東京大学法科大学院入試合格者からのポイント解説 - 辰已法律研究所
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東京大学法科大学院入試
合格者からのポイント解説

実際に、東京大学法科大学院に合格した先輩の
リアルレポートを公開!

今回は、東京大学法科大学院に合格した先輩合格者から、本年度合格を目指す皆様へ、入試に対するアドバイスをいただきました。

特に、東京大学法科大学院の受験を視野に入れている受験生にとっては、掛け替えのないリアル情報です。

ぜひ一読し、今後の受験の指針にお役立てください。

●東京大学法科大学院 受験情報はこちら
https://www.j.u-tokyo.ac.jp/law/admission/admission/

東京大学法科大学院の入試全般について

■ 東京大学法科大学院入試の既修者の法律科目問題は、公法系、民事系、刑事系

東京大学法科大学院の法学既修者として受験する場合の筆記試験科目は、公法系、民事系、刑事系で、論述式試験で行われます。

出題は、それぞれ各1問ずつ出です。

  • 公法系は、憲法・行政法
  • 民事系は、民法・商法・民事訴訟法
  • 刑事系は、刑法・刑事訴訟法

出題の順番は年度により異なるので、受験票を見て確認する必要があります。

 

試験時間は、各70分となります。

論述式試験の各科目の文字数は、1ページ1200文字×2ページ=2400文字です。

使用六法は、ポケット六法が配布されます。

■ 東京大学法科大学院入試の論述式試験のポイント

〇全体的に論点が多い。

解答用紙に比べて、書くべき量が多いことに留意する必要があります。

例えば、解答用紙のマス目を途中から無視して、1マスに1文字以上をいれることは多くの受験生がしている手法です。

また上記の傾向から、理由づけを書くことや答案構成に時間をかけすぎないことを踏まえて、試験に臨む必要があります。

逆に、予備試験に比べて当てはめに使うべき事実量が多くはないので、論点をおさえることができるかによって、配点が変動すると考えられます。

 

〇解答用紙は表裏一枚ずつだが、裏面が上下逆になっている。

例年、このことを忘れる受験生が続出していますが、それでも合格できないわけではないと思われます。

 

〇最新判例からの出題が後を立たない。

受験生は論証と短文問題集に加えて、重版で最新判例を流し読みしておけば、入試問題に対応することができる場合が多いです。

しかし、この最新判例が出題された場合のでき如何で、差がつく可能性は否めないため、合格するためには、決して軽視することができない論点であると言えます。

 

〇東京大学法科大学院に合格するためには過去問は重要

試験問題の内容や傾向を知るには、やはり過去問は外せない勉強となります。

東京大学法科大学院入試の過去問は、東京大学において5年分購入することができます。
※過去問入手については「東京大学大学院法学政治学研究科入学試験問題集について」をご参照ください。

■ 油断禁物の足切り点

東京大学法科大学院入試では、足切りの存在も考慮に入れる必要があります。

入試では、入学願書、学業成績及び筆記試験を総合的に審査されるので、筆記試験以外の部分も底上げをしておきたいところです。

 

足切りの目安としては、GPAが2.7~2.9程度、TOEICが500点程度と考えられます。

GPAとは「Grade Point Average(グレード・ポイント・アベレージ)」の略で、成績評価の平均点を表す指標です。

主に学校や大学で用いられ、学業成績の良し悪しを数値で表します。

GPAの計算方法は、多くの場合、各科目の評価を数値化(A=4点、B=3点、など)し、その合計を総単位数で割ったものです。

GPAのスコアは、0から4.0や5.0が一般的な範囲で、4.0に近いほど成績が優れているとされています。

 

入試受験者数が増加している近年は、内部生についても足切りで落とされる受験生が後を立ちません。

そのためGPAについては、少なくとも3.0以上を確保しておきたいところです。

また外国語能力については、TOEICの代わりにTOEFLのスコアを用いることも可能となっています。

東京大学法科大学院入試の既修者、論述式試験について

■ 東京大学法科大学院入試の公法系試験のポイント

近年では憲法、行政法からの出題があります。

憲法では、多くの人権からの出題があるため、それらについて基礎的な書き方をおさえることは必須です。

加えて、特に近年では最新判例からの出題が相次いでいるため、下級審判例を含めて、特に最新判例を見ておく必要性が高い科目と言えます。

 

行政法では、処分性や抗告訴訟の訴訟要件といった基礎的な問題が多く出題されています。

百選レベルの判例を題材にしたとされる問題が多いため、普段の学習における判例学習の重要性は特に高いと言えます。

■ 東京大学法科大学院入試の民事系試験のポイント

近年では民法、商法、民訴法からの出題があります。

 

民法では、改正された部分を中心とした債権法の出題、物権的請求権、総論といった幅広い出題がされています。

一方、家族法や不法行為の出題は少ない傾向です。

入試問題の出題レベルとしては、論証集に乗っている重要規範をおさえた上で、短文事例問題集を使いこなせるレベルであれば問題ないと考えます。

もっとも、債権譲渡に関する特例法が出題されたこともあるため、余裕があれば学部の授業を通じた復習もしておくと安心です(実際にこの分野は、東京大学法学部で授業で扱われました)。

 

商法では、役員の責任追及や組織再編、株式発行といったように、会社法の重要論点を網羅した出題がされています。

しかし基礎的な問題にとどまらず、株式の適正価格の基準時といった応用的な出題がされることもあるので、注意が必要です。

こうした応用的な出題に対しての対策は、現場思考問題と割り切って対応するか、学部の授業を通じて知識を増やして対応することが考えられます。

 

民事訴訟法では、複雑訴訟、前訴棄却後の後訴、既判力の主観的範囲、死者名義訴訟といったように幅広い出題がされています。

基礎的な問題にとどまらず、擬制自白といった応用的な出題も見られるので、思った以上に幅広い勉強が求められます。

■ 東京大学法科大学院入試の刑事系試験のポイント

近年では刑法、刑訴法からの出題があります。

 

刑法では、正当防衛や早すぎた構成要件の実現といった総論範囲だけではなく、財産犯や放火犯といった各論からの出題も見られます。

題材としては最新判例から出題されることもしばしばありますが、いずれにせよ論証集等を中心とした基本的な知識で十分対応できます。

  
刑事訴訟法では、特に伝聞関係の出題が多く、捜査法からの出題も頻繁に見られます。

また、基礎的な百選判例を題材とした出題も多いため、普段の勉強において判例学習をすることが、特に有効な科目と言えます。

押さえておくべき東京大学法科大学院入試のポイントまとめ

東京大学法科大学院入試では、入学試験当日の出来以外にも、審査対象になる項目がありました。

入学願書、学業成績そして筆記試験が総合的に審査されるので、普段からの学部の勉強も重要になります。

 

一方、既修者の論述式試験は、公法系、民事系、刑事系と出題されますが、総じて判例問題に重点が置かれている傾向が見えます。

また論述式試験の回答は、用紙が2,400文字と論ずるには文字数が多いとは言えないので、論述として内容をまとめ上げる技量も求められます。

実際に東京大学法科大学院の学生募集要項欄にも、文章作成能力を審査すると掲載されているので、ただ知識の詰込みだけでは対応しきれないことも考えられます。

これらの点からも、最低限、過去問で入試傾向を把握し、最新判例を含めた判例を押さえ、尚且つそれを論述する術を身に付ける必要があります。

 
東京大学法科大学院は、司法試験合格率も高く、高度な指導を受けられる、人気のある法科大学院の1つです。

法科大学院の進学率が上昇してきたことを考えると、より入試の競争率が上がる可能性が考えられます。

そのためライバルに打ち勝ち合格を手にするためには、早い時期から学部の勉強も含め、対策をしていくことがおすすめです。

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