胃カメラの詳細 ~楽な受け方のコツからよくある疑問まで~ | 書写西村内科
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胃カメラの詳細 ~楽な受け方のコツからよくある疑問まで~

[2020.06.22]

目次

胃カメラ(胃内視鏡検査)を受けられたことがない方にはどんな検査なのか不安に思われる方がいらっしゃると思います。また、胃カメラを受けられたことがある方も胃カメラの体勢や問診票の内容についてどんな意味があるんだろう?と疑問を持たれたことがあるかもしれません。

今回の院長コラムでは胃カメラでどんなことをするのか、またその意味や楽な受け方のコツなど、胃カメラにまつわる内容について詳細にご説明させていただきます。

胃カメラの意味とは?

胃カメラを受ける意味とは何でしょうか?
胃カメラを受ける理由は大きく3つに分けられます。

①何らかの症状がある場合

みぞおちの痛みがある、胃酸が上がってくる、真っ黒い便が出る(真っ黒い便が出る場合、上部消化管(食道・胃・十二指腸)からの出血の可能性があります)、血液検査で貧血を指摘された、胃透視検査(バリウム検査)で異常を指摘されたなどの症状や、検査での異常がある場合はその原因を調べるためですので、検査を受ける意味は理解しやすいかと思います。

②定期検査(もしくは人間ドックや検診)で受ける場合

この場合は症状がないので検査を受けるのをためらわれる方もいらっしゃるかと思います。
ただ、食道・胃・十二指腸のがんは早期であれば内視鏡の治療で切除が可能ですし、根治率も極めて高いです。残念ながらがんができることを完全にふせぐ方法はありません。ただ、症状がなくても定期的に検査を受けていただくことで、がんができても身体への負担が少ない治療で、根治の治療を行うことができる可能性が極めて高くなります。そのためリスクが高い方では、定期的に検査を受けることが重要です。
検査間隔についてですが、よほどリスクが高い方でなければ年に1度程度胃カメラを受けて頂ければ十分かと思います。

では、いったいどのような方がどのがんのリスクが高いのでしょうか?

  • 喫煙をされている方(禁煙していても喫煙歴が長い方)
  • よくお酒を飲まれる方(特に元々お酒を飲むと顔が赤くなっていた方)
  • 咽頭や喉頭、食道のがんがあった方
  • 広範囲におよびバレット食道(逆流性食道炎にともなう粘膜の変化をきたした食道です)がある方

→上記のような方は食道がんのリスクがあるので年に1度は胃カメラを受けられることが勧められます。

  • ピロリ菌がいる方(ピロリ菌の治療をして、いなくなった方も含みます)
  • 萎縮性胃炎(ピロリ菌によって起きる胃炎です)がある方
  • 鳥肌胃炎がある(あった)方
  • 胃透視検査(バリウム検査)で慢性胃炎を指摘されている方

→上記のような方は胃がんのリスクがあるので年に1度は胃カメラを受けられることが勧められます。

③ポリープなどがあり、経過観察の目的で検査を受ける場合

元々ポリープなどの異常を指摘されており、すぐに治療をする必要はないものですが、大きさや性状の変化がないかを経過観察が必要な場合です。こちらも基本的には症状がないので検査を受けるのをためらわれる方もいらっしゃるかと思います。

食道や胃、十二指腸の粘膜下腫瘍(消化管の壁の中にできる腫瘍です)やポリープといったものが当てはまるかと思います。これらは大きさや性状などによって経過観察だけでいいのか、さらに詳しい検査や治療が必要になるのを判断することになります。

胃カメラの主な意味はまとめると

①症状がある方ではその原因を調べて適切な治療を行えるようにする
②がんなどの治療が必要な病変を早期に発見して適切な治療を行えるようにする
③指摘されいてる病変に変化がないかを経過観察する

の3つになります。

胃カメラでできること

このコラムでは分かりやすいように「胃カメラ」といっていますが、正式には「上部消化管内視鏡検査」といいます。

上部消化管とは口から十二指腸までのことで、胃カメラでは胃だけでなく、のど(咽頭・喉頭)から、食道・胃・十二指腸までを観察することができます。

粘膜の色の変化や凹凸など性状を直接観察できるので、多くの情報を得ることができ、がんの早期発見にとても有効です。

また、異常所見があった場合、生検(組織の一部を取ってくる検査)を行うことで確定診断をつけることができます。

胃カメラってどんなもの?

下記の写真が2020年11月に完成した当院の新しい内視鏡室です。

写真の右側に胃カメラがセッティングされています。
先端は下の写真のような感じです(青いカバーは内視鏡保護用のカバーで検査時には外します)。

当院ではオリンパス社のGIF-1200Nという経鼻用のカメラとGIF-H290という経口用のカメラとで検査を行っています。
カメラの太さがわかりやすいようにカメラを並べて写真を撮ってみました(写真には大腸用のカメラも入れています)。


一番右側がGIF-1200Nという経鼻用のカメラで、真ん中がGIF-H290という経口用のカメラ、一番左側がPCF-H290ZIという大腸用のカメラです。
GIF-1200Nでは先端の太さの直径が5.4mmで、一番太い部分の直径で6.75mmです。
GIF-H290の先端の太さの直径が8.9mmで、一番太い部分の直径で10.7mmです。
PCF-H290ZIの先端の太さの直径が11.7mmで、一番太い部分の直径で13.8mmです。

直径が10mm程度の食べ物を探してみましたが、うまく見つかりませんでした。
鉛筆の太さはJIS規格では最大径8mm以下で、トンボ鉛筆の基準では7.7±0.2mmとのことでしたので、経鼻用の胃カメラは鉛筆より少し細めで、経口用の胃カメラは鉛筆より少し太めといったイメージでしょうか(ただし、太さは胃カメラの種類によっても変わります)。
ボールペンと一緒に撮った写真を下記に載せてます。これでイメージがつきますでしょうか?

胃カメラではどんなことをしているの?また、胃カメラの時に色々と言われるけどどんな意味があるの?

①検査前

1.  胃カメラを始める前に、まずプロナーゼとジメチコン(ガスコン®)という薬を飲んでいただきます。

Q:プロナーゼの意味は?
A:胃の粘液を溶かしてくれる薬で、胃の中の観察をしやすくします。

Qジメチコンの意味は?
A:胃の中の泡を消してくれる薬で、胃の中の観察をしやすくします。

2. 次にリドカインという薬のスプレー(キシロカインスプレー®)をのどに吹きかけて、少し置いてから飲んでもらいます。
これは施設によってはスプレーではなくて、液体を使用する場合があります。

Q:リドカインの意味は?
A:のどの局所麻酔です。咽頭反射といってカメラが入る時におえっとなる反射を軽減しててくれます。その反面、つばなどが気管に入りやすくなりますので、検査中はつばや上がってきた胃液などはすべて飲み込まずに出すようにしてください。

3. 検査台に横になってもらいます。

左側の横向きになっていただき、左脚はまっすぐ伸ばして右脚は左脚の前に出します。

Q:この体勢の意味は?
A:胃カメラの際にはのどの麻酔をしているため、つばや上がってきた胃液が気管に入る(誤えん)とむせたり、肺炎(誤えん性肺炎)を起こすことがあります。誤えんを防ぐためにはつばなどは全て飲まずに口から出すようにすることが大事になります。仰向けだと誤えんを起こしやすいため横向きになっていただきます。また、右脚を少し前に出すことで、検査中も横向きの体勢を維持しやすくなります。

4. 鎮痙薬(消化管の蠕動を抑える薬です)を使う場合には、鎮痙薬の投与を行います。

当院では胃カメラの際にはあまり使用していませんが、胃や十二指腸のぜん動が強くて観察がしにくい場合は消化管のぜん動を一時的に抑える薬を使用することがあります。
鎮痙薬としてはブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン®)やグルカゴン(グルカゴンG®)を使用する場合が多いです。これらは筋肉注射もしくは、静脈注射で投与します。またl-メントール(ミンクリア®)というミントの薬をカメラを通して胃の中にまく場合もあります。

5. 麻酔薬を使う場合には、麻酔薬の投与を行います。
当院ではミダゾラムという鎮静剤(眠るための薬)とペンタゾシン(ソセゴン®)という鎮痛剤(痛みを抑える薬)を各々の患者さんに合わせて使用しています。

Q:これは全身麻酔での検査?
A:時々全身麻酔をするんですか?という質問をいただきます。全身麻酔という言葉を使う場合は意識を消失させる薬、鎮痛薬に加えて筋弛緩薬を使用する麻酔のことを意味する場合が多く、その場合は人工呼吸器が必要になります。胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査の時に使用するのは鎮静薬と鎮痛薬で、筋弛緩薬は使いませんので、一般的にイメージする全身麻酔とは異なります。

6. ついに胃カメラの挿入です。

7. まず、咽頭・喉頭(のど)を観察します。ただ、ここは一番患者さんがつらい部分になります。ここをどれぐらい入念に観察するかは、咽頭・喉頭がんのリスクがどれぐらい高いかと、咽頭反射がどれぐらい強いかによると思います。

Q:「あごを前に突き出すようにしてください」って言われる意味は?
A:あごを突き出すようにしていただくと、のど(咽頭・喉頭)の空間が広がり、観察がしやすくなります。また、カメラの先端がのど(咽頭・喉頭)の壁などに当たると咽頭反射(おえっとなる反射)が起きやすいですが、空間が広くなることでカメラの先端が周りに当たりにくくなり、咽頭反射を起こさずにのどを通りやすくなります。

カメラの先端が食道内まで進んだ後は、げっぷが出にくくするために逆にあごを引いていただきます。

Q:「いーっと声を出してください」と言われる意味は?

A:カメラが口の中にある時に「いーっ(えーっ)と声を出してください」って言われたことはありませんか?これは声を出すと披裂部という部分が持ち上がって梨状陥凹という部分の観察がしやすくなるためです。

下の1つ目(左側)の画像では赤丸の部分が重なっており観察しにくいですが、2つ目(右側)の画像では赤丸の部分が広がり、見やすくなっています。

 

8. 次は食道を観察します。

食道(咽頭・喉頭もですが)のがんはNBIというモードで観察した方ががんを見つけやすいので、まず挿入時にNBIというモードで観察し、最後に引き抜く時に通常のモードで観察することが多いです。

Q:NBIとは?
A:Narrow band imaging(狭帯域光観察)の略称です。照射する光の波長の範囲を狭くして、照射される面の細かな変化を強調させる技術になります。細かい表面の血管を見やすくすることで、がんの発見や精査に役立てます。胃カメラの画像をご覧いただいたことがある方は見たことがおありかと思いますが、下の図のように全体的に緑がかったような画像になります。下の図の黄色の矢頭の部分が食道がんになりますが、このような小さい病変でもNBIで観察することで発見しやすくなります。

Q:「できるだけ息を吸って止めてください」と言われる意味は?
A:食道胃接合部といって食道と胃のつなぎ目の部分を観察する時は、深く息を吸って止めていただくと、管腔が広がって観察しやすくなります。息を吸って止めて下さいと言われた時は食道胃接合部という場所を見ていることがほとんどです。
下の1つ目(左側)の画像が食道胃接合部があまり広がっていないもので、2つ目の画像(右側)の画像がしっかり広がっているものです。

9. 次は胃に入りますが、胃内はほとんど見ずに、まず十二指腸を観察します。

Q:十二指腸を先に観察する意味は?
A:胃は袋状の構造をしているので、詳しく見るためには胃内に空気を送り込んで、胃の中を膨らませて観察する必要があります。胃の中が膨らんだ状態で、十二指腸に入ろうとすると、かなり苦しいので、胃の中の観察をする前に十二指腸の観察をします。

細かい話にはなりますが、胃の中の空気が少なめの方が観察しやすい部分もあるので、私はそこだけ観察しながら十二指腸へとカメラを進めていくようにしています。
十二指腸は普通のカメラでは、下行脚という部分まで見ることができ、水平脚に関しては一部が見えるという感じです。
十二指腸の観察の順番としては球部をまず観察して、カメラが進める部分までできるだけ進めてから、引き抜きながら下行脚を観察します。

Q:「みぞおちのあたりが押されるような感じがします」って言われるけどどんなことをしているの?
A:胃と十二指腸をつなぐ部分である幽門輪(下の1つ目の図の黄色い丸の部分)という部分を超える時にこのようにお声かけします。胆汁や膵液といった消化液が胃に逆流しないようにするために、幽門輪が胃と十二指腸を分けており、ここを超える際にはカメラを幽門輪に押し付ける形になります(下の2つ目の図)。カメラはすぐに幽門輪を超えることができないので、いったん胃の中でカメラがたわんできます(下の3つ目の図)。ある程度たわんだ後に、カメラの先端が幽門輪を超えて十二指腸に入ることができます。このカメラが胃の中でたわんでいっている時にみぞおちのあたりが押されるような感じがするのです。

 

 

 

 

 

 

Q:その後にも「お腹がつっぱるような感じがします」って言われたりするけどどんなことをしているの?
A:カメラの先端を十二指腸球部という部分から下行脚という部分へ進める時にこのようにお声かけします。これはカメラを引くことで先ほど幽門輪を超える際にできた胃の中のカメラのたわみを取り、カメラを奥へ進めるという操作をしています。

 

10. 十二指腸の観察が終われば、次はいよいよ胃の中を見ます。

胃の中の観察の順番は医師によって異なりますが、どのような順番であれ胃の中をくまなく見ることが重要です。当たり前のことではありますが。。。

Q:どうしてげっぷを我慢しないといけないの?
A:胃は袋状の構造をしているので、空気が抜けた状態ではぺしゃんこになって十分な観察ができません。また、胃の中にはひだがあるので、空気が少ないとひだとひだの間に病変があっても見逃してしまうおそれがあります。げっぷをすると胃の中の空気が抜けてしまうので、患者様はできるだけげっぷを我慢していただくようにお願いしています。空気が入ると気持ち悪いですし、我慢していてもある程度げっぷが出てしまうとは思いますが、できるだけ我慢しておいて頂けると助かります。あごを引いていただくとげっぷが出にくくなります。

11. 胃の中を見終われば、胃の中の空気を吸ってから、食道を観察しながらカメラを引き抜きます。

Q:どうしてもう一度食道を見るの?
A:食道の観察の部分で少し記載しましたが、食道のがんはNBIというモードの方が発見しやすいため、カメラを入れていく際にはNBIというモードで観察することが多いです。ただ、NBIでは逆に発見しづらい病変(メラノーシスや血管腫などの病変は通常の光の方が発見しやすいです)もあるため、引き抜く際に通常の光で観察します。また、食道の入り際の部分(食道入口部といいます)に関しては、カメラが入る際には観察がしにくいことが多いので、その部分はまたNBIモードにして、ゆっくりと引き抜きます。少しでも早く検査が終わってほしい!と思われるとは思いますが、病変の見逃しを極力なくすために最後も少しだけ我慢いただけると助かります。

実際の胃カメラの画像

ここでは上部消化管(咽頭・喉頭、食道、胃、十二指腸)の模式図をお示しして、どんな風に胃カメラで見ていくのか各々の部位での画像とともに解説していきます。
模式図については私の手作りなので少し不格好ですがご容赦ください。
なお、実際にはもっと多くの画像を撮影しながら検査を行いますが、今回は主だった画像を載せています。
数字のついた赤色の矢印が実際にカメラの先端がどこを向いて撮影しているかを表しています。

①まず咽頭・喉頭を観察して画像を撮影します。
ここの観察を行う際にえーっとお声を出していただくことがあります。
真ん中の三角形の穴の奥は気管につながっており、食道へはその脇の部分から入っていきます。

 

 

②食道を観察しながら進めていきます。この画像は食道胃接合部といって食道と胃のつなぎ目の部分です。ここの観察時に大きく息をすって呼吸を止めて頂くことがあります。

 

 

 

③十二指腸球部という場所です。十二指腸潰瘍はここにできることが多いです。ここから十二指腸下行脚へと進める際にはお腹が突っ張るような感じがすることがあります。

 

 

 

④十二指腸下行脚という場所です。画面左に見えるポリープのようなものは十二指腸主乳頭といって、ここを通って胆汁や膵液が出てきます。

 

 

 

⑤胃の前庭部という場所です。真ん中の穴の部分が幽門輪といって、胃と十二指腸のつなぎ目の部分です。カメラの先端がこの幽門輪を超えて十二指腸に入る際にお腹が押されるような感じがします。

 

 

 

⑥胃角部小弯という場所です。胃の真ん中あたりになります。カメラの先端を反転させて見ています。

 

 

 

 

⑦胃体中部小弯という場所です。これもカメラの先端を反転してみています。画面の真ん中の上半分見える黒い棒みたいなものは反転して見ているカメラの一部になります。

 

 

 

⑧穹窿部という場所です。胃の一番上側(頭側)になります。

 

 

 

 

⑨胃体中部大弯という場所です。ここにはヒダがあるので、しっかり空気を入れて胃を膨らませないと病変を見逃すおそれがあります。

胃カメラの楽な受け方のコツ

胃カメラをできるだけに楽に、また安全かつ速やかに終えるためのコツをご説明します。

胃カメラを受けるとなると緊張されるとは思いますが、できるだけリラックスして体の力を抜くようにお願いします。のどの緊張が強いと、のどから食道に入りにくく、検査後にのどの痛みが出ることがあります。

つぎに体勢などでお願いしたいことを記載していきます。

  1. 体勢は常に横向きで、右脚を左脚の前に出すようにしておいてください。
  2. 最初はあごを突き出すようにしておいていただいて、カメラの先端が食道内まで進んだら、今度はあごを引くようにお願いします。
  3. カメラが食道に入る際にはできるだけ力を抜いてください。力を抜くのが難しい場合には大きな飴玉を飲み込むような感じで、カメラを飲み込んであげてください。
  4. カメラの先端が食道に入った後はできるだけ力を抜いて楽にしておいてもらえればけっこうです。ただ、げっぷだけ極力我慢いただくようにお願いいたします。げっぷを我慢いただければ胃の中の観察がスムーズに進み、検査時間自体も短くなります。
  5. 検査中はつばや上がってきた胃液などはすべて自然に口から垂れ流すようにお願いいたします。飲み込むと気管に入り、むせたり、肺炎を起こすおそれがあります。

これらの内容はすべて検査時にこちらからお声かけさせていただきますのでご安心ください。

胃カメラを楽に受けるコツを記載させていただきましたが、一番楽に受けられる方法は検査時に麻酔薬を使うことだと思います。適切に麻酔薬を投与することで、ほとんどの方が極めて楽に検査を受けていただくことが可能です。当院では希望される方には麻酔薬を用いて検査を行っていますが、検査を受けたことを覚えてらっしゃらない方が多いです。検査結果の説明をするために診察室に入っていただいた際に「これから胃カメラですか?」とおっしゃられることがよくあります。

ただ、麻酔薬を使用するとその日は車などの乗り物の運転や、高所での作業などはできませんのでご了承ください。

問診票の質問内容の意味について

胃カメラの問診票でよくある問診内容で意味の分かりにくいものについて解説します。

Q:「緑内障、前立腺肥大、不整脈、心臓の病気、糖尿病、褐色細胞腫はないですか?」という質問はどんな意味がありますか?
A:緑内障、前立腺肥大、不整脈、心臓の病気があると、鎮痙薬のブチルスコポラミン臭化物が使えない場合があります。
糖尿病、褐色細胞腫(カテコラミンというホルモンを産生して高血圧や糖尿病などをきたす腫瘍です)があると鎮痙薬のグルカゴンが使えない場合があります。
緑内障があると鎮静剤のミダゾラムが使えない場合があります。

上記の病気がおありでも、病気の程度や種類によっては使用できる場合もありますが、確認が必要になりますので問診票でお尋ねさせていただいています。

Q:「エイズ(HIV)の治療の薬、麻薬系の強力な痛み止め、てんかんの治療の薬を使用していませんか?」という質問はどんな意味がありますか?
A:エイズ(HIV)の治療の薬の中のプロテアーゼ阻害薬という種類のものを使用していると、鎮静剤であるミダゾラムが使用できない場合があります。
麻薬系の強力な痛み止めを使用していると、鎮痛剤であるペンタゾシンが使用できない場合があります。
てんかんの治療のお薬を使用していると、ミダゾラムという薬の拮抗薬であるフルマゼニル(アネキセート®)を使用できない場合があります。

検査後の注意内容の意味について

検査後の注意事項を記載させていただきます。

◎検査終了後1時間たってから、水を少し飲んでむせがないことを確かめて食事をとるようにしてください。

Q:なんで一時間待たないといけないの?
A:のどの麻酔が切れる目安が一時間程度になるためです。のどの麻酔が切れる前に水分を飲んだり、食事をとったりすると気管に入り肺炎を起こすおそれがあります。検査のためにご飯をぬいていただいているので早く食事をとりたいとは思いますが、安全のために少しだけ食事はお待ちください。
検査後に口の中が気持ち悪い場合は、下を向いてぐちゅぐちゅとうがいをしていただくことは可能性です。

◎麻酔薬を使用した場合にはその日は車などの乗り物の運転や、高所での作業などはなさらないようにしてください。

Q:麻酔がさめた後にも運転はできないの?
A:検査後に麻酔がある程度さめるまで30分~1時間程度院内で休んでいただきます。ただ、その後でもふらつきが残る場合がありますし、一旦麻酔が切れたと思った後でもまた眠たくなることがあります。事故を避けるため、よろしくお願いいたします。

◎生検(組織の一部をつまみとって病理検査に出すこと)を行った場合は、まれに出血をすることがありますので、ふらつきなどの貧血の症状や真っ黒い便が出る場合にはご連絡ください。

Q:どんな場合に連絡したらいいの?
A:生検をすると、少し血が出ますが、ほとんどの方ですぐに血が止まります。私は8000件以上の胃カメラを行ってきましたが、生検による出血が持続して処置が必要になったことはがありません。

出血が持続する場合の症状としては

  • 貧血症状→ふらつく、動悸がする、気を遠くなる感じがする、下まぶたの赤みがなくなる
  • 出血の兆候→吐血する、真っ黒い便が出る

というものがあります。生検時の少量の出血だけでは上記のような症状は出ないので、これらの症状がある場合はすぐにご連絡ください。

 

今回のコラムを読んでいただくことで胃カメラへのご理解が深まったでしょうか?
本コラムが胃カメラを受ける不安の解消に少しでもお役立ちできれば幸いです。

姫路市で内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)をご希望の方は書写西村内科にお気軽にご相談ください。当院での内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)はネット予約・電話予約も可能です。下記のリンクもしくはホームページの予約ボタンからご予約いただくか、下記番号にお気軽にお問い合わせください。

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