豊かな死を迎えるために
◇ホスピスケアに取り組む医師の話。
潮(2013年3月号)に「豊かな死を迎えるために」と題された記事があった。
沢山の看取りをしたホスピスの医師の話である。
この医師は、「私は医者になって38年になるが、死に対する尊敬心は一度も消えたことはない。人間の死はすごい。死には決まったプログラムやストーリーなどないし、パターンもマニュアルもない」と語り、さらに次の内容を記していた。(抜粋・文章の一部を変更)
------------------------
私は幼少期、急性腎炎で2回入院した。
入院中、他の子供が亡くなっていくのを目の当たりにした。
そんな経験をして、17歳の時、「亡くなっていく人の傍で、手を握って上げる仕事をしたい」と決めた。
私は、末期癌の患者さんと話をするとき、「死ぬ前に何がしたいですか?」と尋ねた。
「自叙伝を書きたい」とか、「社会貢献をしたい」とか、大きな願いを口にする人はほとんどいない。
多くは、「自転車に乗って街を走りたい」とか、「ダシの効いたおいしいウドンを食べてみたい」、あるいは「息子に弁当を作ってあげたい」と、ごく当たり前の日常を望んでいた。
癌が進行し、立ち上がることもできない方が、「立ってみたい」と言うものだから、「教壇に立つ」という意味かと思ったら、文字通り「立つ」という行為そのものだった。
死を目前に迎えた患者さんにとっては、何でもないような当たり前の日常生活が至上の喜びであることを知った。
もはや、手の施しようもない患者さんでも、「おいしいものを食べた」、「お風呂に入って気もちよかった」と、笑顔に戻るのである。
患者が病院で、医療を受ける時間は、24時間の内でせいぜい1時間。
残りの23時間は、食べたり、トイレに行ったり、人と話したり、寝たりしている。
洗濯物をベランダに干したとき、「きれいな空だな」と思ったり、夜空を見上げたり、日向ぼっこをしている。
脳性麻痺の女性の患者さんとの会話が忘れられない。
雪が降ってきたときのこと。
「空から降ってきているものは何ですか?」
「ゆ‥き‥」
「色は何ですか?」
「し‥ろ‥」
「雪がやんだら、やってくる季節は何?」
「は‥る‥」
「※※さんは、春が好きですか?」
「す‥‥きっ!」
「す」と「き」の間に、少しだけ間が空き、最後には声高らかに「きっ!」と叫んだ。
私は、「好き」という言葉を口にするとき、これほどまでに丁寧な気持ちを乗せて言ったことはない。私自身の生き方が問われたような気がした。
「春が好き」というという感情を思いっきり表現しながら、彼女は豊かな死を迎えた。
------------------------
とても興味深い記事であった。
特に、死んでいくときに、ほんのささいなことに幸せを感じるという記述に共感した。
また、人生の終焉をサポートする医師の志と行動に感心した。
読んだとき、父の晩年の姿を想い出した。
その記事は、→ここをクリック!
看取り、看取られ、人は生き、人は死んでいくのである。
小説「新・人間革命」26巻に、池田先生は次のように語られている。
「生命は永遠である。ゆえに、老いとは、終局を待つ日々ではない。今世の人生の総仕上げであると共に、次の新しき生(せい)への準備期間である。命の尽きるまで、唱題に励み、師と共に、愛する同志と共に、広宣流布の大願に生き抜いていくのだ。そして、わが生命を磨き高め、自身を完全燃焼させながら、大歓喜のなかでこの世の生を終えるのだ。希望に燃えるその境涯が、そのまま来世のわが境涯となるからだ」
一体、私はどんな死を迎えられるだろうか。
池田先生が語られている“大歓喜の死”を果たせるだろうか。
ともかく私は、精一杯、創価と共に悔いなく生きたいと思っている。
結果として、豊かな死を迎えられると信じるから。(^^)
死についての過去の記事は、→ここをクリック!
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潮(2013年3月号)に「豊かな死を迎えるために」と題された記事があった。
沢山の看取りをしたホスピスの医師の話である。
この医師は、「私は医者になって38年になるが、死に対する尊敬心は一度も消えたことはない。人間の死はすごい。死には決まったプログラムやストーリーなどないし、パターンもマニュアルもない」と語り、さらに次の内容を記していた。(抜粋・文章の一部を変更)
------------------------
私は幼少期、急性腎炎で2回入院した。
入院中、他の子供が亡くなっていくのを目の当たりにした。
そんな経験をして、17歳の時、「亡くなっていく人の傍で、手を握って上げる仕事をしたい」と決めた。
私は、末期癌の患者さんと話をするとき、「死ぬ前に何がしたいですか?」と尋ねた。
「自叙伝を書きたい」とか、「社会貢献をしたい」とか、大きな願いを口にする人はほとんどいない。
多くは、「自転車に乗って街を走りたい」とか、「ダシの効いたおいしいウドンを食べてみたい」、あるいは「息子に弁当を作ってあげたい」と、ごく当たり前の日常を望んでいた。
癌が進行し、立ち上がることもできない方が、「立ってみたい」と言うものだから、「教壇に立つ」という意味かと思ったら、文字通り「立つ」という行為そのものだった。
死を目前に迎えた患者さんにとっては、何でもないような当たり前の日常生活が至上の喜びであることを知った。
もはや、手の施しようもない患者さんでも、「おいしいものを食べた」、「お風呂に入って気もちよかった」と、笑顔に戻るのである。
患者が病院で、医療を受ける時間は、24時間の内でせいぜい1時間。
残りの23時間は、食べたり、トイレに行ったり、人と話したり、寝たりしている。
洗濯物をベランダに干したとき、「きれいな空だな」と思ったり、夜空を見上げたり、日向ぼっこをしている。
脳性麻痺の女性の患者さんとの会話が忘れられない。
雪が降ってきたときのこと。
「空から降ってきているものは何ですか?」
「ゆ‥き‥」
「色は何ですか?」
「し‥ろ‥」
「雪がやんだら、やってくる季節は何?」
「は‥る‥」
「※※さんは、春が好きですか?」
「す‥‥きっ!」
「す」と「き」の間に、少しだけ間が空き、最後には声高らかに「きっ!」と叫んだ。
私は、「好き」という言葉を口にするとき、これほどまでに丁寧な気持ちを乗せて言ったことはない。私自身の生き方が問われたような気がした。
「春が好き」というという感情を思いっきり表現しながら、彼女は豊かな死を迎えた。
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とても興味深い記事であった。
特に、死んでいくときに、ほんのささいなことに幸せを感じるという記述に共感した。
また、人生の終焉をサポートする医師の志と行動に感心した。
読んだとき、父の晩年の姿を想い出した。
その記事は、→ここをクリック!
看取り、看取られ、人は生き、人は死んでいくのである。
小説「新・人間革命」26巻に、池田先生は次のように語られている。
「生命は永遠である。ゆえに、老いとは、終局を待つ日々ではない。今世の人生の総仕上げであると共に、次の新しき生(せい)への準備期間である。命の尽きるまで、唱題に励み、師と共に、愛する同志と共に、広宣流布の大願に生き抜いていくのだ。そして、わが生命を磨き高め、自身を完全燃焼させながら、大歓喜のなかでこの世の生を終えるのだ。希望に燃えるその境涯が、そのまま来世のわが境涯となるからだ」
一体、私はどんな死を迎えられるだろうか。
池田先生が語られている“大歓喜の死”を果たせるだろうか。
ともかく私は、精一杯、創価と共に悔いなく生きたいと思っている。
結果として、豊かな死を迎えられると信じるから。(^^)
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by sokanomori
| 2013-10-26 21:19
| 死とは何か
|
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Comments(8)
Commented
at 2013-10-26 22:15
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
角田佑介
at 2013-10-27 06:11
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お早うございます。
ここのところ身近な人の死が相次いでいたので考えさせられます。
今日から晴れますね。東京も関西も。
ここのところ身近な人の死が相次いでいたので考えさせられます。
今日から晴れますね。東京も関西も。
Commented
by
sokanomori at 2013-10-27 15:44
22:15さん、こんにちは。
その確信をえられるよう、これからが大事ですよね。
最後の最後、見事なる死を得たいと思います。
頑張ります!^^
★菊川広幸
その確信をえられるよう、これからが大事ですよね。
最後の最後、見事なる死を得たいと思います。
頑張ります!^^
★菊川広幸
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by
sokanomori at 2013-10-27 15:45
角田さん、こんにちわ。
今日は雲一つない晴天になりました。
嬉しくて、奥さんとジョギングに行きました。
暑いぐらいでしたよ。(^^)
★菊川広幸
今日は雲一つない晴天になりました。
嬉しくて、奥さんとジョギングに行きました。
暑いぐらいでしたよ。(^^)
★菊川広幸
Commented
by
sokanomori at 2013-10-27 21:20
カメさん、こんばんわ。
貴重なコメントありがとうございます。
★菊川広幸
貴重なコメントありがとうございます。
★菊川広幸
Commented
by
遠藤為盛
at 2013-10-28 12:27
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かつて私は「人は年を取り死が近づくと、私利私欲が減り物分りがよくなる」と思っていました。今この考えはあまり正しくはなかったと思っています。年をとっても進化せず、同じ間違いを繰り返す人が多すぎます。少年青年時代に創価学会に根拠のない偏見を持った人がいましたが、年をとっても同じことを言う。人間とは驚くほど頑固で無理解で保守的で修正が利かないものだなあ。今更呆れています。間違ったまま死ぬのは不幸です。死は人生の着陸。着陸は一番難しいばかりでなく、着陸に失敗すれば飛行全体が失敗になります。物事の道理を理解し満足して死にたい。大げさに言うと悟りを開いて。今日はサンパウロから来た理事長を迎え文化センターで会合がありました。来年の活動方針を教材を交えて学習、がくしゅう。学習は自分自身に根深く存在する偏見や誤謬を破ってくれます。私は頭がよくないので、同じことを何度も学習しなくてはいけない。だから我々は幸福だ。一生学習できます。
Commented
by
sokanomori at 2013-10-29 06:37
遠藤さん、おはようございます。
>死は人生の着陸。着陸は一番難しいばかりでなく、着陸に失敗すれば飛行全体が失敗になります。
同感です。
大事業に等しいと私も思います。
★菊川広幸
>死は人生の着陸。着陸は一番難しいばかりでなく、着陸に失敗すれば飛行全体が失敗になります。
同感です。
大事業に等しいと私も思います。
★菊川広幸
Commented
at 2017-09-17 15:07
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
創価学会員としての日常生活を語ります。^^
by sokanomori
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