【音楽】The Cure 全アルバム - sktucodの日記

【音楽】The Cure 全アルバム

大好きなキュアーのオリジナルアルバムの感想を書きます。

01 "Three Imaginary Boys"

各曲にプログレみたいな大袈裟な邦題がついてますが、中身はワイヤーみたいなスカスカのパンクです。無駄を省いた構築感のある演奏で、妙にスケール感の大きな曲を演るところが、ピンク・フロイドの初期を思い出させます。

この曲もスッカスカなのに最後のソロが無駄にかっこよく、これで3曲くらい作れるんじゃないかという充実具合。

 

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02 "Seventeen Seconds"

2曲目と7曲目が今でも必ずライブで演奏されてる。
全然跳ねないドラムとか、コード弾きばかりのギターとか、モノフォニックなシンセとか、映えない編成を逆手に取って、プログレみたいなバンクになってる。シンセ入りパンクといってもウルトラボックスとかOMDあたりよりももっと多様な音楽性を取り入れており、どちらかというとストラングラーズに近いのかもしれない。
生演奏のはずなのに、ドラムの音色が金属みたいに硬かったり、ベースがとてもゴリゴリしてたりして、どうやって録音したのか自分にはよくわからない。

youtu.be03 "Faith"

いわゆる「ゴス」に接近したアルバムなのだが、ドラムのテクニックによるものか、ギターが薄いからか、それともボーカルの声質なのか、結構チャキチャキした歯切れの良い曲が多く、最後の曲も7分近くあるけど、飽きずに聴ける。

www.youtube.com04"Pornography"

代表作に数えられるが、全2作と異なり演奏は粗く、音響もそんなに凝っていないように聞こえる。その後のライブ演奏の方が良い、というよりは、この当時の3人では演奏できないレベルの楽曲が揃っている。

とはいえ、悪い作品というわけではなく、その逆で、むしろ、その後のラインナップは、このアルバムの曲をちゃんと演奏できるかが基準になってる気がする。

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05 "The Top"

本当はこの前にシングル曲を集めた"Japanese Whispers"というコンピレーションがあるが、オリジナルアルバム扱いされていないようである。これはドラム以外はロバスミの多重録音。かっこいい曲が多いのだけど、曲調がバラバラでどんなアルバムか一言で言いづらい。ロバスミがスージーアンドバンシーズと掛け持ちしていた頃なので、ギターやキーボードの演奏が冴えており、かっこいいリフの曲が多い。
1曲目は単純だけど迫力のあるキュアー流ハードロックで、ウォーミングアップに最適なのかライブの定番である。でも、リンクは2曲目にしました。
 

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06 "The Head on The Door"

前作からメンバーをほぼ一新したヒット作。それまでは頑なにドラムにオカズを入れることや、サイドギターがリフを刻むことを避けていたのが、そういった禁じ手を解禁したことでいきなりポップになった。
この頃のライブはビデオで出ているが、ロバスミがフランジャー聴かせまくったテレキャスを(多分)爆音でかき鳴らしてて、とてもかっこいい。キーボードがいるバンドなのだが、ライブではほとんど聞こえてこない。シューゲイザーみたいな演奏になっている。
表面的にはポップだがなんか不穏なところがあり、面白い。
7曲目のリズムはなぜかレゲェ界では有名。でも、リンクは最後の曲にしました。
 

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07 "Kiss Me Kiss Me Kiss Me"アナログだと2枚組。メンバー全員が曲を持ち寄り、一番バンドとしてまとまった作品。前の作品より派手になったのは、キーボーディストが追加されて6人編成になったからか。なので、アルバムでもなかなか激しいギターが聴ける。

youtu.be08 "Disintegartion"

前作からメンバーが作ったデモから選んで演奏する方式を採用して、デラックスエディションにそのデモが入ってるのだが、ほとんど完成版みたいなものも結構ある。パパッとバンドに演奏させてあとはダビングで仕上げてるのか。ライブの演奏に比べるとやたらもっさりしてるのはリハ不足なのか、「ファンキーに演奏するな」というロバスミの強権が発動したのか。

 

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09 "Wish"

前作で解散寸前になったからか、手綱を少し緩めたら、ドラムは跳ねまくり、ギターは暴れまくりで、前作までの構築感が薄れてしまった。シングルB面やこの曲のデモなどは、前作と同様に構築的な楽曲だったのが、良い意味で換骨奪胎されてしまった。そのルーズさが魅力か。好きにさせたはずなのにこの後バンドは解散寸前に。

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10"Wild Mood Swings"

バンドのメンバーがほとんどいなくなったので、ソロアルバムを作りながらメンバーを補充していった作品。曲ごとにドラマーが違う。
成り立ちがこうだから、あまり真面目に評価するのは野暮だけど、本当に作りたかったであろうフォーク風味の曲と、商売的な配慮で作った曲が分かれてるが、後者は幾分時代遅れな感が。

youtu.be11 "Bloodflowers"

前作が商業的に失敗し、ツアー中にバンドの関係も険悪になり、前作と同じ路線でスタジオに入るものの失敗し、泥酔状態で各地のツアーで醜態をさらした末に、ロバスミが作ったデモをメンバーに渡し「これと同じように演奏しろ」と言ったか言わないか、とにかく久しぶりにひきしまったアルバム。バンドの演奏力の限界か疾走感のある曲はないものの、前作で試みたフォーク調の曲に90年代的な重みをうまく取り入れアップデートした素晴らしいアルバム。年とって曲が書けなくなったことをそのまま曲にした"39”という曲や、スランプになってこっそり来日して風俗にいったこと(本当か?)を曲にした"Watching Me Fall"など、なかなか生々しい曲が多い。

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12 "The Cure"

Disitentegrationの次はwishが続いたように、そろそろポップなアルバムを作らねば、と思ったのか、はわからないけど、ロス・ロビンソンというKornやリンプ・ビズキットを手がけたプロデューサーと制作したハードかつヘビーな作品になるはずが・・・なんか演奏も歌も練り切れてない、ファンとしても???な作品。

確かにキュアーは演奏はうまいが、音楽的な幅は広くない。

シングル曲はよかったのだが。youtu.be

13 "4:13 Dreams"

ここから16年、このアルバムの一曲目の感じを突き詰めたように聴こえる。長い試行錯誤の始まり。
これも歯切れの良いいい曲と「何がしたいんだろう」という謎の曲に二分されます。
これはシングル曲
 

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14 "Songs Of a Lost World"

もうアルバムを発表しなくとも、ライブだけで十分食えそうな超大物バンドになったはずで、下手な新作を出したらそれまでの信用を食い潰すリスクがあっただろうに。ポップなアルバムの後にはダークなアルバムが続くとはファンも予想していたし、ロバスミもDark and Groomなアルバムになると公言していたのだが、なんかもうノイズ演歌というか。。。情緒がやばいアルバムになってしまった。

まだ3日しか聞いていないが、自分はなんだか体調が悪くなってきたという強烈なアルバム。ルーリードのベルリンみたいな、「持っててもいいけど、続けて聴いてはいけない。」アルバムのよう。

 

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