第92回全国高校野球選手権大会 総括 : 坂の上のサインボード
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第92回全国高校野球選手権大会 総括

 興南(沖縄)の史上6校目の春夏連覇で幕を閉じた第92回全国高校野球選手権大会。とにかく忙しくて閉幕してから1週間が経ち、今更?という声が聞こえないでもないが、遅ればせながら夏の甲子園大会を総括してみたい。大会結果は下記のとおり。↓↓↓
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 興南(沖縄)東海大相模(神奈川)の対戦となった決勝戦。興南のエース・島袋洋奨投手と東海大相模のエース・一二三慎太投手は、今年のセンバツ大会前からそれぞれ右投・左投のナンバーワン投手と注目されていた二人で、センバツでは東海大相模が早々と散ったため対戦はなかったが、夏の甲子園の決勝戦という最高の舞台での投げ合いが実現した。結果は13対1という思わぬ大差のゲームとなったが、投手力の差はこの点差ほどではなかったと思う。東海大相模に守備の乱れが目立った。というより、興南打線の打球の速さに東海大相模の守備陣がついていけなかったというのが正しいかもしれない。一二三投手は、春負けてからサイドスローにフォームを改造して、打たせて取るスタイルで今大会に臨んでおり、言ってみれば、自分のピッチングをしたということだ。それにも勝る興南打線の破壊力だったということだろう。結果よりも、サイドスローに改造してたった数カ月で、甲子園の決勝の舞台まで上がってきた一二三投手に拍手を贈りたい。

 一方、島袋洋奨投手はさすが春の優勝投手といった圧巻の内容だった。これまでと内容を変え、変化球主体で臨んだ決勝戦。9回9安打を許しながら要所を抑え、1失点完投は見事。奪三振4という数字が、いかに打たせて取るスタイルに終始したかを裏付けている。春夏連覇は、現レッドソックスの松坂大輔投手を擁した横浜高校以来の偉業。島袋投手の今後の進路も気になるところだ。

 4強では、大会前に起稿した拙ブログの第92回全国高校野球選手権大会直前で私の注目選手として紹介した、報徳学園(兵庫)の1年生右腕・田村伊知郎投手の活躍が光った。背番号こそ11番だが、実質はエースといっていいだろう。準々決勝の新潟明訓(新潟)戦では、7回2/3を投げ5安打1失点、三振を9個奪った。残念ながら興南戦での先発はなかったが、春夏連覇を目指す興南戦に先発して、もし破ったら・・・と考えたとき、私は27年前に史上初の夏・春・夏の3連覇を目前にしていた、水野雄仁投手を擁する池田高校を、同じく準決勝で破った1年生投手、PL学園の桑田真澄投手を思いだした。背番号11で身長も小柄。そしてなんといってもクレバーなピッチング内容。まさに1年生のときの桑田投手は今回の田村投手のような感じだった。桑田投手と比較するのはまだ早いといわれるかもしれないが、私はそれほどの可能性を田村投手に感じる。彼は中学時代は普通の学校の軟式野球部出身で、硬球をさわりだしてまだ数カ月しか経っていない。伸びしろといった意味では、まだまだ計り知れない魅力があると私は思う。今後に注目したい。

 もう一校の4強、成田(千葉)は、私の中ではまったくのダークホースだった。エース・中川諒投手のキレのあるスライダーは一級品。1回戦で強豪・智弁和歌山(和歌山)を破ったときには失礼ながら大番狂わせと思ってしまったのだが、中川投手の内容をみれば9回6安打2失点で、なんと奪三振14と素晴らしい結果だった。その後も強い内容で勝ち進み堂々4強入り。1回戦がフロックでないことを証明してみせた。準決勝の東海大相模戦では19安打10失点という内容だったが、これは全試合ひとりで投げ抜いてきた疲れもあったのだろう。彼も、今後の進路が楽しみな投手だ。

 ここまで投手のことばかり述べてきたが、今大会は例年以上に攻撃力が目立った大会でもあった。2ケタ得点で勝利したチームが決勝戦も含め15試合もあり、10点差以上の大差のゲームが6試合、さらに7点差まで入れると15試合もあった。「春は投手力、夏は攻撃力が制す」と言われるが、まさに今大会は打撃優位の大会だったといえるだろう。しかし、そんな中で4強に残ったのは、上記したように投手力の優れていた4校。打撃優位だからこそ、投手力が生きる・・・といっていいのではないだろうか。

 あと、私の個人的なことだが、名前は出さないが私が毎週末に指導している少年野球チームの卒団生が今大会に出場していた。これは私が指導者をやりだしてから初めてのことで、それだけでも興奮していたのだが、その選手が今大会で大きな活躍をしてくれた。正直興奮して鳥肌が立った。そんなこともあって、今大会は私にとって忘れられない大会となった。

 さて、沖縄代表の興南の春夏連覇となった今大会。数年前、田中将大投手を擁した北海道代表・駒澤苫小牧が夏2連覇(3年連続決勝進出)という偉業を成し遂げたかと思えば、今度は沖縄の春夏連覇だ。どちらも以前は1回戦の壁すら破るのが難しかった県。昨年の夏は、新潟代表の日本文理が準優勝だったし、今大会でも新潟明訓が8強入りをしている。逆に毎回優勝候補と目される、天理(奈良)や智弁和歌山(和歌山)などが早々と1回戦で敗退など、もはや高校野球における地域格差はなくなりつつあるようだ。これは、これまであまり良い成績がない地方で甲子園を目指す球児たちにとっても、希望が持てる傾向だと思う。優勝した興南の次の目標は、史上初の春・夏・春の3連覇。これは、だいたいの場合メンバーが変わるので容易ではない。しかし、興南の打線の破壊力を見れば、島袋投手がいなくとも不可能ではないように思う。頑張ってほしい。

 気がつけばグダグダと長い講釈をたれてしまったが、語りだすといつまでたっても尽きそうもないので、この辺りで終わりにしようと思う。球児の皆さん、たくさんの感動をありがとうございました。


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by sakanoueno-kumo | 2010-08-28 03:37 | 高校野球 | Trackback(1) | Comments(4)

 

Tracked from 平太郎独白録 親愛なるア.. at 2010-08-30 17:02
タイトル : 高校野球決勝戦に見る投手の登板過多問題
親愛なるアッティクスへ 高校野球もついに決勝戦ですね。 40年ぶりの東海大相模か、春夏連覇の興南か・・・で、40年ぶりの東海大相模にも勝たせてあげたいけど、九州人的にはやはり、沖縄の応援でしょう。 ところで、私、ここまで甲子園の高校野球を見ていて、強く思ったことがあります。 それは、「一人の投手にこんなに投げさせて良いのか・・・」ということです。 以前、元巨人の桑田真澄投手が言ってましたが、「子供の体は大人が守ってやらなければならない。アメリカでは小学生は何球まで、中学生は何球まで、...... more
Commented by marquetry at 2010-08-28 23:16
興南の勢い止まらずでしたね〜東海大相模で、確信の様なものを掴んだ勢いでした!あっぱれです。
今年は、点差が大きく開く試合か?もしくは、延長戦かという程の接戦か?極端な試合が多かった様な気がします。
いつ見ても変わらないのは、暑苦しさを清々しい程熱くする一生懸命なプレイ...若いってすばらしい!
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-08-28 23:52
< marquetryさん。
私は毎年、夏の甲子園大会を見ることで、高校球児たちから夏バテと闘うエネルギーをもらっています。
毎週土日には、少年野球で小学生の野球小僧たちからも元気をもらっています。
オジサンだって若者に負けていられません!
Commented by heitaroh at 2010-08-30 17:01
そうですか。
それは指導者冥利に尽きますね。
私はそれほど詳しくはありませんので、どなたかはわかりませんが、さらなる活躍を期待したい所です。
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-08-31 00:33
< heitarohさん。
正確にいうと、私が直接担当した学年ではなかったんですけどね。
それでも、毎週同じグランドで野球をしていたのは事実ですし、全学年の合同練習のときなどは、ノックをしたりもしました。
やっぱ嬉しいもんですね。

彼は小学校のときから、その身体能力はずば抜けていて、地元では有名だったんですよ。
6年生のときは、球速も遠投も打球の飛距離も、コーチですら敵いませんでした。
甲子園に出てきている子らは、そんな奴らの集まりなんですね。

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