詩・短歌 : 風白狼日記

風白狼日記

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カテゴリ:創作関連 > 詩・短歌

 
図書館の階段を上る
本を探していた訳でも、調べ物があった訳でもない
ただ、涼みたかったのだ
猛暑と騒がれていた熱気も和らぎ、朝晩はいくらか過ごしやすくなった
だが、それでも昼間は暑いのだ
 
ソファに腰掛けてぼんやりと窓を眺める
読みかけの本でも持ってくれば良かったなどと後悔しながら、私はただ座っていた
 
ばっさりと建物を切ったかのような大きな窓の外
綺麗に舗装された道が真っ直ぐに伸び
その両側に長方形の池がたたずむ
それを見下ろすように大きな木が木陰を落としている
両脇の道は大きな道路に向かって伸び
それに沿って街路樹が並ぶ
木々の間からは大学の建物が並んでいた
 
私の心に感動に似た何かが湧き起こる
ここは静かだ
図書館の中だから当たり前かもしれない
けれどここは故郷とは違う街中で
真下には人の集まる入り口がある
 
しかし車の多い道路は木々の影で見えず
入り口で喋る彼らの姿は見えない
窓も木々も喧噪を覆い隠し
歩く人もまばらで木陰に休む者もいる
まるで穏やかな部分だけが目の前にあるようだった
 
それを理解したとき
私の心に浮かんだのは穏やかな風景に包まれた喜びか
あるいは隠さねば世の中の汚い部分が見えてしまう事への自虐だったのか
自分でも分からない
ただ分かるのは
私の心は穏やかだということだけ

 
ヘマをしたって
心を奮い立たせれば耐えていられる
 
 
でも ひとたび終わってしまうと
後悔は私の心に押し寄せる
 
緊張感の中にいれば
励ましの声こそありがたいものはないのに
今はその言葉が
ガラスのハートに突き刺さる
 
押さえ込まれた感情が
涙となってあふれ出る
こらえようにも止まらない
 
もういっそ どん底まで落ち込みたい
心の中の負の感情に呑み込まれたい
 
 
 
思い切り泣いた空は
再び太陽の光を覗かせる
いちど落ち込んでしまえば
再び私を振り向いた時笑っていられるから
 
だから
 
落ち込むな なんて言わないで
 

 
誇らしげな君の姿
私の目には雪と映る
 
鮮やかな君の春の色
季節違えぬ深緑の中で
闇夜に淡く佇む
 
今肌を包む風は
確かに春のものだけれど
私には君が
雪をたずさえた枯れ木に見えた

 
孤独だった
寂しかった
 
誰もが仲の良い人と集まって
そうして他者を排除すべく垣根を築く
目には見えぬがはっきりとした境界が
私の前に立ちはだかって
私だけ外に出されているような心持ちがした
 
 
 けれど
それはかつて見てきたような強固な物ではない
ようやく それに気付いた
 
境界はおぼろげに
他の境界と交わる
いくつもいくつもそうなって
元がどうだったのか分からないほどに
 
 
グループにこだわりたくないと思っていた
けれど一番こだわっていたのは私自身ではないか
垣根を作っていたのは
他でもない、私自身ではないかと
 
 
 そうして見た時
この場所がまた
好きになった
 

刹那
君の吐息が
斜光に煌めいた
 
現れた無数の光の粒は
目に焼き付く前に
はかなく消えて
 
陰ったグラウンドでは気付かないけれど
木々が絞り出したスポットライトに
美しくはかない姿を見せてくれる
 
 
 また 見えないかな
私の心に淡い期待が残る

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