チバユウスケさんのこと
チバさんが亡くなってから1か月と少しが経った。
いまだにいなくなった気がしないのは、
音源の歌声がひとつも変わらないからだと思う。
そもそも知り合いでもなんでもない、一方的なただのファン。
自分にとってチバさんという存在は、人間というよりも音楽だったということ。
そう思えることに今は安心している。
そして何より、音楽家としての、ロックンローラーとしてのチバさんは
「全てやり切った」のではないかという想いがある。
これは個人的な意見だ。
しかし、28年間追い続けてきたファンとしては、この事実にホッとしている。
なぜなら、そこが決定的にアベさんとは違うからだ。
アベさんはミッシェル解散以降、その才能とエネルギーの行き場を失ったまま
亡くなった。これもファンの勝手な推測だが、間違いないと思う。
それがたまらなく残念で悔しかったし、その想いは今も変わってない。
チバさんは違う。
ミッシェルに始まり、ROSSOを経てThe Birthdayに至るその道のりで、
狂乱からアート、そして大きな優しさを獲得するに至った。
ロックという音楽が、ここまで豊かな表現の幅を持っていることを教えてくれた。
この先何があるというのか。
チバさんはやり切ったよ。最後まで本当にカッコ良かった。
僕の心の中で、常に2人は並んで立っている。
不思議だけど中学生の頃からずっとそうだった。
だから、チバさんの悲報に接して最初に頭に浮かんだのは
アベさんの最後だった。比べるようなことじゃないのに。
二人のいた世界が終わった。
でも僕はなにひとつ失ってない。
音楽はもちろんだけど、あの時感じた気持ちもずっと消えることはない。
たまに、突風みたいに襲ってくる寂しさを消す方法も知っている。
二人のあの爆風みたいなロックを聴くことだ。
一瞬で全てが吹き飛ぶ。