【検証半年後の結果】万年筆インクの耐光性【染料・顔料・古典】 | しのわんブログ
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【検証半年後の結果】万年筆インクの耐光性【染料・顔料・古典】

インク
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万年筆インクの耐光性を実際に自分の目で確認したいという好奇心から始めた実験が、開始半年を経過しました。

万年筆に使われる染料インク、顔料インク、古典インク合わせて21種類を太陽光に当ててどのように変化するかを観察してきました。

今回は半年間の観察結果をまとめて報告します。

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この記事をおすすめする人

万年筆に使われているインクの耐光性がどの程度か知りたい

万年筆インクは光によってどう変化するのか知りたい

耐光性は種類によって退色に違いがあるのか知りたい

実験方法

方法はいたってシンプルです。

  • ツバメノートのインクコレクションカードにインクを塗る
  • 一枚の額にまとめて貼る
  • ベランダに設置して太陽の光に当てる

という感じです。

耐光性実験の準備編はこちらになります。

よかったら参考にしてください。

検証半年後の結果報告

半年間光を浴びたコレクションカード達です。

インクカードがかなりゆがんでしまっていますし、額の色もかなり退色しています。

全体的に色褪せしたなという印象ですが、じっくり1枚ずつ見比べてみたいと思います。

観察したのは実験開始から0日、20日後、40日後、80日後、150日後、180日後の様子です。

本当は60日後、120日後も観察したかったのですが、都合がつかず撮影できていません(泣)

モニターによっては色が分かりづらいかもしれませんがご了承ください。

染料インク

パイロット

色彩雫「紅葉」

こちらは色を塗ったばかり、実験0日の状態です。

写真左が20日後、右が40日後です。

ひと月程度でかなり退色が進んでいますね。

左が80日後、右が150日後です。

退色がさらに進み、赤系統の色とは分かりますが、鮮やかな紅葉色だったとは思えないほど変化しています。

そして180日後です。

元は赤いインクだったのかなという印象は残っていますが、完全に退色して筆記線が見えなくなってしまっている部分がありますね。

色彩雫「深海」

観察0日目です。

深みのあるグレーがかった青色がきれいですね。

20日後、40日後です。

すでに青色はほぼ退色してしまっていますね。

筆記線は確認できるレベルですが、色だけ見ると元が「深海」だったというのが判別できないです。

80日後、150日後です。

かなり退色が進み、色はかなり薄くなってしまっています。

筆記線は150日後でもかろうじて確認できるかというレベルですが、インク瓶に塗った部分はほぼ消えてしまっています。

そして180日後です。

文字がほぼ読めないほど退色してしまっています。

ここまで退色してしまうんですね。

色彩雫「蛍火」

「蛍火」0日目の様子です。

暗闇の中に光る蛍の灯を想像させてくれるいい色です。

20日後ではそれほど退色していません。

40日経つと若干退色して薄くなったかなという印象です。

80日後、150日後の様子です。

徐々に退色してきてはいますが、「蛍火」はまだ「黄色」と判別できますね。

黄色みが強くなり、暗い夜のイメージが減ったような印象です。

そして180日後です。

「蛍火」という深さのある色ではなくなっていますが、筆記線がしっかりと確認できます。

パイロットの「紅葉」「深海」は一部完全に退色してしまっていたのに対して、「蛍火」は思いのほか残っていますね。

使われている染料、色によっても退色しやすいものと退色しにくいものとがあるんでしょうね。

セーラー

四季織「夜桜」

観察0日目です。

夜空に浮かび上がる桜を表現した、僕が好きなインクのひとつです。

20日でかなり退色が進んでいます。

この時点で薄いピンク色っぽい色になり、夜を感じさせる深みは無くなっています。

さらに40日経過したところでかなり退色してきました。

80日後ではかろうじて文字は見え、赤っぽいインクだったのかなという印象は残っています。

150日後になると、ほぼ退色してしまい、文字がほぼ読めない部分もあります。

そして180日後です。

ほぼ退色してしまい、じっくり見ていないと文字は読めません。

元の色がなんだったのか全く判別できなくなってしまいました。

四季織「夜長」

観察0日目です。

「夜長」は深みのある青で、かなり濃い青色ですね。

20日後の「夜長」は薄明るい青色に変化してきていましたが、40日後でもそこまで大きな変化はみられていません。

80日後、150日後を並べてみると、少し明るみが増した感じはしますが大きな変化はありませんね。

青色と十分判別できる程度の退色具合ですね。

そして180日後。

これが染料インクだったのかと疑いたくなる結果です。

筆記線はしっかり見え、インクの色もそれほど大きな変化はみられていません。

「夜長」は耐光性に優れているといえますね。

寺西化学工業

ハイカラインキ アンティークブラック

観察0日目です。

黒とこげ茶色が見え隠れする濃淡具合が楽しめるインクです。

20日、40日後です。

時間経過によって若干退色してきている感じはしますね。

黒っぽさが徐々に抜けて、こげ茶色っぽい感じになってきています。

80日後はさらに黒っぽい感じが減り、こげ茶色の要素がぐっと出てきた感じです。

さらに150日後には、こげ茶色も徐々に薄まりやや明るくなってきたような印象です。

そして180日後です。

黒色が徐々に退色してきていて、これからも徐々に退色はしていくのかなという印象ですね。

色はかなり変化してきていますが文字はしっかり読める状態なので、ある程度の耐光性はあるといえそうです。

スパークルインク「ミスティブラック」

寺西化学工業のラメ入りの黒インクです。

ラメが輝いているので若干グレーっぽく見えます。

20日目と40日目です。

それほど大きな変化はないように見えますが、インクが若干退色したことでラメの輝きが目立つようになってきています。

80日後、150日後です。

さらにインクが退色して、よりラメの輝きが目立つようになりました。

そして180日後です。

さらにインクが退色してきてラメが目立っています。

インクもある程度は退色した感じですが、筆記線は十分確認できますね。

耐光性があるといってもいいと思います。

ペリカン

「ブリリアントブラック」

0日の状態です。

かなり黒々としつつ、しっかりと濃淡を楽しめるインクです。

20日後、40日後の様子です。

徐々に黒が退色して、グレーっぽい、また少し茶色っぽい感じの色に変化してきています。

80日後、150日後の様子です。

黒がどんどん退色して、かなり茶色っぽい色になってきています。

筆記線が十分確認できますね。

見る角度によって色の印象が変わって時々赤みを感じるのはフラッシュしている影響かと思います。

そして180日後です。

もう元が黒だったというのは全く分かりませんね。

こげ茶っぽい色に変化してしまっています。

文字などはしっかり残っていますが、インクが薄かった部分は色が薄くなってきています。

ある程度は耐光性があるようです。

「ブリリアントブラウン」

0日目の様子です。

少し赤っぽい茶色ですね。

濃い発色で、それでいて濃淡も楽しめるインクです。

20日目、40日目の様子です。

色調はかなり変わりましたね。

濃い赤茶色という感じでしたが、濃さと赤さが薄れて淡い茶色っぽい感じになってきています。

80日後、150日後の様子です。

徐々に明るい茶色に変化してきていますが、筆記線は十分確認できますね。

そして180日後です。

ちょっと写真のピントがずれてますね(汗)

かなり明るい色になってしまっていますが、文字はしっかりと確認できますね。

さらに光に当て続けると、徐々に消えていくのかなという印象はありますが、この時点では耐光性はあるといえますね。

モンブラン

「ミステリーブラック」

0日目です。

どこか濃いめの青を感じる黒ですね。

20日後、40日後の様子です。

黒が徐々に退色し、グレーっぽい感じに変化してきています。

どこか赤みを帯びている感じがしますが、金属のような光沢で見る角度によって違うのでフラッシュ現象かと思います。

80日後、150日後の様子です。

黒っぽい感じはほぼなく、赤い金属のような光沢だけが残っていっている感じですね。

180日後になると、金属っぽい光沢はなく、ただ赤いサビのような色に変わってきています。

今のところ筆記線は確認できますが、インクが薄かった部分はかなり退色してきています。

さらに光に当て続けると退色しきってしまいそうな印象ですね。

「ミッドナイトブルー」

まずは0日目の様子です。

やや淡いブルーブラックで、どこか白っぽい感じもある、複雑なブルーブラックです。

20日後、40日後の様子です。

早々に青みがなくなってしまって、グレーっぽく変化してきています。

80日後では、まだグレーっぽい感じは残っていますが、150日後になると、かなり退色が進んできています。

筆記線はまだ確認できますね。

若干赤っぽくフラッシュしているようにも見えます。

そして180日後の様子です。

筆記線の縁が濃く残っているので、今はまだ文字はなんとか識別できますね。

赤色っぽさもなく、若干黄色っぽい感じになっています。

パーカー

「ブルーブラック」

0日目の状態です。

パーカーのブルーブラックはやや明るい発色の青色です。

20日後では若干明るさがなくなり、少し落ち着いた雰囲気になっています。

40日後になると、かなり明るさがなくなり、モンブランのミッドナイトブルーのような落ち着いた蒼色になっていますね。

80日後、150日後です。

どんどんと落ち着いた蒼色に変化してきています。

徐々に退色してきてぐれーっぽい感じもしますが、青っぽい印象は残っていますね。

そして180日後です。

パーカーのブルーブラックらしい色はありませんが、筆記線は十分に確認できるレベルです。

徐々に色素が薄まってきている印象なので、続けたらもっと退色していきそうな感じがしますね。

カヴェコ

「ミッドナイトブルー」

0日目の状態です。

カヴェコのミッドナイトブルーは深みのあるブルーブラックでしっかりと濃淡が楽しめます。

20日目で青色が退色してグレーっぽい感じになっていますね。

40日後になるとグレーっぽい感じも薄くなってきています。

また、赤い金属っぽい光沢が確認できますね。

80日後では赤い金属っぽい感じだけが残って、青色であったという印象はほぼ残っていませんね。

さらに150日後になると、金属っぽさもなくなり、淡く薄い朱色だけが残っています。

そして180日後の様子です。

退色がかなり進みましたが、文字はなんとか読める程度には残っていますね。

もう消えそうになっているところもかなりありますね。

顔料インク

セーラー

ストーリア「レッド」

0日目の様子です。

やや朱色っぽい赤色で、濃淡が出やすいですね。

20日後、40日後の様子です。

若干赤色は薄まったような印象を受けますが、ほぼ変化ないですね。

80日後、150日後の様子です。

比べてみると若干退色したのかなという程度で、ちょっと薄くなってきているようです。

赤色というのがはっきり分かりますし、筆記線はしっかりと確認できます。

0日目と比べると、かなり退色はしてきている感じです。

顔料インクでも色素は徐々に薄れていくんですね。

とはいえ、染料インクに比べるとはるかに光に強いことが分かります。

ストーリア「パープル」

0日目です。

やや青みを感じる薄めの紫で、濃淡が楽しめるインクです。

20日後、40日後の様子です。

若干退色したような感じはしますが、紫色という印象は変わりません。

文字もしっかりと確認できます。

80日後、150日後の様子です。

若干退色したかなという印象ですが、ほぼ変化ないですね。

180日後です。

半年太陽を浴びても若干色が薄くなった感じがする程度ですね。

耐光性を存分に感じさせてくれます。

「蒼墨」

まずは0日の状態です。

蒼墨というネーミングがしっくりくる、濃淡の具合が楽しいインクですね。

20日後、40日後の状態です。

じっくりみてもほとんど変化がなく、蒼色が維持されていますね。

80日後、150日後の様子です。

わずかに色が薄くなってきたかなという印象はありますが、明らかに退色したという感じはありません。

180日後の様子です。

わずかに退色したかなという程度ですね。

色の印象はほぼ変わらず、筆記線はくっきりと確認できます。

「青墨」

0日目です。

明るめの青色ですがすがしい印象ですね。

濃淡が出やすいです。

20日後、40日後の様子です。

ほぼ変化はなく、青色はしっかりと維持されています。

80日後でもほとんど変化は見られないですね。

150日後になると若干退色したのかなという印象ですが、ほぼ変化ないといってもいいと思います。

そして180日の様子です。

0日と比べると多少退色したような印象ですが、ほぼ維持された状態で筆記線はしっかりと確認できますね。

古典インク

ペリカン

「ブルーブラック」

0日目の様子です。

20日後ですでに青みが薄くなり、グレーっぽい色に変化してきています。

40日後には青みはほぼなくなり、グレー色へと変化していますね。

80日後、150日後の様子です。

かなり染料部分は退色が進み、徐々にサビっぽい色が表に出てきた感じがします。

色はすっかり変化してしまっていますが、筆記線はちゃんと確認できますね。

180日後の様子です。

青い染料はほぼ見られませんが、サビのような赤黒い色がしっかりと残り、筆記線はしっかり確認できます。

プラチナ

「富士」

0日目です。

ペリカンの「ブルーブラック」と比べると若干青みが強い印象です。

20日目は若干青みが残っていますが、40日目になると青色はかなり退色が進んでいます。

それでも若干青みが残ったグレーっぽい色になっています。

筆記線は十分確認できますね。

80日後ではまだ染料が残っているような感じですね。

150日後になると、染料がかなり薄くなり、少しサビたような色が見えるようになってきました。

筆記線はしっかりと残っていますね。

そして180日後の様子です。

染料部分はほぼ退色してしまった感じがしますが、定着した鉄分がしっかりと残り、文字ははっきりと読むことができますね。

クラシックインク「カシスブラック」

0日目です。

20日目、40日目の様子です。

徐々に赤が退色してきて色の印象は変わってきていますが、赤系統のインクであることは十分分かりますね。

80日後でも赤っぽさはまだ確認できますね。

150日後になると、インクが濃くついている部分と、薄くついている部分とで退色の具合が違うのがよく分かります。

筆記線はしっかり残っていますね。

180日後です。

カシス色はほぼ退色してきた印象ですが、それでも若干赤っぽさは残っています。

ブルーブラックで見られたようなサビっぽい感じとはまた少し違うような印象です。

クラシックインク「フォレストブラック」

0日目です。

深い森で日の光がかろうじて差し込んでいる、そんな印象を与えてくれます。

20日後、40日後の様子です。

深緑色から、かなり明るい緑色へと変化してきています。

元のインク色からはかなり印象が変わってきていますね。

80日後、150日後の様子です。

インクが薄かった部分はかなり退色が進んで、やや赤みを帯びたような色が見えてきました。

濃い部分はまだ緑色っぽい感じが残っていますね。

そして180日後です。

まだ緑っぽい印象は十分残っています。

かなり退色は進んでいますが、筆記線は十分に確認できます。

退色が進んだ部分は若干淡く赤っぽい感じはあります。

最後に

今回は180日かけて行った万年筆インクの耐光変化を見てもらいました。

染料インクでもかなり耐光性のあるインク、早々に退色してしまったインク、顔料インクの耐光性の高さ、古典インクの変化の様子など、実際に変化を見ているだけで楽しかったですね。

今回の耐光性の検証についてはいったん終了して、次の検証(内容はまだ決まっていませんが)を進めていきたいと思います。

今回の分はせっかくなのでもう少し太陽の光を当ててどこまで変化していくのか観察していこうと思います。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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コメント

  1. ひろじ より:

    1年後2年後と実験続けていただきたい。

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