正しいことは、正しく言わないと、正しく伝わらない - 下林明正のブログ

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個人的かつ雑多なブログです。

正しいことは、正しく言わないと、正しく伝わらない

SNSを見ていたり人の話を聞いたりしていると、「職場で攻撃的な物言いをしてくる人に困っている」ということがある。

攻撃的な物言いをされる側は気分が落ち込んで生産性が下がったり、最悪退職してしまう。 そして攻撃的な物言いをする側は、いくら指摘しても態度を改めない、というもの。

割と長期間に渡ってそういう話を見聞きしてきて自分なりに思うことがあったので、書いておく。

攻撃的な物言いをするメリットはほぼ無いはず

何かを指摘する際の目的は何なのかと考えてみると、指摘をすること自体は目的ではなくて、大体は相手に素早く正しく動いてもらうことが目的だと思う。

その観点で最適な指摘の仕方を考えてみたときに、本当に攻撃的な物言いが最適だと思えるならそうしたらいい。 けど、多くの場合は相手の反発感情を煽って咀嚼に余計なエネルギーを要したり、最悪怒りで正しく伝わらない可能性もあるので、最適でない場合の方が多いんじゃないか。

人間は感情の生き物なので、感情を無視するのはあまり良いやり方とは思えない。 また、「相手は自分と同じように受け取るだろう」と考えている節もありそうだけど、人間は十人十色なので実際はそんなことは無い。

微妙なラインとして、「率直な物言い」と「攻撃的な物言い」を混同しているようなこともあるように思う。

ここまでいくとやり過ぎ感も否めないけど、相手を動かすのに必要な要素は何なのか考えた方が良いと思う。


さらに、視野を個人対個人のパフォーマンスからチームのパフォーマンスへ広げてみると、心理的安全性の観点からやはり攻撃的な物言いをするべきでないはず。

なので、仮に攻撃的な物言いをする人のパフォーマンスが高いとしても、チーム全体として本当にそれで良いのかは検討の余地がある。

そうじゃなく単に攻撃的なだけの人は、多分相当煙たがられてると思う。


攻撃的な物言いをする側の言い分としては、もしかしたら「痛くなければ覚えませぬ」の精神で意図的にストレスを与えることで再発防止を狙っているのかも知れない。 しかし、先述のような理由で積極的に採用するべきやり方だとは思えない。 基本的にインセンティブでコントロールするべきことであるはず。

例外的に、何の権限や裁量も与えられていないのに現場のマネジメントを任されてしまったような場合などに唯一使える道具として「ストレス」があるのかも知れない。 もしそうなら、そんな環境からは早く逃げ出した方が良いはず。

あるいは単に怒りが抑えられないだけなら、アンガーマネジメントなどを学ぶべきだと思う。 もし自分が気持ちよくなるためだけに攻撃的な物言いをしてるのなら、迷惑すぎるので他の趣味を見つけて欲しい。

現場たたき上げみたいな感じで意図無くそういうコミュニケーションスタイルが身についているだけなら、問題点に気づけば変化する可能性はそれなりにありそう。

言われる側の心構え

とはいえ、現実的にはどこに行っても大なり小なり攻撃的な物言いをする人は居るし、自分がしてしまうこともあると思う。

それが問題になっているのならちゃんと組織として育成してくれという話で、前段のようなことを伝えて考えを改めてもらうのが良いのかも知れない。けど、個人的には短期間で変わる事例はほぼ知らなくて、短くて数年〜うまくいっても10年くらいのスパン、実際にはあまり変わることは無いという印象。

なので、言われる側もある程度の心構えを持っておく必要はあるはず。

こういうときの自分の考え方としては、無能で十分説明されることに悪意を見出すなという一般論に従って、相手に敵意や害意は無くて単にコミュニケーション能力が欠如しているだけだと思うように努めている。 問題の外在化にも繋がるはずで、冷静に対処しやすくなると思う。

とはいえ、度を超していたら然るべき対応をするべき。思わず泣いてしまうとか、言われたことを何度も反芻してしまうとかは、かなりの危険シグナルだと思う。

自分の上司やその人の上司やメンターに相談しに行くのが基本的な動きになると思うけど、それが頼りなければ上司の上司に相談しに行っても良いし、人事部などに相談しに行くのも手。 ちゃんとした会社ならアンチハラスメントポリシーがあるだろから通報窓口を活用するのも良いかも知れない。

そうすることが自分の身を守ることに繋がるし、チームのパフォーマンスを守ることにも繋がる可能性があると思う。