こんにちは。
前々回のブログから
色々とお見苦しいところを
お見せしてしまい、
すみませんでした。
今後もどうか宜しくお願い致します。





父と母が生きていた頃の話だ。

私は父の誕生日には父に似合いそうな洋服を贈っていた。

洋服といっても私のサラリーで買える範疇だから、高価なものではない。

ただ父の喜ぶ顔が目に浮かんできて、店員さんに父のイメージを伝えて、一生懸命選んだ。

父は、それが自分の好みでなくともとても喜んでくれた。

『お母さん、水際がこんなに良いものをくれたぞ!』と言って身体に当てた。

私は本当に嬉しかった。


幸せだった。


私の誕生日が近づいたある日、

父が言った。

『水際、お前の家の冷蔵庫は
古くなったなぁ、、、
冷蔵庫を誕生日祝いに買おうか?』

(当時私はマンションで一人暮らしをしていた。
実家のすぐ近くだ。)

私は『そんな高価なものは受け取れない、
お誕生日の贈り物はいらないよ、
三人で楽しく晩御飯が食べれたらそれでいい、』
と言った。

父は『食べることは生きることだぞ。』と言った。

どこかで聴いた言葉だ、

『食べ物は大切なんだ。
な、冷蔵庫を買うぞ。』

妙に頑固になってしまった父、

私は『高いから冷蔵庫はいいよ、
それならニューイヤーコンサートに行こうよ。』と言った。

父と私のやり取りに母は
呆気に取られていた。

父は冷蔵庫を買うぞ、

私は高いから要らないよ、

その言い合いになってしまった。

今から思えばなんて幸せな
贅沢な喧嘩?なんだろう、、、


それから数日経った、

仕事から帰宅したら
マンションの郵便受けに
手紙が入っていた。

『水際、冷蔵庫を買うからな、
それなら、
ニューイヤーコンサートにいってもいいぞ。』父からの文面だった。

面白い内容の手紙だと思った。

父らしいユーモアがある
温かい手紙だった。

やがて、
素敵な冷蔵庫がマンションに届いた。

私は大切に大切に使った。

父と母がしんでしまっても、

私が寂しくて泣いていても、

冷蔵庫はずっと動いてくれていた。


しかし、
先日とうとう壊れてしまった、、、

異音がする

中のモノが冷えないのだ。

私は冷蔵庫に抱きついた。

お父さん、ありがとう。

優しい気持ちをありがとう。

冷蔵庫さん、さようなら。


お父さん、本当にありがとう。  







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