◆フィギュアスケート ▽グランプリ(GP)シリーズ 第4戦・NHK杯 最終日(9日、東京・国立代々木競技場) フリーが行われ、女子はSP首位の坂本花織(24)=シスメックス=が152・95点、合計231・88点で3度目の大会制覇を果たした。…
◆フィギュアスケート ▽グランプリ(GP)シリーズ 第4戦・NHK杯 最終日(9日、東京・国立代々木競技場)
フリーが行われ、女子はSP首位の坂本花織(24)=シスメックス=が152・95点、合計231・88点で3度目の大会制覇を果たした。いずれの得点も今季世界最高をマーク。GP2連勝で、連覇がかかるファイナル(12月・フランス)行きを決めた。日本女子は大会16年ぶりに表彰台独占となった。男子はSP首位の鍵山優真(21)=が合計300・09点で大会連覇。ペアは三浦璃来(22)、木原龍一(32)組=木下グループ=が2位でファイナル切符を手にした。
こん身の演技を締めくくるフィニッシュで、坂本は豪快に笑った。バランスが大きく崩れ「ちょっと待って。最後にこけるの?」。何とか耐えた。立ち上がると、今度はよろよろと足がもつれた。力を出し尽くした4分間。「びっくり。とにかく一番、今は幸せ」。SP、フリー、合計全てで今季世界最高をたたき出す“3冠”と圧巻だった。
青木、千葉と日本勢の好演技が続き、迎えた最終滑走。「超えられるように頑張ろう」。頬をたたき、気合を入れた。スタート位置につくと「シカゴ」で演じる悪女の不敵な笑みを浮かべて熱演。「前半からぶっ飛ばして」と流れるようにジャンプを決め、全7本を着氷した。「今できるMAXの出来」と喜んだ。
メイクに支障が出るほど緊張したSPから一転、この日は冷静だった。男子フリーで同門の壷井がGP初表彰台を決める好演技を披露すると、絶叫。「『すごい声が聞こえたよ』という苦情が来ました(笑い)」。仲間の頑張りが力をくれた。
今季は「CHANGE」を掲げ、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けた挑戦を決めた。フリーは、昨季から高難度のジャンプを増やした構成に変え、演目でも新境地を開拓する。
次はGPファイナルで13年の浅田真央さん以来の日本女子連覇を狙う。「75点」と評した中野園子コーチが「もうひと絞り」と話したことを聞くと、「おそろしい。怖いけどしがみつきます」と笑って覚悟を決めた。3大会ぶり3度目のNHK杯制覇は坂本らしさ全開、世界女王の強さを証明した2日間だった。(小林 玲花)
◆坂本 花織(さかもと・かおり)2000年4月9日、神戸市生まれ。24歳。3歳でNHK連続テレビ小説の「てるてる家族」を見て憧れ、4歳で競技開始。17~18年シーズンにシニア転向。18年の四大陸選手権優勝。初出場した同年の平昌五輪6位。同年の全日本選手権優勝。22年の北京五輪で銅メダル。世界選手権は22~24年で3連覇。23年GPファイナル優勝。159センチ。