ヘパリン類似物質とは
ヘパリン類似物質とは、医療用医薬品の皮膚保湿剤です。人の肝臓で生成される糖類の一種「ヘパリン」に似た成分で、吸湿して角層に水分を付与する働きがあり、持続的な保湿効果があることが特徴です。
最近ではその保湿力の高さから一般的な需要が高まり、保険適用外ではありますが、病院を受診しなくても薬局やドラッグストアなど市販で購入できるようになりました。
また、先に販売された薬剤がヒルドイド、後発医薬品として誕生したのがヘパリン類似物質油性クリームです。ヘパリン類似物質には4種類の剤形(油性クリーム・ローション・スプレー・フォーム)があります。剤形が違っても効果に大きな差はありませんが、べたつきや伸ばしやすさが異なります。
ヘパリン類似物質油性クリームの場合、油の割合が大きく、水の割合は小さい基材(油中水型)が使われます。「保湿はしたいけど、べたつくのはどうも苦手」という人は、まずはヘパリン類似物質ローションから試してみると良いでしょう。基本的な成分はヘパリン類似物質油性クリームと同じですが、液体であるためつけやすく、かなりさっぱりとした使い心地が特徴です。
さらにさっぱりしたものが良ければ、スプレー状のボトルに入っているヘパリン類似物質外用スプレーや泡状になって出てくるヘパリン類似物質泡状スプレーもあります。こちらは見た目が化粧水やフォームに似ているタイプの剤形です。時間をかけて手で伸ばす必要がないため、さらにつけやすくなっています。
ヘパリン類似物質の剤形別使い分け
ヘパリン類似物質は、剤形が違っても有効成分の量に差はありません。
真夏など湿気がある季節だと、汗をかいて肌がべたつきやすいので、油分が少ないローションがおすすめです。一方、真冬など乾燥しやすい季節の場合は、油分の多いソフト軟膏が適しています。比較的、いつどんな季節でも使いやすいのがクリームです。水分も油分もほどよく含まれているので、細かく使い分けるのが面倒という人は、まずはクリームから試してみましょう。また、忙しい時には、短時間でも塗りやすいスプレータイプやフォームタイプが便利です。
塗布部位によっても、適した剤形があります。顔の場合は、通常の化粧品と同じような感覚で使えるという意味で、クリームやローションがおすすめです。頭皮などべたつかない方が良い部分には、油分が少ないローションが適しています。また、手・ひざ・肘・かかとなどしっかり保湿しないとすぐに乾燥する部分については、クリームやソフト軟膏を使うと保湿効果が期待できます。
ヘパリン類似物質の副作用と注意点
ヘパリン類似物質の副作用は、まれに過敏症として皮膚に刺激を感じたり、皮膚炎・そう痒・発赤・発疹・潮紅や、皮膚の投与部位に紫斑を起こすこともあります。使っていて何かおかしいと思った場合は、すぐに使用を中止し、状況次第では医療機関を受診しましょう。
また、血友病、血小板減少症、紫斑病を患っていたり、わずかな出血が命取りになる病気を患っている方は、使用できません。ヘパリンは血液を固まりにくくする作用があるため、血友病、血小板減少症、紫斑病などもともと血液が固まりづらい持病がなくても、傷口、ひび割れた部分などにヘパリン類似物質を使用しないでください。
よくある質問 Q&A
- Q ヒルドイドとの違いは?
- A ヘパリン類似物質が配合された先発医薬品が「ヒルドイドクリーム」、その後発医薬品が「ヘパリン類似物質油性クリーム」です。剤形(軟膏、クリーム、ローション、フォームなど)が同じであれば、ヘパリン類似物質とヒルドイドは、成分も効果もほぼ同じと考えて差支えありません。肌の状態、季節、塗布部位、時間帯によって剤形を使い分けることで適切な効果を得ることができます。
- Q ヘパリン類似物質は顔に使っていいのですか?
- A ヘパリン類似物質は、顔に使用しても問題ありません。基本的に体のどの部分でも使用することが可能です。日頃から全身の保湿をしっかり行うことでトラブルの起こりにくいすこやかな肌を保つことができます。
- Q たくさんの量を使って問題はないですか?
- A 使用する量に特に制限はないので、患部の広さに応じて量を調節して使用してください。
- Q ヘパリン類似物質に副作用はありますか?
-
A
これといった副作用はありませんが、まれに刺激を感じたり、赤みが出たりする方もいらっしゃいます。そのような場合は使用を中止して、医師にご相談ください。
また詳しい副作用について知りたい場合も医師にご相談ください。 - Q やけど、水疱、湿疹、にきび、手荒れなどの中で使用に向かない症状はありますか?
- A 炎症がある部分には、ヘパリン類似物質の単独使用は向きません。やけどをした直後(急性期)、水疱、炎症の強い湿疹なども避けた方が良いです。にきびは、肌の乾燥が悪化因子のひとつですので、肌が乾燥している場合は併用します。手荒れは、軽症であれば単独で用いますが、ヒビやアカギレを伴うような場合は、お薬との併用がよいでしょう。
- Q 傷口、割れた部分、切れた部分に使用しても良いですか?
- A ヘパリン類似物質は血行促進作用があるため、傷口、割れた部分、切れた部分などへの使用は避けてください。
- Q ヘパリン類似物質はシミに効果的?
- A ヘパリン類似物質は医療用医薬品の皮膚保湿剤に含まれる物質で、肝臓で生成されるヘパリンに似た成分です。保湿や血行促進、抗炎症作用があり、肌の乾燥性病状や冷えが原因の炎症の治療に使われます。クリーム、ローション、スプレー、フォームタイプがあり、顔に使用することはできますが、シミに十分な効果を期待することは難しいです。
詳細情報
有効成分(1g中) | ヘパリン類似物質 3mg |
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使用方法 | 処方時に医者より詳しくご説明いたします。 |
取扱い上の注意
ヘパリン類似物質ローション0.3%
- 使用後はきちんとキャップをしめ、なるべく涼しい所に保管すること。
- 小児の手の届かない所に保管すること。