2022年 02月 15日
ソーダブレッド |
で書いた「読み聞かせ」は今も続いていて、
フランク・マコートの「アンジェラの灰」「アンジェラの祈り」
に続く三冊目の「教師人生」(オリジナルの英語版はTeacher Man)のドイツ語版を読んでいる。
マコートはエリート高校のCreative Writing(日本語だと創作文芸と言うそうな)の授業で、
生徒たちの興味を喚起しようとしてある時、
生徒たちに料理のレシピを持って来させ、それぞれのレシピを読ませる。
生徒たちのアイディアから、
レシピの朗読に合わせて別の生徒たちがさまざまな楽器を演奏する
賑やかな授業になり、マコートは「こんなことをしていいのか」と不安にもなる。
生徒たちが読むレシピの中にソーダブレッドが出てきた。
話には聞いていたソーダブレッド。
著者マッコートと同じくアイルランドに由来する。
相棒に説明しても、
彼はソーダブレッドがどう言う物だが想像できないらしい。
「何と一緒に食べるの?」などという意味のない質問をする。
「ブレッドなんだからパンと同じよ」と言ってるのに。
それで、百聞は一見にしかず、ソーダブレッドをすぐに作った。
「本格的に」するために英語のレシピで見つけた
BBCのレシピで作った。
ソーダブレッドの良さは、
イーストやサワー種で生地を発酵させる手間と時間がかからないこと。
思いついたら準備15分、焼く時間30分余りでできてしまう。
参考にしたレシピに従って、でも量は減らして
スペルト麦粉300g、スペルト麦の全粒粉300g、
オートミール50g、バターミルク250mlぐらい
塩小さじ1、重曹小さじ1、バター15gを合わせ、
さっと混ぜて、丸く成形して、
180度のコンベクションで35分焼いて出来上がり。
バターミルクは元々は牛乳からバターを作った後に残る
どろっとした液体。
今では牛乳を発酵させて作るらしい。
飲むヨーグルトみたいなもの。
私はこう言うのは好きでないので買ったことはなかった。
今回買ってみて、安いのに驚いた。
500mlが39セント(60円ぐらい?)。
バターミルクの代わりにヨーグルトでもできる。
もちろんスペルト麦でなくて小麦粉で焼くのが普通。
いずれにしろ、ものすごく簡単に焼けて、
塩味のケーキみたいなものが出来上がった。
写真を撮る前に半分食べてしまったので、残りの見窄らしい姿
焼き立ては外側がカリッとして美味しいけれど、
時間が経つと味はどんどん落ちると言われる。
それでも翌日に残りをちょっとトーストして
バターをつけたら、それなりに美味しかった。
そしてこの香り!
母が大昔、小麦粉と重曹を混ぜて作った
蒸しパンと同じ香り。
懐かしい香りが蘇ってきた。
パンはイーストの香りがするけれど、
ソーダブレッドは重曹の香り。
これはこれで美味しい。
ちなみにマコートのクラスはレシピ朗読より前に、
料理持ち寄りイベントもした。
生徒たちの祖先は様々な国の出身者なので、
スカンジナビア、中国、アイルランド、イタリア
韓国など様々な料理が集まった。
生徒たちがこのご馳走を持って、
学校の外に出てみんなで食べていると、警官が通りかかる。
「何をしている?」と聞く警官たちにも生徒たちはご馳走する。
韓国人生徒が持ってきたキムチを口に入れた警官は
あまりの辛さにビッくり。想像できる。
生徒たちはご馳走をホームレスの人々にもプレゼントして
喜ばれる。
こういう授業が創作活動にどう繋がっていくのかはわからない。
著者自身もこの時点ではわからなくて、悩んでいるのだから。
by Solar18
| 2022-02-15 21:24
| 料理・パン・ケーキ
|
Trackback
|
Comments(6)
Commented
by
saheizi-inokori at 2022-02-16 09:49
私も食べたことがないかな。
こんどパン屋で訊いてみよう。
こんどパン屋で訊いてみよう。
1
Commented
by
Solar18 at 2022-02-16 18:47
> saheizi-inokoriさん
これは正確に言えばパンではない(酵母を使っていない)ので、パン屋さんでは売られていないと思います。焼いてすぐに食べないと味が格段に落ちますし。自家製インスタントパンみたいな物です。
これは正確に言えばパンではない(酵母を使っていない)ので、パン屋さんでは売られていないと思います。焼いてすぐに食べないと味が格段に落ちますし。自家製インスタントパンみたいな物です。
Commented
by
okanouegurasi at 2022-02-16 23:09
マコートの授業は、社会における人間的な創造力と想像力の端緒を若者たちに感じさせることが出来た、と思います。
なんて、読んでもいないのに生意気に...ですが
総体的に物ごとをとらえるためには、知識だけのきれっぱしではダメだと思うのです。食は文化や地理的な違いや民族の違いまでみせるいい教材ですね。
ソ-ダーブレットは興味はあるけれど、まだ作っていません。お砂糖を入れてケーキにしてしまうので(笑)
なんて、読んでもいないのに生意気に...ですが
総体的に物ごとをとらえるためには、知識だけのきれっぱしではダメだと思うのです。食は文化や地理的な違いや民族の違いまでみせるいい教材ですね。
ソ-ダーブレットは興味はあるけれど、まだ作っていません。お砂糖を入れてケーキにしてしまうので(笑)
Commented
by
Solar18 at 2022-02-16 23:41
> okanouegurasiさん
マコート自身もおっしゃるような点で自信があったからこそ、この本に書いたのだと推測しています。まさに総合的な授業ですね。モーティベイションのない生徒たちの興味をどう喚起するかで苦悩したようです。ちなみに著者がこの三作目を書いた後で行われた講演の動画があります。ユーモアを混じえたスピーチで、面白いです。私は英語に耳がなじむまでに時間がかかりますが。
ソーダブレッド、バターと蜂蜜をつけて食べるので、結局はケーキのような成分になってしまいます。一回作ったらもう必要ない、という体験でした。
マコート自身もおっしゃるような点で自信があったからこそ、この本に書いたのだと推測しています。まさに総合的な授業ですね。モーティベイションのない生徒たちの興味をどう喚起するかで苦悩したようです。ちなみに著者がこの三作目を書いた後で行われた講演の動画があります。ユーモアを混じえたスピーチで、面白いです。私は英語に耳がなじむまでに時間がかかりますが。
ソーダブレッド、バターと蜂蜜をつけて食べるので、結局はケーキのような成分になってしまいます。一回作ったらもう必要ない、という体験でした。
Commented
by
ryuboku2 at 2022-02-21 23:09
ふらりと入ったアイリッシュバー。正に一期一会のひとときでしたが、その薄暗い素敵なバーで楽しんだウィスキーの味より何より私が忘れられないのはそこで出されたソーダブレッドの味です。
ずーっと探していますが、東京でアイリッシュバーに行く機会も気力も失せた時にこちらの記事に出会いました。
自分で作ってみる、と言う方法がありましたね。f^_^;)
ずーっと探していますが、東京でアイリッシュバーに行く機会も気力も失せた時にこちらの記事に出会いました。
自分で作ってみる、と言う方法がありましたね。f^_^;)
Commented
by
Solar18 at 2022-02-22 01:44
> ryuboku2さん
ソーダブレッドを焼くきっかけになったとすれば、とても光栄です。
焼き立てだけが美味しいとされているようですが、私は毎朝、一切れずつトーストしてバターと蜂蜜ちょっぴりで食べました。ちょっとパサつくけれど、ソーダの香りが独特で楽しめました。
アルコールが飲めないのでアイリッシュバーとも無縁です。娘が高校の頃、こちらのアイリッシュカフェに時々、入っていたようですが。ソーダブレッドはなかったかも。
ソーダブレッドを焼くきっかけになったとすれば、とても光栄です。
焼き立てだけが美味しいとされているようですが、私は毎朝、一切れずつトーストしてバターと蜂蜜ちょっぴりで食べました。ちょっとパサつくけれど、ソーダの香りが独特で楽しめました。
アルコールが飲めないのでアイリッシュバーとも無縁です。娘が高校の頃、こちらのアイリッシュカフェに時々、入っていたようですが。ソーダブレッドはなかったかも。