鎌倉殿の13人 第30話「全成の確率」 ~阿野全成の死~ : 坂の上のサインボード
人気ブログランキング | 話題のタグを見る

鎌倉殿の13人 第30話「全成の確率」 ~阿野全成の死~

 建仁3年(1203年)519日、源頼家は叔父の阿野全成謀反の疑いありとして捕らえ、その後、誅殺しました。史料でわかるのは、この事実だけ。なぜ謀反の疑いをかけられたのか、本当に謀反の意思があったのか、その真偽は定かではありません。ドラマでは、史実や通説、俗説を上手く混ぜ込んで、実に見事な物語となっていましたね。ストーリーテラー三谷幸喜氏の真骨頂の回でした。


鎌倉殿の13人 第30話「全成の確率」 ~阿野全成の死~_e0158128_20040197.jpg 阿野全成は亡き源頼朝の異母弟で、義経の同母兄にあたります。治承4年(1180年)の頼朝挙兵に際し、兄弟のなかで最も早く兄の元に馳せ参じたのは全成でした。このとき頼朝は涙を流して喜んだと伝わりますが、その後、同じように集まった義経範頼らが源平合戦で華々しい活躍を見せたのに対し、以後の全成に関してはあまり活躍の話しは聞こえません。しかし、目立った活躍がなかったからこそ、頼朝やほかの御家人たちから疎んじられることもなく、生きながらえてきたともいえるかもしれません。頼朝亡きあと、たったひとり生き残った義朝の息子であり、数少ない河内源氏の正統を継ぐものであり、二代目鎌倉殿の叔父でした。目立った活躍はなくとも、少なからず幕府内での存在感はあったと思われます。


 そんな背景もあってか、全成は妻の阿波局(ドラマでは実衣)と共に、頼朝の次男・千幡乳母・乳母父を任されていました。のちに三代鎌倉殿となる実朝ですね。これが、全成の人生を少なからず変えたといえるかもしれません。頼朝がこの世を去り、頼家が二代目鎌倉殿となると、その乳母父だった比企能員と、その祖父の北条時政の対立が顕著になります。両者の対立には、「ポスト頼家」をめぐる意見の相違がありました。比企は、能員の娘の若狭局と頼家の間に生まれた一幡を後継者に考えており、北条は、頼家の弟である千幡の後継を望んでいました。千幡の乳母父である全成は、必然的に北条派、千幡派という立場になります。そこでかけられたのが、謀反の疑いでした。


 実際に全成がどこまで千幡擁立にかかわっていたかは定かではありませんが、疑われる何らかの行動があったのでしょう。あるいは、ドラマのように呪詛を行ったのかもしれません。だとしたら、ドラマのように北条とグルだったのか、あるいは比企に濡れ衣を着せられたのか、あるいは自分の意思だったのか。実際、もし千幡が鎌倉殿を継げば、自身は乳母父という立場で幕府内で大きな権力を持つことができる。そんな野心から積極的に謀反を画策したとしても何ら不思議ではありません。一方で、北条と千幡の力を削ぐため、比企が仕組んだ陰謀だったとしても、おかしくはないですね。実際、全成の失脚は千幡擁立派にとっては大きな痛手だったことは間違いないわけで・・・。


 鎌倉殿の13人 第30話「全成の確率」 ~阿野全成の死~_e0158128_21560926.jpg全成が捕らえられた翌日、比企時員北条政子の元に赴いて全成の妻の阿波局(ドラマでは実衣)の引き渡しを求めるも、政子の必死の抵抗によって阻止されたという話は通説どおりです。しかし、阿波局が謀反の企てに加担していたかどうかは定かではありません。夫の全成同様、千幡の乳母だった彼女が、頼家を邪魔に思っていたとしてもおかしくはないですね。頼家からすれば、全成と阿波局は父の弟と母の妹、もし謀反の企てか事実だったとすればやりきれない思いだったでしょうし、もしこれが比企の画策した陰謀で、そのことを頼家も知っていたとすれば、頼家もなかなかな策士だったということになります。真実は知るすべがありません。


 いったんは常陸国に流罪となった全成でしたが、その約1か月後の623日、頼家の命を受けた八田知家によって誅殺されました。享年51。ドラマでは描かれていませんが、全成の三男・阿野頼全も、その約1か月後に京で誅殺されています。しかし、四男の阿野時元は、政子の嘆願もあって連座を免れ、しばらく父の遺領である阿野荘で隠棲することになりますが、後年、この時元が大事件を起こすことになります。これはドラマでも描かれるかもしれないので、ネタバレは控えます。


 今回のドラマでは、北条と比企、それぞれの思惑に振り回され利用された全成と、北条も比企も誰も信じられなくて孤立していく頼家の間で繰り広げられ悲劇というストーリーでしたね。実に秀逸でした。ここまでコメディー部門担当だった全成でしたが、最後の最期に見せてくれましたね。非常に見ごたえのある回だったと思います。神回? いやぁ、このドラマに関して言えば、毎週が神回、神ドラマですね。次回はいよいよ北条vs比企の決着が着くかもしれません。



ブログ村ランキングに参加しています。
よろしければ、応援クリック頂けると励みになります。
   ↓↓↓



更新を通知する


by sakanoueno-kumo | 2022-08-09 21:07 | 鎌倉殿の13人 | Trackback | Comments(0)

 

<< 鎌倉殿の13人 第31話「諦め... 現存天守唯一の山城、備中松山城... >>