ついこの前新年を迎えたと思ったら、あっという間に3月も残すところ僅かになってしまいました。
お陰様でバタバタと忙しい日々を過ごさせていただいております。
お仕事をご依頼いただくお客様には感謝の気持ちでいっぱいです!
・・・と、なかなかブログを更新できない言い訳はこのくらいにして、令和3年初の本格的な整備ブログです(笑)
ダイハツ・タント (L360S 平成18年) がエンジン不調とのことで入庫です。
不調の内容としては、停車中のアイドリングでエンジンがガタガタする、アクセルを踏んでも吹け上らないとのことでした。
来社して頂いたお客様に問診をしながら症状を確認しますが、お客様の訴える症状は確認できません。
とりあえず代車をお出しして車を預かります。
まずはフォルトコードの確認ですが、なにも記憶されていませんでした。 ちょっとだけイヤな予感・・・
次に走行テストを行いますが、こちらもこれと言った収穫がありませんでした。
お客様が訴える症状が確認できないので、予兆が無いかを探るべくデータを診ておかしいところが無いかを探ります。
ライブデータを診ていた時に、時々エンジンの調子が変化することがありました。
これが酷くなった時にお客様の訴える症状になることは十分考えられます。
原因特定に至りそうな項目をグラフ化してじっくりと診ていきます。
どうやらアイドリング回転数が低下するので、アイドリング回転数を維持しようとする制御が働くみたいです。
データを診ていると、気になる数値が! 噴射時間が1.3msとかなり短いです。
エンジンの調子から考えて1気筒の失火気味が考えられるので、インジェクターの不具合を疑います。
噴射波形から何かヒントが見つけらないかと、オシロスコープをかけてみます。
あれっ? オシロスコープでの実測値は2.0msなのに、ライブデータの表示は1.3msです???
O2センサ動きや、フィードバック力も空燃比制御は正常だと思われます。 おそらく診断機の表示ミスでしょうね(笑)
念のため他の診断機を数台かけてみますが、やはり噴射時間は1.3ms程度です。
と言うことで、診断機の表示ミスということで噴射時間は無視します。 ちょっと噴射時間の異常さに振り回されてしまいました。
失火と言えば点火系のトラブルの可能性があるので、イグニッションアナライザーの出番です。
点火波形を診るも、これと言った不具合の兆候は見受けられません。
でも、O2センサもきちんと反応しているし、ライブデータの数値にもおかしいところはありません。
お客様が訴えている以上、「 異常ありませんでした! 」とか「 症状が確認できません! 」とかは極力言いたくありません。
症状を再現すべく、パターンを変えて走行テストを行います。
と、ついに症状が発生しました。
症状が発生してみると、なんてことはないイグニッションコイルの不良です。 減衰部もスパークラインもなくなってしまいました。
今後のことも考えて、お客様と相談の上で全数交換しました。
交換後に再度走行テストを行い、同じような条件で症状が再発しないことを確認して作業完了としました。
今回は、症状を再現できたら故障診断の半分はは終了すること、診断機のデータを鵜呑みにしないことを学びました。
複数の検査機器を使って、多方面からの診断・検査を行うことの必要性も学びました。
未だに日々の学びを欠かすことはできないですね! また一つスキルアップできたと思います。
【 追記 】
どうしても噴射時間と実測値のデータの差異が気になったので、自社で持っているEF-VEのデータを確認してみました。
どうやら平成18年 ~ 20年近辺のデータは1.4ms程度を表示するみたいです。
そのあとの年式はきちんと2.0ms程度になっていることから、プログラムのミスかなんかではないでしょうか?
しかも複数台の診断機で同様の表示だということは・・・ 以下自主規制(笑)
- 2021/03/22(月) 22:18:22|
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