動物行動学と犬の本能|お役立ち情報 犬猫小動物|スペクトラム ブランズ ジャパン 株式会社(旧テトラ ジャパン株式会社)

動物行動学と犬の本能

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動物行動学とは?

動物行動学とはその字が表す通り、動物の行動を深く研究する学問です。動物たちがその動物らしくいきているか?精神的にも肉体的にも健康か?など動物の視点に立って考えるサイエンスで、犬を含め、動物たちを幸せに導ける学問です。 

動物行動学に基づく考えでは、本能を発揮させてあげることが心と体の健康に大切だとされています。動物園でも環境エンリッチメントとして取り入れられています。下記の写真のように餌をそのまま与えるのではなく、隠したりするのが一つの例です。

犬の本能とは?

犬は元々仲間と群れで生活し狩猟する生き物です。獲物を捕らえるため走り、噛んで解体する―これが犬としての本来の姿です。「走る」ことは散歩やドッグランに行くなど、意識的に行いますが、「噛む」ということはむしろ抑制していませんか? 

本能が抑制されることでストレスがたまり、噛んでものを破壊する、すぐ吠える、自分の足を執拗になめる等の「隠れ不満」として現れることがあります。

~動物行動学の専門家に聞いた~ 犬にとって噛むことは 発散できる楽しい時間!

犬がスリッパやリモコンを噛んで困るという相談があります。
おいしくもないリモコンを犬が選ぶのは、自分のオモチャを噛んでも反応しない飼い主が、リモコンを噛めば100%声をかけてくれるからです。

犬にとって噛むことは本能であり、飼い主にかまってもらうのはうれしいこと。ヒマを持て余している愛犬が、正常な行動欲求を発散させているだけなのです。

あらかじめ噛まれても困らない対象を与えたり、望ましい行動に対してほめるなど、飼い主が正しく対応すれば困った行動に発展することはありません。

人間の子どもならヒマなときに絵を描きます。紙がなければ、壁に描くでしょう。つまりこれが困った行動や問題行動と言われるものです。壁に描かれる前に、紙を与え、そこに描くことを教え、描いたことをほめるようにすれば予防できます。

飼い主が変われば、犬の行動が変わります。叱ってガマンさせるのでなく、犬の本能を理解してしつけることで、愛犬と飼い主の暮らしがより幸せなものになるはずです。

日本獣医動物行動学研究会会長 水越美奈先生