しやすくなるでしょう。*1
そこで、以下に「2分ルール」を適用できそうなシーンと、期待できる効果を挙げてみました。
- メールやチャットの返信:簡単な返答が求められるものをすぐに処理することで、受信トレイが膨れ上がるのを防げる。
- 書類整理:すぐにファイリングできる書類を後回しにせず、その場で処理することで、オフィスの整頓が保たれる。すると、仕事がしやすい環境になり、気分向上にもつながり、集中力アップも期待できる。
- 小さな決定:短時間で判断できることにも、このルールを適用し、即決を心がける。それにより業務全体の効率がよくなり、決断疲れ回避にもつながる。
このように「2分ルール」を継続的に取り入れていくことで、タスクの滞留を防ぎ、業務がスムーズに進行し、心にゆとりを持ちながら働くことができます。
生成AIにより2分でできることが拡大
前項で述べたように、これまで「2分ルール」は、すぐに片付けられる小さなタスクに焦点を当てています。
しかし、生成AIの台頭により、現在は “2分でできること” の範囲が大幅に広がりました。これまで2分では到底片付かなかったようなタスクも、AIが驚くほどの速さで処理してくれるようになってきたのです。
筆者の経験をもとに、生成AIが “2分でできること” の例を挙げましょう。
- 簡単なマーケティング分析のレポート作成
- 企画書の作成およびスライドの作成
- 商品やブランドロゴの作成
- 商品やブランドのコンセプトづくり
- 会議の議事録作成
もちろん1回で完璧なものをつく出すことはできませんし、すべて AI に任せることが最善でもないので、上記の “2分でできること” は、おおむね “たたき台” として使うようなものです。
しかし、以前であれば、これらにも時間をかけて取り組む必要があったはず。とすれば、そのぶん企画や資料のブラッシュアップ、コア業務、もっともっと創造的な作業などに、より多くの時間を割けるのではないでしょうか。時間の使い方が大きく変わり、効率化だけでなく、質と価値の向上にも貢献してくれるわけです。
ちなみに、そのほかにも2分で動画を作成してくれたり(Steve AI)、デザイナー顔負けの美しいスライドを瞬時に生成してくれる AI(beautiful.ai)も存在します。*2
また、迅速な意思決定が求められる管理職の方々も、
- 生成AIにあらゆる視点からのリスクを尋ねる
- 意思決定を行なった場合のシミュレーションを複数見せてもらう
など、さまざまな活用の仕方で、小さな決定だけでなく、大きな決定も素早く行なえるようになるのではないでしょうか。
では次に、たった2分でどこまで生成AIを活用できるのか、実際にやってみましょう。
生成AI×2分ルールでここまでできた
今回筆者は、生成AIのひとつである無料版のClaudeを使い、企画書のたたき台をつくってみました。googleのアカウントがあれば、Continue with Google をクリックして手軽に始められますよ。
まずは、「事務作業を長時間こなしている30代~40代向けの、長時間座っていても疲れない椅子の企画書をつくってください」というプロンプト(指示および質問)を出してみます。
すると、ものの数秒でこちらを作成してくれました(画面右)。
さらに、「スライドもつくってください。グラフなど、ビジュアル要素も入れて、見やすくしてください」というプロンプトで、以下を作成してくれます(画面右)。
ここまで、2分もかからず完成。
どんなに大雑把なものでも、人間が2分以内で同じものをつくり上げることなどできません。
こうして多くの作業の時間や手間を大幅にカットできれば、タスクがどんどん溜まってしまうような事態も、ストレスも減り、生産性が向上していくはずです。
また、時間に余裕ができれば、これまでできなかった業務の見直しや検証なども行なえるようになるでしょう。ぜひ、うまく取り入れてみてください。
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生成AIは OpenAI社のChatGPT、Google 社の Gemini や、今回実践に使用した Anthropic 社の Claude のほか、ユーザーの要望に基づいて新しいページをリアルタイムで生成する Genspark など、まだまだたくさんの種類があります。
また、その機能は常に更新され、質もかなりの速度で向上しています。生産性を飛躍的に高めることを考えれば、レベルがグンと上がる有料版もおすすめ。忙しい日々の業務効率化に大いに役立てましょう。
*1: Forbes Japan|先延ばしを減らす「2分ルール」で成功を手に入れろ 5つの実践方法
*2: SELECK|【厳選24】ChatGPTだけじゃない。今すぐ仕事で使える超便利な「AIツール」保存版
Shinya
大学では経済学を専攻。集中力があり、長時間、長期間にわたって勉強し続けることが得意。現在は、資格試験に向けて効率的な勉強法の情報を収集中。心理学にも関心があり、コミュニケーション力の向上を目指してさまざまなメソッドを学び、実践している。