STUDENT VOICE / 松田崚汰 | STAND UP STUDENTS | Powered by 東京新聞

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いま、わたしたちのまわりで、
起きていること。

毎日の勉強や、遊びに恋愛、就活。普段の暮らしの中では見えてこないたくさんのできごと。環境のことや政治、経済のこと。友達の悩みも、将来への不安も。小さなことも大きなことも全部、きっと大切な、自分たちのこと。

確かなこと。信じること。納得すること。コミュニケーションや、意見の交換。
あたりまえの自由さ、権利。流れてきた情報に頼るのではなくて、自分たちの目で耳で、手で、足で、感動をつかんでいく。

東京新聞『STAND UP STUDENTS』は、これからの社会を生きる若者たちに寄り添い、明日へと立ち向かっていくためのウェブマガジンです。等身大の学生たちのリアルな声や、第一線で活躍する先輩たちの声を集めることで、少しでも、誰かの明日の、生きる知恵やヒントになりたい。

時代を見つめ、絶えずファクトチェックを続けてきた『新聞』というメディアだからこそ伝えられる、『いま』が、ここに集まります。

STUDENT VOICE

松田崚汰

22歳

STUDENT VOICE

人は誰でも
居場所が必要

松田崚汰 22歳

人は誰でも
居場所が必要

やりたいことを大きな声で「やりたい」と言えない田舎に自分の居場所はない気がして、その空気が嫌で、役者になるために上京してきました。人は誰でも安心して過ごせる『居場所』が必要だと思っていて、僕は全身全霊で挑める役者という仕事に居場所を見つけました。演技を通じて学んだのは、自分の言葉や動き一つが相手に影響を与えるということ。相手があっての自分です。だからお互いを理解しなければと気づきました。

新聞やニュース、メディアについて
聞かせてください
SNS の発達のせいで現実とネットとマスコミの報道にギャップを感じています。何を信じていいのかわからないです…。だからあまり SNS は真に受けずに、気になるニュースがあったら信頼できる*アクティングトレーナーや友人と積極的に話をするようにしています。

*アクティングトレーナー … 俳優個々に寄り添い演技指導などを行う専門家
東京新聞の記者に
聞いてみたいことはありますか?
多くの役者は、世の中で起こる時事を種にしています。社会に対する不満や怒りも、主観と客観のバランスを取りながら表現やメッセージへと変えていきます。新聞記者の方は、執筆するにあたって、例えばすごく嬉しい時、怒りや憎しみが湧いた時、主観と客観のバランスをどう保っていますか?
回答 あり

東京新聞 文化芸能部 出田阿生から

「相手があってこその自分」を認識した松田さん、素晴らしいです。そして「主観」と「客観」の違いって何だろう。難しい…。お芝居を通して社会への不満や怒りを表現する際に「主観と客観のバランスを取っている」というのは、独り善がりの伝え方にならないように、多くの人に共感される表現を追究しているのかな、と想像しました。だとしたら、新聞記者の仕事も同じだなあと感じます。

私の仕事の原動力は、怒りや不満です。…というと「怖い!」と誤解されそうですが、これは本当です。その怒りや不満は個人的な感情であると同時に、その多くが理不尽な社会構造から発生しているからです。「個人的なことは政治的なこと」という有名な言葉がありますが、まさにそれ!

たとえば母子家庭の貧困は、母親が怠けて働かないからではありません。女性の賃金が不当に低く抑えられてきた歴史、子育てと仕事の両立が難しい労働環境、国の子育て支援策の不足…。ありとあらゆる社会的要因が「貧しさ」に追い込んでいるだけ。「自己責任」とは対極にあります(それなのに政府に「自助」せよ、と言われてもねえ)。

私自身も母子家庭で育ちました。周囲に「貧しいだろう」と烙印を押され、「かわいそう」と思われることがとてもとても嫌でした。それは私の「主観としての怒りや不満」です。大人になって、母子家庭育ちが不幸なのではなく、貧困を生む社会構造や、偏見・差別が諸悪の根源だと分かりました。これが「客観としての怒りや不満」です。…あ、ちょっと感情的になってしまった(笑)

お芝居といえば、今秋にあった岸田国士戯曲賞授賞式でのスピーチは感動的でした。受賞者の一人、劇作家の市原佐都子さんが演劇界のパワハラや女性差別に言及しました。市原さんは「個人的なこと」として口をつぐんできたけれど「業界の構造」問題だと認識した、と語りました。声を上げた勇気に涙が出そうになりました。 

出田阿生(いでたあお)
1997年入社。愛知県と埼玉県で支局勤務後、東京社会部で司法などを担当。特報部を経て、現在は文化芸能部で文芸・美術を担当しつつ、近年は「自分ごと」としてジェンダー問題に首を突っ込んでいます。46歳。
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