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怪獣デジカメスマホ「AQUOS R9 pro」実機チェック!わかりすぎてるカメラ構成に唸る

 バケモノ来た!

 シャープの新製品発表会を取材し、新機種「AQUOS R9 pro」の実機を触ることが出来ました。

 これまでAQUOS Rシリーズのカメラ構成は「でかい1型の超広角カメラで、全画角を担う」というコンセプトにより、超広角ひとつだけ。

デジカメ用1型センサーで一本勝負!業界に衝撃を与えたAQUOS R6

 それは面白いコンセプトではあった一方、実際使った時には「最短撮影距離が長すぎる」「超広角という割には狭い、もっと広く収めたい」「せっかく大型撮像素子なのにクロップが必要な場面が増える」「ズームするにも限界があるので遠くを撮ると低画質に」といった様々な課題も生じていました。

 しかし今回、AQUOS R9 proでは超広角ではなくメインとなる広角23mmレンズに1型撮像素子を採用します。

圧巻の見た目。R9/sense9/wish4とは一見デザインは異なるが、巨大な円型カメラ突起内の不揃いなオブジェクトが、ただならぬ違和感・モンスター感を想起させるのは、R9/sense9/wish4と同様に本機のデザインを担当する三宅デザインの狙い通りなのだろうか?

全カメラ5030万画素で統一。わかってる。

 これにより、超広角カメラにて122度を捉えることができるようになった上、この超広角カメラで2.5cmまで寄ってマクロ撮影が可能に。

接写が可能である上、被写体が近い場合を判定して自動切り替えさせることも可能。左列メニューの花のアイコンがマクロ。iOSは深い階層にわかりづらく制御関連メニューを配置するなど不親切なUIだが、本機は利用者側が容易に制御できそうに見える

 そして使いやすい23mmで1型の高画質を堪能。さらに望遠65mmは1/1.56型という、極めて大型の撮像素子を搭載します。

3倍望遠が利用可能に。タップで画角切り替え、さらに押下でより詳細なズーム倍率変更に。

 望遠1/1.56型がどれぐらい凄いのか?

 まだ頑張ってるかなと思えるXiaomi 14 Ultraでさえ1/2.52型。そしてGalaxy S24 UltraやXperia 1 VIは1/3.5型、Galaxy S24は1/3.94型。完全に豆粒レベルです。

 一方で1/1.56型というのは、おおむねAQUOS R9などミッドハイスマホの最も高画質なメインカメラによく搭載されているセンサーサイズです。まあとにかく、今日は「AQUOS R9 proの望遠カメラは、望遠にしてはとにかくデカい」と覚えて帰って下さい。1型撮像素子をいち早く搭載したシャープらしいですね。一般的にはセンサーが大きいほどきれいに写せます。

左:筆者の使っているXiaomi 14 Ultra。個人的に中間望遠3.2倍の利用頻度が高い。右:強力な望遠を新搭載したAQUOS R9 pro。集光量でいえばよりF値の低いXiaomi 14 Ultraもひけをとらないが、やはり同等に高精細で撮像素子が大きく画素ピッチも確保したAQUOS R9 proへの期待値は高い。

 画質に関してLeicaの考える画になるよう、きめ細やかな監修を受けており、おそらく写りの傾向はXiaomi Leica Authentic Lookに近いものと思われます。

作例 左列:23mm、中央列:65mm、右列:13mm

Xiaomi Leica機は「Authentic」「Vibrant」で画質を選択できるように、AQUOS R9 proも「ナチュラル」「ビビッド」の2種類。海外では後者が受ける場合もあり、利用者に選択肢を用意

 独自のAWBとAIによって背面の14chスペクトルセンサーと連携、環境に左右されずに色味を再現すると謳います。「あー、オートが微妙で暖色の落ち着いた雰囲気がおかしな寒色気味になってぶち壊しのスマホカメラ、あるあるだよなー!」って唸った人、要チェック。オートが賢い方が、一般の人にとっても大きな恩恵が期待できます。

左:従来機種、右:R9 pro

 どれだけ良いカメラを備えていても、使いにくければ意味がありません。本機はなんと側面にシャッターボタンを搭載。長押しでカメラ即時起動でき、半押しでフォーカス、押し込みでシャッターを切れます。Xperiaみたいな配置なので、「iPhone 16 Proのように配置が上すぎて使いにくい」ということもありません。

右:筆者のXperia 1 VI。AQUOS R9 proと高さは同じぐらい

 しかもR9 proはデジカメのシャッターボタンの部品を使っているそう。本格派ですね。実際、押し心地もいいです。

 個人的には、硬すぎるシャッターボタンや音量ボタンでシャッターを切ろうとは思えません。押し込み時に手ブレの要因になるので、画面を触るほうが良いからです。しかし本機のシャッターボタンは押し心地も適度に柔らかく絶妙なので、普通に常用できそうかな……という感触。

 また、そもそも画面上に表示されたシャッターボタンを押すには、画面を注視している必要があります。画面を見にくい角度・見れない高さ低さにスマホを構えてシャッターを切る場合には、物理シャッターボタンが非常によく役立ちます。たとえば低く構えて画面を見ずに、シャッターボタン半押しでペットにに合焦してシャッターを切る、みたいなこともできてくるはずです。「シャッターボタンは画面上で押す派」でも、様々な状況で役立つボタンになっていると言えそうです。

 ちなみに、音量ボタンにはズームインアウトや、露出EV設定も割当できるとのことです。

 本機の面白い点は、カメラフィルターをそのまま装着可能な点。一気に撮影の幅が広がります。

 これ自体はマイナーチェンジだったAQUOS R8 proにも搭載されていた機能ですが、今回はより高画質になったメインカメラ、より広い画角を撮れるようになった超広角カメラ、そして巨大望遠カメラの3眼でフィルターを使いこなせるので、楽しさ3倍というのがポイントです。

 筆者はXiaomi 14 Ultraにネックストラップをつけて毎日首からぶら下げていましたが、こっちもぶら下げ対応です。

 長時間撮影時やゲームプレイ時、AQUOS R8 proの放熱カメラリンクだけではぶっちゃけ放熱しきれない場面が多々あったと思うのですが、AQUOS R9 proではしっかりベイパーチャンバーも搭載。発熱対策を講じています。

 AQUOS Rシリーズの弱点であるスピーカーは、フルメタルBOXスピーカー搭載により高音質化を図っているそうです。

 画面は10億色で擬似240Hz駆動、解像度はQHD+、全白輝度1000nit、ピーク輝度2000nit。

 画面はHDR対応ですが、正直そんなに再生するHDRコンテンツありますかね?というわけで、Dolby Vision HDR録画にも対応。輝度情報を含むリッチな動画をたっぷり撮れます。収録可能なのは4KまたはFHDで30fps。

 なお本機の搭載するSnapdragon 8s Gen 3は、処理性能はSnapdragon 8 Gen 3には劣るものの、ISP/DSPはほとんど8s Gen 3譲り。つまり最高峰ではないにせよ日常利用には十分すぎる処理性能を十分に確保しつつ、高度な静止画カメラ画質処理を入れ込むうえでは非常に理にかなった選択だと言え、昨今のシャープらしい良い目のつけどころです。

 フラッグシップ不在の締まりの無いラインナップが、これで「R9 pro」「R9」「sense9」「wish4」の死角のない布陣へと一気に様変わりしました。

 「アクオス、めちゃくちゃ良いところがいくつもあるし、カメラ画質はどんどん向上してエモくなってるけど、望遠がないし、スピーカー音質悪いし……ていうかもうXiaomi 14 Ultra最高、毎日首からぶら下げてます、一番利用頻度が高いのは3.2倍の望遠かなぁ」という筆者には、今回のR9 proはかなりスマッシュヒット。何ならスマホ一台で全部済ませたい人には、FeliCa非搭載のXiaomi UltraよりFeliCaのあるAQUOS R9 proの方が良いまでありますよね……。正直、あまりにもわかっている、わかりすぎている機種だと思います。

 本機は台湾、シンガポール、インドネシアにも展開予定のモデル。そのうち台湾、インドネシア、日本ではそのままLeica刻印のまま出すようです。昨今の非常に完成度の高まってきたAQUOSが、最高級旗艦ハイエンドにおいても世界に挑戦する姿勢には好感が持てます。ぜひとも売れて欲しいところですね。

 AQUOS R9 proは2024年12月上旬以降発売予定となっています。価格は税込み19万円台前半。国内は公開市場版、ドコモ版もあり。シャッター音を消したいなら前者、端末返却による残債免除プログラムを活用したいなら後者が選択肢になってきます。

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