データで見る 高校生の今[6]高校生が考える“社会で必要とされる能力”と “現在持っている能力”とのギャップとは? | 高等教育 | リクルート進学総研

データで見る 高校生の今[6]高校生が考える“社会で必要とされる能力”と “現在持っている能力”とのギャップとは?


【高校生】 現在持っていると思う能力と将来必要とされる能力(全体/それぞれ3つまでの複数回答)n=1752


主体性や実行力が求められると考えるが、現在持っているのは傾聴力と規律性

 第6回「データで見る高校生の今」では、リクルート進学総研と一般社団法人 全国高等学校PTA連合会が実施した『第10回 高校生と保護者の進路に関する意識調査2023』の結果から、高校生が考える将来必要とされる能力について紹介する。

 この調査は、高校2年生とその保護者に対し、進路に対する考え方とコミュニケーションの実態を探る目的で隔年にて実施している。2023年の調査結果の中から、経済産業省が定義する「社会人基礎力」について尋ねたデータによると、高校生が考える “①将来社会で働くにあたり、必要とされる能力”は「主体性」(51.5%)がトップとなり、次いで「実行力」、「創造力」と続いた。これに対し、“②現在持っていると思う能力”を尋ねたところ、「傾聴力」(43.9%)、「規律性」、「柔軟性」となった。

 “ ①将来社会で働くにあたり、特に必要とされる能力”について“②現在持っていると思う能力”だと答えている高校生を見ると、「主体性」は25.2%、「実行力」は12.0%、「創造力」は11.4%となり、①と②のギャップが最も大きい能力でもあることが分かる。この質問を実施している過去4回分の調査結果と比較すると、少なくとも2015年から①と②のギャップが最も大きいものが「主体性」であることに変わりはない。その他これまでは「実行力」や「発信力」が続いていたが、“①社会で必要とされる能力”として「創造力」の割合が2015年から徐々に高まり、今回の調査で初めて「発信力」を上回った。

 高校生が自負する強みである能力は「チームワーク」に関連したものに集中し、将来社会で必要だと思う一方で現在持っている能力とのギャップが大きい項目は「アクション」と「シンキング」に明確に分かれる結果となった。「チームワーク」を活かしつつ、「アクション」「シンキング」の力を伸ばす鍵として、2020年以降に実施されている教育改革を背景とした個別最適化された学習や探究型の学習の成果がますます期待される。



(文/岡田 恵理子)


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