模試をペースメーカーに勉強に取り組みました - 辰已法律研究所

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模試をペースメーカーに勉強に取り組みました

E.Nさん
受験歴: 4回
早稲田大学文学部
明治大学法科大学院【既修】2018年入学
【受講歴】全国公開模試 他
2023年度

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 一般企業で事務職をしていました。専門的な資格がほしいと思い、司法試験を目指すことにしました。会社を退職後予備試験の勉強を始めましたが、ロースクールに進学した方が確実に受験資格を得られると思い、授業料の全額免除をいただいた明治大学ロースクールへの進学を決めました。ロースクール在学中は授業の単位を取得することに精一杯で、司法試験対策をすることがほとんどできませんでした。短答式試験には毎回合格できていましたが、4回目の挑戦で司法試験に最終合格することができました。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

 六法も触ったことがない完全初学者の状態から、8か月の学習でロースクールに合格しました。ロースクールのホームページに過去問が掲載されているため、印刷して解いてみて、基本書と解説を読みました。並行して予備校の基礎講座を取り一通りインプットをしました。当時はこの程度の対策でロースクールに入学できましたが、近年はロースクール入試の難易度が上がっているため、法科大学院進学を決め次第なるべく早く過去問対策を始めた方がいいと思います。

3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)

 法科大学院入学前の学習期間が1年程度だったため、基礎講座を一周し終わって何も見についていない状態で法科大学院に入学しました。そのため、法科大学院入学後は、毎日の授業についていくのに必死でした。判決文を読んだことがなかったため、控訴や原審の意味が分からず、一つ一つ用語を調べながら予習をしていました。そのため、他の人よりも予習と復習に時間がかかりました。なんとか単位を落とすことなく2年で卒業しましたが、司法試験対策はまったくできていない状態でした。

4 受験対策

短答式試験について

 本格的に司法試験の勉強を開始したのは、ロースクール卒業後でした。まず、1年目に短答落ちは避けたかったです。そのため、短答対策を重点的に行いました。具体的には、辰已の短答パーフェクトを解きました。1年目は、時間がなかったので1回解いて正解できた問題は二度と解かないことにしました。そして、間違えた問題は六法にマークをして、条文を確認しました。1年目は短答式試験に合格することができたので、短答式試験の対策をしていてよかったです。また、短答式試験に合格した場合、論文に落ちたとしても論文の成績通知が来ます。そこで自分の弱点がわかることもあります。そのため、短答式試験は何としても合格できるように対策をすることが重要です。

 2年目の受験からは、論文も合格することを目指しました。短答式試験は足切り点を確実に突破したいので、2年目以降もしっかりと勉強しました。具体的には、辰已の短答パーフェクトを何周もしました。2年目以降は学習時間が十分とれました。一度正解できた問題も次に見たら忘れてしまうかもしれないと思い、繰り返し解くようにしました。短答パーフェクトは、市販の短答過去問集の中で最も優れていると思います。その理由は、内容の正確性と解説の判例引用が丁寧である点にあります。短答パーフェクトと六法さえあれば、他の参考書を参照することなく短答式試験の勉強ができます。その分本が分厚くて重いですが、やりこむ価値のある本です。4回目の受験時は、短答パーフェクトのみの勉強で合計139点と十分な点数を取ることができました。

論文式試験について

 論文式試験対策として、基本書、趣旨規範本、判例百選に書かれている定義や論証をまとめたノートを作り、繰り返し確認することで記憶をするようにしました。まとめる時間がない方は、趣旨規範本の中でも覚えたいものにマークをして回すという方法も有効だと思います。並行して、過去問を解きました。使用した教材はぶんせき本です。過去問は、まず2時間時間を測って答案を作成します。その後、ぶんせき本を確認します。ぶんせき本には出題趣旨も踏まえた解説が書かれています。主にA答案を参考にし、自分の答案とA答案の違いを比べました。自分の答案は何ができていないのか(条文が間違っている、論証が不十分、あてはめができていない等)を自己採点しました。その後、時間をおいて解きなおしました。復習の際は趣旨規範本も確認し、覚えるべきことを覚えられていない場合には記憶しなおすようにしました。

 模試は毎年受験していました。時間の都合で在宅受験しました。辰已の模試の特徴は、他社と比べて配点が細かいことです。そのため、過去問を解く際にも、規範を書いて1点、あてはめを1つ書いて1点か2点…と、点数を少しずつ積み上げるために丁寧に論述する意識を身に付けることができ、非常によかったです。模試の結果自体は気にしないようにして、配点と自分の書けなかった部分を比べるという学習をするようにしました。模試の出題内容自体は他社と比べて基本的な論点が多いように感じました。ただし、試験は相対評価なので、基本的な問題であっても人より書き負けていたら試験に落ちてしまいます。模試は、自分のレベルを客観的に知ることのできる貴重な機会ですので、ぜひ受けていただきたいです。

5 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1)LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)

 ロースクールは予習復習で本当に忙しい毎日だと思います。私はロースクール卒業後にようやく司法試験の勉強を始めました。このようにならないために、できればロースクール入学前に基本的な知識は一通り覚え、論証もだいたい書けるようにして、短答も解くようにした方がいいと思います。ロースクールは思った以上に自習ができません。

(2)来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)

 ロースクールを卒業すると、人によって使える時間は違ってくると思います。アルバイトをする必要がありましたが、アルバイトがない日は勉強時間は1日10時間以上とるようにしました。ついついスマホを見てしまう癖があるので、タイムロッキングコンテナという、決めた時間カギがかかる箱を購入し、勉強に集中できるようにしました。ロースクールを卒業すると、予習復習に追われることがなくなるため、時間がたくさんあるように錯覚し、だらだらしてしまいがちです。しかし、だらだら勉強しても得るものはないため、気を引き締めて勉強する必要があると思います。私は、自分の弱点を埋めるために必要な勉強ができていれば、より早く合格していたと思います。模試の点数や本試験の点数が悪かった場合、どうして点数が悪いのか、どうすれば点数が伸びるのかを考え、自分に合った勉強をしてほしいです。論文式試験は、①条文・論点が合っているか②規範や論証が合っているか③あてはめが適切かの3点が重要だと思います。点数が伸びない場合、どの部分に問題があるかを見抜く必要があると思います。 私は、①条文・論点を誤っている、②規範や論証の記憶があいまいという部分が問題でした。①・②を徹底することで合格できたと思います。しかし、人によっては当てはめができなくて点数が伸びない人もいます。あてはめが苦手な方は以下に気を付けていただきたいです。

 自分で立てた定義や論証の文言とあてはめを合わせる。事実の適示はなるべく問題文を丸写しするようにし、問題文を勝手に省略したり自分の言葉でまとめたりしない。事実への評価は比喩表現を使う等して、自分の言葉で考えたような雰囲気で書く。解答例で、説得的だなと思ったあてはめの書き方があれば覚える。

 その他に、各科目で気を付けていたことは以下の通りです。

・労働法 百選の目次を見て、事件名だけで事件の内容・条文・論点・結論を言えるようにする。

・憲法 とにかく苦手なので条文を間違わない。そのうえで、過去問の解答例を参考に、21条はこう書く、23条はこう書く…と書き方を決めておく。

・行政法 処分性・原告適格・裁量論の書き方を決めて覚えておく。

・民法 条文を覚える勢いで読み込む。何条の問題か?からスタートするので。

・商法 司法試験六法を購入し頻出条文の位置を覚える。組織再編などの複雑な条文は本番中に探して読んでいたら解き終わらないので、事前に条文の位置を把握し読んでおく。

・民事訴訟法 定義や論証があいまいな人が多いので、特に完璧に覚える。

・刑法 字を小さめにしてたくさん書く。

・刑事訴訟法 ほぼ過去問からしか出ないので、過去問の答案構成を特に徹底する。

ぜひ、自分にあった学習をして合格を勝ち取っていただきたいです。

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