日本人って本当にミュージカルが嫌いなの? | 老いた犬に芸は仕込めない ~声楽 & 身の回り日記~
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日本人って本当にミュージカルが嫌いなの?

 標題の通り、日本人って本当にミュージカルが嫌いなのかな? と、最近思うようになりました。もしかすると“今の”“特定の世代の”日本人がミュージカルが嫌いなだけで、元々は言われるほど嫌いではなかったのではないのか? と思うようになりました。

 と言うのも、最近、古い映画…戦前、戦後の映画をたまに見るようになりました。戦前の映画って、大半が無声映画なわけで、音が無いのだから、ミュージカルも何もないのです。その無声映画の時代の反動なのか、戦後の映画って、ミュージカルと銘打っていないだけで、結構ミュージカル映画が多いような気がするのです。

 だって、今まで画しかなくて、音声は弁士と劇団付きの楽隊の生演奏しか無かった映画に、音が付くようになったわけで、洋の東西を問わず、あの時代の映画って、音楽や歌にあふれていたわけです。あのチャップリンでさえ、トーキーの時代になったら歌ってますからね。ハリウッド映画は、ブロードウェイの伝統がありますから、トーキーの時代になったら、本格的なミュージカル映画を製作し、それが日本に輸入されているので、日本人は、あのような本格的なミュージカル映画だけがミュージカルなのだと勘違いしているわけだけれど、日本の戦前のミュージカルって、当時の流行歌やそれらを元にした替え歌をバンバン歌っていたりするわけです。服部良一とか三木鶏郎などの流行歌作家の曲は、当時の映画の中でよく歌われていたようです。

 また、当時の役者さんは、歌える人も多く、いわゆる“銀幕スター”と呼ばれる人は、主演作の中で歌うものでした。古くは、エノケンや笠置シズ子がいるし、少し時代が下がれば、美空ひばりや石原裕次郎等がおり、さらに下がるとビートルズの影響でしょうか、パンドであるタイガースやスパイダースが映画の中で歌って踊り、我らの世代だと、ちょっと売れたアイドルたちは、みな銀幕で歌って踊っていました。私はフィンガー5の映画を見た記憶があります。

 これらの映画は、厳密な意味ではミュージカルではないのかもしれませんが、芝居と歌がいいバランスで組み合わされた娯楽映画で、実に多くの人たちがこれらの映画を楽しんだものです。

 今の時代になれば、言うまでもなく、2.5次元ミュージカルも大盛況だし、劇団四季のようなミュージカルをメインに据えた劇団も頑張っているし、ディズニー製のミュージカルアニメ(「アナと雪の女王」とか「ラプンツェル」とか)は大人も子どもも楽しんでいるわけです。若い世代は偏見なくミュージカルを楽しんでいます。

 そう考えると、昔の日本人とか、今の若い世代たちは、決してミュージカル嫌いじゃないんだと思うわけです。つまり、ある特定の世代の日本人がミュージカルを毛嫌いしているのではないかと、私は思うわけです。

 では、それはなぜか? 私は色々と考えてみましたが、これと言って思い当たる理由がありません。おそらく、原因は複数あって、それらが複雑に絡み合っているのではないかと思われます。しかし言えることは、日本の映画界では、ある時点から、ミュージカル映画を制作しなくなりました。映画の中で俳優が歌うことがなくなりました。歌が本業であるアイドルの映画ですら、劇中で歌わなくなりました。ドリフターズやクレイジーキャッツのような、歌も歌えばコントもやるような、お笑いさんもいなくなってしまいました。

 やがて、歌は、歌しか歌えない歌手たちが専業でするようになり、ミュージカルは、売れなくなった歌手たちが、誰も見てくれない舞台で行う場末の芸能になりました。この時代に青年だった時代の人たちが、今は老人になっているわけですが、彼らが“俺はミュージカルなんて嫌いだ”と言っているのだと、私が思うのです。で、老人って声が大きいですから、ジジイが嫌いなものは、日本人全体が嫌いだ…と誤解されているのではないか。

 とまあ、私はそんなふうに考えているわけです。

 そう考えると、ミュージカルって、日本では一時期、オワコンになったのでしょうね。なのかもしれません。一度オワコンになってミュージカルが、今の時代、これだけ受け入れられているわけですから、やはり日本人は決してミュージカルが嫌いなわけではないのだなと思います。

 それにしても、ジジイって声がデカいよね。だからジジイの意見が世間一般の意見として通りがちだけれど、それって、よく考えで見ると…老害なんじゃないの? なんか、世間全体がジジイの意見に惑わされているだけで、ほんとの世間とジジイの望む世界って、ズレているんじゃないのかな?って思わないでもないです。

 たぶん老害、きっと老害…でもジジイの声が小さくなる事は無いんだよなあ。だから、日本の社会がまともになるには、今のジジイたちが死んでしまい、死滅するのを待つしかないのかもしれません。

 ううむ、話がミュージカルから始まった割には、だいぶ大きな話になってしまいました。

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