Searchin’ for Comfy. 池田エライザと “心地よさ”の秘密を探しに。

2022.03.31

〈ルコックスポルティフ〉が掲げているタグライン「コンフィーフィット」。
この言葉には、着心地をコンフィー(快適)にするという意味以外にも、たくさんの思いが込められています。
今回、ブランドのアンバサダーである池田エライザさんと行くのは、「コンフィーフィット」の本当の価値を探す旅。
そして一路、和歌山へ。

ルコックスポルティフのComfy fit。

1882年にフランスで生まれた、フランス最古のスポーツブランド〈ルコックスポルティフ〉。サッカーにゴルフ、サイクリング、テニスと、これまでさまざまなジャンルのアスリートたちと、ものづくりを続けてきました。そして2022年の今年、ブランド生誕140周年を迎えます。

そんな〈ルコックスポルティフ〉が掲げるテーマのひとつが「コンフィーフィット」。「快適にフィット」するという意味以外にも、着用した人の心やライフスタイルにも「コンフィーフィット」するようなブランドでありたい、という願いが込められています。

ブランドのロゴである雄鶏も、時代とともに
変化してきました。一番手前に見えるのが、現在のもの。

どうしたら、それを実現できるのか。模索するなかで出会ったのが「ヘランカ®」という素材であり、その魅力を発信できる人物として、池田エライザさんをアンバサダーに迎えたのです。

「はじめて〈ルコックスポルティフ〉とお仕事をしたときは、とても伝統のあるブランドだなと感じたんです。けれど、長い時間を一緒に過ごすなかで、伝統だけじゃなくて、新しいことにも臆さず挑戦するブランドなんだと再認識しました。そして、〈ルコックスポルティフ〉を語る上で欠かせない生地『ヘランカ®』。今日はその生地工場を見学できると聞いて、楽しみにしてきました」(エライザ)

エライザさんは「ヘランカ」の魅力を、こう語ってくれました。

「ヘランカ®の素材って、軽くてフワフワしているけれど、なんだか頼もしい素材なんです。洗濯機に入れても全然大丈夫だし、ストレッチ性はあるのに、しっかり元に戻ってくれる。人間の色んな動きにあった素材なんじゃないかなと思うんです。20年でも30年でも着られそうな」

そうしてたどり着いた、和歌山県上富田町。人口約15000人の小さな小さな町。田畑が広がり、町の真ん中を二級水系の富田川が流れる、都会の喧騒とは程遠い田舎町。そこにあるニット工場「ヤマヨテクスタイル(以下、ヤマヨ)」が、今回の旅の目的地。

伝統技術の粋を 結集してつくられるへランカ®。

伝統技術の粋を
結集してつくられるへランカ®。

和歌山県で生まれたニット生地工場の「ヤマヨ」。1934年に創業されて、上富田町の工場は1970年から稼働しています。ここで、「ヘランカ®」の生地が作られているのです。

「ヘランカ®」は、これまで一流アスリートたちに愛用されてきました。着心地がよく、安心感があり、それでいてタフだから、激しい動きが伴うアスリートたちにとっては最適な素材。その素材が〈ルコックスポルティフ〉のアイテムにも使われていて、「コンフィーフィット」の核を担っているんです。

ここからは、エライザさんの工場見学の模様をインタビュー形式でお届け。

エライザ:まず、こちらの糸はなんですか?

ヤマヨ:この工場で作られる特殊な糸です。もともとのポリエステルの糸って、釣りで使うテグスのようなもので、ストレッチ性も何もない。それを熱加工して、撚りをかけることでストレッチ性が出て、ボリュームが生まれるんです。それが生地になると「ヘランカ®」という名前になるわけですね。

エライザ:私がいま着ているものも「ヘランカ®」の生地を使ったものですよね。安心感だったり、フワフワ感もそうなんでど、本当に軽いなって。

ヤマヨ:そうなんです。ひとつのジャケットを作るとして、普通のポリエステルの糸の半分くらいの量で作れてしまう。それが軽さに繋がっているんです。それと丁寧に撚りをかけてるから、生地の耐久性も高い。私たちは学生のジャージなんかも作っていまして。

エライザ:私、いまだに高校のジャージを着てるんです。全然くたびれてない。あれも「ヘランカ®」だったのかな。

ヤマヨ:たくさんの高校のジャージに採用されているので、その可能性は大ですね。

エライザ:外に着ていくことはないけど、まだまだ現役なんです。そう聞くと、すごさがわかりやすい。

ヤマヨ:では早速、工場に行ってみましょうか。

案内してくれたのは、「ヤマヨ」の営業課長である橋本さん。

エライザ:ポリエステルの原糸に撚りをかけていくのが、最初の工程ですか?

ヤマヨ:そうです。ここが一番大事な工程。原糸に、熱を与えながら、毎分60万回転の撚りをかけていきます。そうして高捲縮な糸を作り、それを次の工程で生地にしていくと。

エライザ:機械だらけですけど、新しいものもあれば古いものもあるんですね。

ヤマヨ:古いものだと、50年前から動いているものもあります。昔から機械は日本製なので、大きな故障はしませんし、ブレなんかも少ないんです。

エライザ:新しい機械もツヤツヤで、文明を感じてかっこいいですけど、50年選手の機械は渋みがあってかっこいい。でも50年以上前からこんな技術があって、私たちの生活を支えてくれてたと思うと、なんだかちょっと感動です。

50年以上使われている機械。故障をしては修理をし、いまだに現役で動いている。

エライザ:これだけ精密な機械だらけなら、故障することも多そうですよね。

ヤマヨ:そうなんです。そうなったらすぐに技師が来て、直します。

エライザ:新しい技術も取り入れながら、そうしたアナログさだったり職人技があってこそ、「ヘランカ®」は生まれいてるんですね。

ヤマヨ:やっぱり、手間暇を惜しむようでは、いい生地が作れないんです。それと私たちの工場には機械を熟知しているベテランも多い。最後は人が、ものをいう世界なんです。では次に、実際に撚りをかけた糸を見てみましょうか。

エライザ:新しい技術も取り入れながら、そうしたアナログさだったり職人技があってこそ、「ヘランカ®」は生まれいてるんですね。

ヤマヨ:やっぱり、手間暇を惜しむようでは、いい生地が作れないんです。それと私たちの工場には機械を熟知しているベテランも多い。最後は人が、ものをいう世界なんです。では次に、実際に撚りをかけた糸を見てみましょうか。

エライザ:うわっ、本当にフワフワ。元はテグスみたいな糸でしたよね。それがこうなるなんて、ちょっと信じられない。

ヤマヨ:すごいでしょ(笑)。この技術はうちだけです。ほかのところだと、ここまで膨らみが生まれない。丁寧に時間をかけて撚っていくからこそなんです。

エライザ:このフワフワした糸が、ここから生地(ヘランカ®)になっていくんですよね。

ヤマヨ:そうです。

エライザ:〈ルコックスポルティフ〉の着心地の良さも、実際に原料を見ると納得できますね。

ヤマヨ:こちらが、丸編み(ニット)をする機械になります。これで糸を編んでいって、生地に仕上げていくんです。

エライザ:これも細かい部品だらけ。針の数もすごいですね。

ヤマヨ:針はゲージにもよりますが、多いもので4344本。それが規則正しく並べられ、糸を編んでいくんです。糸が途中で切れたりすることもよくあるので、先ほどと同じで、技師たちが常に目を光らせてるんです。

ヤマヨ:生地になったものがこちらです。なので、これが「ヘランカ®」。重そうに見えるけど、見た目以上に軽いんです。

エライザ:1ヶ月で、どのくらい作られるものなんでしょうか?

ヤマヨ:大体300トンくらい。国内の生産能力はトップクラスかと思います。ほとんどが自社のオリジナルの生地なので、これが限界なんです。

エライザ:丁寧に作られているからってことですよね。ちなみにこのロールで、どのくらいの製品が生まれるんですか?

ヤマヨ:エライザさんがいま着ているようなジャケットだと、30着くらいです。

エライザ:これまで〈ルコックスポルティフ〉と一緒にアイテムを作ってきましたけど、なんの気無しに使ってた生地が、こんなに手間暇かけて作られているなんて知らなかったです。今日は見学させていただき、ありがとうございました。

池田エライザとルコックスポルティフの、これから。

池田エライザとルコックスポルティフの、これから。

価格競争が激しくなって、いかにコストを下げるかが至上命題のようになっています。けれど、〈ルコックスポルティフ〉も、素材を提供する「ヤマヨ」も、手間暇を惜しまず、あくまでクオリティファースト。

「私は消費を促す立場にいるので、何を発信するかをすごく考えさせられます。だからこそ、こうやって製造の工程を見ることができて、それが長く安心して着られるんだって知れたことは、とても意義があるなと感じました。いまはより〈ルコックスポルティフ〉のアイテムを、みなさんに自信を持っておすすめできる。そして、いろんな意味で、みなさんに『コンフィーフィット』してくれるんじゃないかと思いました」

冒頭でも伝えた通り、「コンフィーフィット」というのは何も着心地だけじゃない。そこに関わるユーザーや生産者、すべての人たちが「コンフィーになっていく」という、結構壮大なテーマ。そのブランドミッションは、まだ道半ば。ここから先も、ものづくりと真摯に向き合い続け、より多くの人に「コンフィーフィット」を届けていきます。

最後に、エライザさんにとっての「コンフィーフィット」を聞いてみました。

「休みの日であったり、1日の始まりや終わりは、自分らしくいられるコンフィーな環境があるべきだと思っていて。一方で、自分が背伸びをしなきゃいけない環境にコンフィーがあることは夢のような話だと思ってたんですけど、工場見学をさせていただいて、それは夢じゃないんだなっていうことがわかりました。それを叶えてくれるのが『ヘランカ®』という素材なんだなって。ちょっと恥ずかしいけど、自分を愛してあげる選択をすることが『コンフィーフィット』ってことなんだと思います 」

1996年生まれ、福岡県出身。女優として活躍するかたわら、モデルや映像監督、歌手、スチールカメラマンなど、近年はそのクリエイティブな活動にも注目が集まる。2019年より〈ルコックスポルティフ〉のアンバサダーに就任し、商品開発にも携わる。
Instagram:@elaiza_ikd

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