0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評 2022年09月
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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『鞭で泣かす』

梅沢薫『鞭で泣かす』、

朝霧友香の夫・下元史朗は鞭などを使ってのSMプレイでしか情欲を満たせないため、責められる朝霧は耐えられないでいた。

ある日朝霧は娼婦のコスプレをして下元を喜ばせようとするも、夫はそれを嫌がり元に戻れと言う。

朝霧は絶望し自殺しようと海岸へ行くが、そこで彼女は孤独な青年と出会い関係を持つが、青年にも過去があり、実は同棲中の女の浮気現場を見て、相手の男を殺していた。




1980年の作品だが、70年代的なテイストのピンク映画。

この時代によく主役を張っていた朝霧友香と下元史朗が夫婦役である。

下元がタイトル通り、妻を鞭で泣かすようなことをしまくるので、それに辟易した朝霧は自ら娼婦のコスプレで迫るも、SMでしか燃えない下元に絶望して、自殺しようと海へ行く。

そこで彼女に浮気されて相手の男を殺してきた過去を持つ青年と朝霧は魅かれ合い関係を持つが、終盤、朝霧は下元に手紙を書き、海辺に来させて、今の自分を目撃させる。

それぞれがそれなりに切実な事情を抱えている状況で、それを慰め合ったり、愛情は多分それなりにあるのに、性的な嗜好が合わないゆえに別々に生きていくことになる男女を割と情緒的に描いている。

海のロケーションが美しいので、そうした男女の葛藤のドラマが中々に様になり、ちょっとした叙情も出ている。

朝霧友香も下元史朗もいい味わいで好演している。

わりとちゃんとした出来の一篇。 2022/09/27(火) 02:49:03 その他 トラックバック:0 コメント(-)
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