『アイカツフレンズ!』13話のラストシーンについて
月に向かい手を伸ばし「まだまだ遠いな」と呟くみおをエモーショナルに切り取ったラストシーン。月灯りに照らされる質感がとても良く、モチーフやレイアウトなどカレンやラブミーティアに交錯した感情を抱いていたみおの内心をとてもよく描き出してくれていました。月と手の “遠さ” で憧れとの距離を映しながら、カメラが反転することで決意を瞳に宿す彼女の表情が映し出されるーー例えば、こういったカットの運びが本当に良く、カメラ位置による見え方・陰影の変化*1と月光の意図を多層的に切り取ったカメラワークが「でも、いつかきっと」と語るみおの想いを力強く反映させていたはずです。
ですが、なにより印象深かったのは続けざまに描かれたこのカット。差し伸べられるあいねの手はまるで本作に題される『フレンズ』の意味を多く携えているようで、フレームインしてくる手と手の重なり合いが “共に歩み、支え合う” 未来への展望を大きく拓いてくれていたことが、とても素敵でした。
もちろん、月や空に向け手を伸ばすという芝居・構図は他作品でも広く使われている*2モチーフ的なカットですが、こういったアクションが同一カット内で起きるのは全く記憶になく、かなり衝撃的で感動しました。主観で描かれることに意味を置くことが多い中、あいねの手が交じり合うことで本作はピュアパレットの物語をあくまで “二人の物語(視点)” として描こうとしたのかも知れません。一人では悩み、立ち止まってしまうこともきっと二人でなら届く。そう思わせてくれる力強さがこのカットにはありましたし、本作の代名詞足る「二人でなろう」の意味を寡黙に伝えてくれた二つの手は、これまで『アイカツフレンズ!』で描かれてきたものの中でも特に雄弁なカットであったように感じました。
そしてそれを契機に超える想定線。これまで手を差し伸ばされ続けてきたあいねが今度は自らの手を差し伸ばしたことで、きっと彼女たち二人の関係にまた一つ変化が生まれていくのだと思います。
物語の分岐路。そんな両カットと今回は立ち位置が逆になり、あいねが上手に立っていたのも印象的です。アイドルとしては先輩であるみおがあいねに手を引かれ進んでいくその先でピュアパレットがどう活躍していくのか。そんな未来が今は本当に楽しみで仕方ないですし、彼女たちと同じ歩幅でその背中を見守りながら、少しずつ変わりゆく景色を私も見ていきたいなと思います。
「アイカツの “アイ” は愛情の “愛”」。それを体現する二人の関係性をラストシーンでも示してくれた素晴らしいエピソードでした。