予備試験は難しいが、目指す価値のある試験
1 予備試験を志した理由
学部2年次に弁護士になることを志しました。当時は予備試験合格者の司法試験合格率の高さから、予備試験を意識しつつも、合格率の低さからロースクールに進学することを主眼に学習を進めていました。しかし、3年次に試しに受けてみた短答の結果が思いの外良かったため、予備試験ルートを明確に志すようになりました。
2 辰已を受験機関として選択した理由
予備試験の山場である論文試験対策に論文答練を受講しようと考えていたところ、周囲で辰已のスタ論の問題や採点の質への評判が高く、受講を決めました。
また、スタ論では答案をメールで提出することができ、柔軟な受講スタイルをとれたことも大きいです。受験生といえども、勉強以外にもやらなければならないこと、やりたいことはあるのが当然です。そんなとき、柔軟な受講スタイルをとることができるのはかなり大事だと思います。
3 試験対策
●短答対策
基本書と肢別本を使った対策が中心でした。時間が許すのであれば、過去問を解くべきなのでしょうが、私の場合は時間が足りなかったので肢別本に載っている分以外は過去問をほとんど解きませんでした。むしろ、論文知識に不安があったのでその対策を行なっていました。
具体的には、勉強を始めた二年次から三年次まで基本書や予備校の参考書で短答知識を含めた基本知識の習得に努め、短答1~2か月前から肢別本を解き始めました。短答対策にはあまり力をいれていなかったほうなのではないかと思います。
ただ、この結果、短答式はボーダーすれすれで通過することになり、合格発表まで居ても立っても居られないような状況にあったので、もう少し短答対策に力を入れるべきであったとも思います。
●論文対策
旧司法試験過去問と予備試験過去問の演習を中心に対策を進め、その合間に各種論文答練を受講しました。
論文対策を行う際に重視したのが、論文知識の習得、そして、答案の型をおさえることです。論文試験には知識が必要なのはもちろんのこと、効率的な論述を行うために、答案の「型」をおさえることが必要です。旧司法試験は予備試験とは出題の仕方がかなり異なりますが、実施期間が長かっただけあって、知識の網羅性が高く、知識や答案の型を押さえるのにその演習は有効でした。
そして、実際に問題演習をする際に重視したのは周回数をこなすことです。経験則上、演習回数をこなすことが学力向上への近道である考えていたため、過去問の周回数を稼ぐ必要があると考えていました。演習の際にはフルスケールの答案を書くことはせず、答案構成をするにとどめていました。
実は、当初は一問ごとにフルスケールの答案を書いていたのですが、この方法ではあまりに時間がかかり、また負担も大きいためになかなかやる気が出ず、学習が遅々として進みませんでした。そこで、思い切って答案作成をやめ、答案構成のみによる学習に切り替えました。答案構成をする際は、問題提起と論点、論点に関する判例のフレーズ、あてはめで使えそうな事情をメモしていました。おそらく他人よりはすこし詳しめに答案構成していたのだろうと思います。この方法であれば、演習速度を稼ぎつつ、答案の型の習得や、相場観の獲得が図ることができるものと思います。
こうして、論文知識と答案の型を習得したあとは、予備試験の過去問を解きました。短答合格発表の直後からこの過去問演習に取り組みました。ここでは、答案構成のみですませるのではなく、実際にフルスケールの答案を、時間を測って書いていました。本番の時間感覚をつかみ、論述以外の事項(具体的には時間配分や問題文の長さなど)に気をとられないようにするには、実際の問題を実際の試験と同じように解くことが必要だと思います。
本番同様の演習を積む、という点ではスタ論も役に立ちました。実際に受講していた間は論文知識や型の習得がおいついておらず、大した解答は書けませんでしたが、本番の時間間隔や心理状況を疑似体験できる、という意味で大いに有益でした。また、スタ論は他の予備校答練とは一線を画するレベルで採点表が丁寧で、復習がしやすかったのも助かりました。もちろん問題のクオリティも高かったです。
さらに、直前期には予想答練を受講していました。過去問を解くことを優先していたため、実際に答案を書くことはほとんどありませんでしたが、答案構成とレジュメの読み込みで、予想される出題に備えました。本番の憲法では予想答練で出題された、エホバの証人剣道受講拒否事件ベースの問題が出題され、落ち着いて解答することができました。過去問演習に比べれば重要度はおちますが、受講する価値のある講座であると思います。
●口述対策
民事実務に関しては、『民事裁判実務の基礎 入門編・発展編』の読み込みが基本でした。刑事実務に関しては、刑訴法の肢別本と『基本刑法各論』の演習を中心に据えていました。
こうした参考書の読み込みで、ある程度の知識を身につけた後は、口述過去問を用いて友人と互いに問題を出し合うことで、アウトプットの練習をしました。口述試験は短答試験や論文試験とは異なり、「しゃべる」という要素が試験に含まれます。そのため、実際にしゃべるなど、他の二つの試験とは異なる対策が必要であると考えました。
また、論文実務基礎科目の復習も有用でした。今年の口述1日目民事で問われた無断転貸借解除は〜年の論文試験で問われていますし、論文試験と出題が被ることは他にもありました。試験委員の先生方の興味範囲や受験生の苦手な分野は変わらないのでしょう。
辰已の模試も有効でした。この模試でめためたにされたことで勉強に火がつきました。また、辰已の口述模試の刑事で出題された、同時傷害の特例と承継的共同正犯が二日目の刑事で聞かれ、落ち着いて答えることができました。
4 これから予備試験を目指す方へのメッセージ
予備試験は合格率がかなり低く、合格が難しい試験ではあるでしょう。しかし、合格が不可能な試験ではありませんし、目指す価値のある試験であるとも思います。
予備試験も所詮は相対評価の試験であり、自分なりの勉強スタイルを確立し、地道に努力を積みかさねていけば確実に受かります。ただ周りよりすこし良い答案を書けば良いだけなのです。他方で、予備試験に合格すれば、かなり高い確率で司法試験に合格することができ、就職活動でも有利に事を運ぶことができるといわれています。
また、仮に結果がでなくても、予備試験合格を目指して学習した経験はロースクール入試や司法試験に生きてくることと思います。
是非法曹を目指し、予備試験に合格しましょう。
辰已法律研究所 受講歴
・予備試験スタンダード論文答練(第1・2クール)
・予備試験総択
・予備試験論文予想答練
・予備試験論文公開模試
・予備試験口述模試
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