海技士試験 海技士（機関）

海技士（機関）は、船内の重要な機器の管理・点検を行う国家資格です。大型船舶（総トン数20トン以上）の船舶職員になるためには海技士の免許が必要です。海技士の資格には航海分野と機関分野があり、機関分野に合格すると機関士として船に乗り込むことができます。海技士（機関）は、１級～６級（機関）、機関当直3級、内燃機関2級～6級に分かれ、それぞれの免許により、航行区域、推進機関出力などが規定されています。船舶の航海において、機関士はエンジンをはじめ、プロペラ、発電機などの機器の操縦と保守を行います。同じ海技士の資格を持つ航海士は航海に必要な総合的な指揮監督を行いますが、機関士は船舶の機器に特化した作業を行うエンジニアであり、機関室に表示されるデータの確認と監視が主な任務です。航海中だけではなく、停泊中も次の航海に備えて点検・整備を行います。海技士（機関）の資格を持っていなければ、船舶職員として船（小型船舶を除く）に乗り込むことができません。なお、受験するには乗船履歴が必要ですが、級により船舶と期間が異なりますのでしっかり調べておきましょう。

活躍の場は、貨物船、タンカー、旅客船、フェリー、漁船などです。エンジンを有する船には、機関士が必ず乗船しなければならないため、従事できる職場は多数存在します。船のエンジンの数だけ、機関士の仕事があるといってよいでしょう。海技士（機関）の資格を持っていると、海上保安庁や海上自衛隊に採用される可能性もあります。機関士は採用されてからも、上級の海技士国家試験を目指してステップアップが期待できる仕事です。実力さえあれば活躍できる世界がさらに広がるでしょう。

船舶の機関士としての年収は、所属する組織の規模により変わりますが、一般的に日本人の平均年収以上の収入を得ている方が多いようです。実力、経験、スキルに応じて年収が上がる可能性が高く、経験豊富な機関士であればかなりの高収入も見込めます。船舶機関士の仕事は、経験を積んでいけば、仕事は途切れることはなく、安定性と将来性は高いといえるでしょう。船舶業界がある限りなくなる職業ではありませんが、安定して仕事を続けていくには専門性と実力を磨いていくことです

確認作業などの決められた手順を確実に実行する責任感のある人に向いています。また、船舶の機関に問題が発生した際には、チームプレーで対処することが多く、さまざまな職種や部門と連携しながら作業することもあるため、協調性も必要です。外国航路では、長期間海上にいることも多く集団生活になるため、規律や秩序を守る意識と共に社交性も必要です。なお、勤務時間が不規則であり、天候の急変などの事態に対応することも多いため、体力と精神力がある人が望ましいでしょう。

階級が上がるにつれ試験の難易度も高くなりますが、受験生を悩ませるのは3級の試験あたりからです。筆記試験対策には、過去問題3年間分にしっかり取り組むことが必要です。最難関の1級については、過去問題6年間分を完璧に解けるようにしましょう。筆記試験の他に、口述試験があります。教科書から学べることを一通りこなせることと、実際の乗船経験の中でどの程度の問題に対処できたかが問われます。特に、1級の口述試験では、質疑内容が試験官によって大きく変わることから試験対策が難しいと感じている受験生が多いようです。身体検査は、一般的な運動能力と体力があれば特に問題ないでしょう。