2025年 02月 15日
いつの間にか話題は |
昨日はジゼルとドリスと三人で
近くのカフェでお喋りをした。
ジゼルはつい二週間前に乳癌の2度目の
手術をしたばかりだ。肺にも転移しているとか。
それでも彼女は手術後数日で退院して、
一人暮らしを続けている。
毎日、近くを20分ぐらい散歩し、
しょっちゅう休みながらも
自分で料理でも何もしているという。
というか、せざるを得ない。
私だって彼女の境遇に置かれたら
そうせざるを得ないだろう。
ジゼルはトラムと徒歩で半時間以上かけて
ドリスや私が住む地区に出てきてくれた。
一方、ドリスは膝と腰の痛みのために
とぼとぼとしか歩けない。
立ち上がるのも大変そうだ。
それなのにドリスは
友人の演劇公演を観に、
バーデンバーデンまで出かけたり、
展覧会を観に、
隣のスイスのバーゼルまで出かける。
そのエネルギーには感心してしまう。
「病気の話はしない」とお互いに戒めあっても
つい話題は病気になってしまった。
でも、暗い話ではなくて、
冗談が混じるのが嬉しい。
tanatali3さんがブログここで書いていらした
面白いエピソードを二人に話してあげた。
「男が欲しい、男が欲しい」と私が身悶えして
二人はケラケラ笑う。
「愛欲より食欲を満たす方が大事になってしまったね」
とまたケラケラ。
お互いの過去のイロイロを知っているから
笑いにも含みや深みが加わる。
ジゼル(82歳)の一人娘(60代半ば)は
長い間住んでいたインドネシアのジャワ島で
数年前に未亡人になった。
彼女はインドネシア人の夫と一緒に
素敵なロッジホテルを営んでいたけれど、
夫亡き後はそれが許されなくなった。
インドネシアでは女性、
そして特に外国籍の女性には
ホテル営業のような仕事も財産の相続も
簡単には許されないという。
こうしてジゼルの娘は
生きていくための金の問題が解決しないせいで、
ドイツに簡単に戻ることもできない。
彼女の娘たちも孫(ジゼルにとっては孫、ひ孫)
もドイツで生活しているのに。
癌を克服するだけでも大変なのに
ジゼルの心配は尽きないのだ。
それでも私たちと一緒にアハハと笑う彼女は素敵だ。
カフェでジゼルが奢ってくれた(去年の誕生祝い)のは
ケイルをクタクタに煮たスープとリンゴのクランブルケーキ。
どちらもいかにも手作りで見た目は簡素だけれど、
味はレストランより優っていた。
大通りまで戻る1キロほどの徒歩は
一緒に歩くという二人のテンポに合わせたので
ゆっくり、とぼとぼ。
ケラケラ笑いながら、
黄昏をトボトボ歩くおばばたち。
ジゼルが後ろから私に
「あなた、まだスカート履いてるのね」
と言った。
「そうだよん、自作だよ。
フェルトだから裾は断ちっぱなし」と
膝上丈スカートを自慢げに見せてやった。
こうやって若っぽくしても、
中身がヨボヨボなのが残念。
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by Solar18
| 2025-02-15 18:05
| 友だち
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