特定の1つのセクターが社会を牛耳ると、社会のバランスが失われて、人々が苦しみを味わう結果になる。共産主義体制の下で政府セクターが社会を支配したときもそうだったし、資本主義の名の下で民間セクターが社会を支配している今日もそのようなことが起きている。社会が健全であり続けるためには、敬意を集める政府セクター、責任感をもった民間セクター、そして強靭な多元セクターが欠かせない。この3つ目のセクターを「非営利セクター」や「第三セクター」などといった不適切な呼び名ではなく、「多元セクター」と呼ぶことにより、このセクターをほかの二つのセクターと対等のしかるべき地位に位置づけることが可能になる。そうすれば、社会のバランスを取り戻すうえでこのセクターだけが果たせる役割を私たちも正当に評価できるようになるだろう。
NPO・NGO・コミュニティ
市民主導の地域創生を牽引する4種のリーダーシップ:雲南市のまちづくりを支える「土・火・水・風」の人
日本のなかでも少子高齢化がいち早く進み国の25年先をいく「課題先進地」といわれてきた島根県雲南市。その地はいま、「課題解決先進地」として大きな注目を集め、移住者も後を絶たない。なぜ雲南市のまちづくりが注目を浴びるのか。魅力的で持続可能なまちづくりを可能にする4種のリーダーシップに着目し、考察する。
日本で最も自殺の少ない町から学ぶ都市のデザイン:「路地」と「ベンチ」が援助希求行動を促す
徳島県南端にある太平洋に面した海部町(現海陽町)は日本で自殺率が最も低いことで知られている。この町を対象とした研究から自殺の危険を抑制するコミュニティの特性が見えてきた。それらの社会実装に向けた試みを紹介する。
Editor’s Note:コミュニティの可能性を諦めない
今号はコミュニティ特集です。社会課題の現場としてのコミュニティと、その課題解決のリソースとしてのコミュニティという2つの側面に光を当てました。
「やっかいな問題」の解き方としてのネットワーク:災害復興の鍵を握る「ハブ」は何をしているのか
災害、環境破壊、貧困など現代社会には解決が難しい複雑な問題があふれている。私たちの社会は、こうした「やっかいな問題」にアプローチするために、人と人とが紡ぎ出す社会ネットワークを活用している。本稿では、東日本大震災へのサードセクターの対応の事例から、「問題の解き方としてのネットワーク」を可視化し、そのメカニズムの特性や扱い方を理解する。
時間の寄付か、お金の寄付か
非営利団体は金銭の寄付を望んでいるにもかかわらず、なぜ寄付者はお金ではなく、ボランティア活動による支援を好むのだろうか。また、どのようにすれば、非営利団体は寄付者に対して、金銭的支援を促すことができるだろうか。
非営利団体を悩ます「間接費」のジレンマ
「非営利団体は、寄付や助成金は事業にまわすべきで間接費や管理費は最小限に抑えるべきだ」
世間に広く根付いているこの考え方が実は非営利団体の経営を追い詰めている。この悪循環はどのような構造になっていてそれを断ち切るためには何が必要なのか?(SSIR 2009年 秋号)
「チャレンジの総量」を増やす際の障壁をどうやって取り除くか
稼げる町を生んだ「地域らしさ」の活かし方 ※本稿は、SSIR Japan 編『スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー 日本版 04 コレクティブ・インパクトの新潮流と社会実装』のシリーズ「社会を変えるコラボレ […]