予備試験合格からの勉強法 - 辰已法律研究所

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予備試験合格からの勉強法

中田 和輝さん
受験歴: 新試験1回
岡山大学法学部
予備試験2018年合格
【受講歴】2019年司法試験全国公開模試
予備試験ルート合格

1 司法試験の受験を決意した経緯

 私は学部3回生の秋に法律事務所に2週間インターンシップに行きました。インターンシップでは、法務局で遺言の作成に立ち会ったり、建物収去の強制執行に立ち会ったりなど普段法学部で学んでいる法律が実際に使われているところを目の当たりにしました。また、法律相談に立ち会って依頼者の法律相談に対し的確なアドバイスをする弁護士の先生の姿を間近で見させて頂きました。判決に立ち会わせていただいた際には依頼者の求める判決を勝ち取った時の依頼者の安堵した表情がとても印象的でした。同時に、弁護士は非常にやりがいがある職業でその反面大きな責任の伴う職業であると感じました。インターンシップでは弁護士の仕事にとても魅力を感じ、弁護士という職業は私の就きたい職業に非常にマッチしていると思い本格的に弁護士になりたいと志すように至りました。

2 予備試験合格までの学習状況(法律学習)

(1) 短答対策
 法律科目については、予備試験の短答は科目数が多いことから各科目の苦手意識をなくすことが大切だと思います。合格のためには各科目平均20点以上取ることが必要になります。例えば、民法が得意で24点程度取れる人は、さらに民法を伸ばすよりも伸びしろのある苦手科目を克服する方がトータルの点数を上げるためには効率が良いと思います。また、条文の素読を通して条文検索能力が付いたので論文答案作成の際に条文を探すことに時間をあまり使わなくなりました。
 一般教養科目については、解ける問題を探すことが非常に重要です。特に現場で考えて解ける論理問題に時間をかけて絶対に落とさないようにするという意識が大切です。最終合格を見据えた場合、一般教養対策に時間を割くよりも法律問題に時間を割く方が良いと思います。

(2) 論文対策
 法律基本科目については、私は、短答式試験に大きな労力をかけました。1回目の受験の際に、受験までに何とか法律科目で140点以上取れるようになったものの本番では実力を発揮出来ず短答落ちになってしまったので短答の怖さを知っていたからです。短答対策の中でも論文対策につながる勉強はできると思います。短答対策を短答対策で終わらせずに論文対策を意識して勉強することが大事だと思います。短答式試験突破後は必ず毎日1通以上答案を書くようにしていました。短答の突破で論文合格に必要な最低限の知識はあるのではないかと考え、知識をうまく答案に反映できるようにするためにとにかく起案を繰り返しました。起案の対象は予備試験の過去問が多かったですが、その際には辰已のぶんせき本を利用しました。ぶんせき本では現実的な合格答案や超上位答案が掲載されていたのでどのくらい書ければ合格できるのかという水準を模索したり、コンパクトな論証などを頭にストックするようにしていました。
 法律実務基礎科目については、過去問対策が有効であると思います。法律実務基礎科目はまず全容がどのようなものかを知ることから始まります。過去問以外に法律実務基礎科目について勉強になる教材として、新庄先生の刑事ハンドブックを使いました。この書籍は一般的には青本と言われますが、この青本で過去問で問われた分野の集中的なインプットを行いました。青本では、過去問で出題された分野に加え、今後出題されそうな分野も勉強できたので法律実務基礎科目(刑事)への不安がなくなりました。民事系ではとにかく要件事実を暗記だけでなく理解することが大事だと思います。文章で説明できるように要件事実をしっかり理解することが高得点につながると思います。私は、上記青本と大島先生の民事裁判実務の基礎でインプットしつつ、過去問を時間を計って解くという勉強を繰り返しました。法律実務基礎科目は民事・刑事でそれぞれ50点満点で評価されるので法律実務基礎科目だけは合計100点が与えられています。予備試験に合格した方の話を聞くと配点も大きく、勉強に余り時間のかからない法律実務基礎科目は合格のためにコストパフォーマンスが高いと口を揃えておっしゃっているので法律実務基礎科目でA評価を狙うことは非常に大事だと思います。
 一般教養科目については、短答式と異なり時間を割いて対策しました。その理由は、もし論文式試験を突破できればその後の口述式試験は高確率で突破できると考えていたので実質的な最終試験であり、どんな手段を使ってでも論文式試験を突破したいと考えていたからです。具体的には過去問を解いてどのような問題が出題されるか把握したのちに辰已のぶんせき本を用いてどのようい書いたら点数が入りそうか分析しました。予備試験の過去問をすべて解き終わったころには何となく自分の中でこのように書けば評価されるのではないかという体系が作り上げられていました。実際に、本番では自信をもって解答することができ、1日目の試験が終わった時点で唯一手応えのある科目でした。結果としてはE評価だったものの一般教養でカバーできたと思っていたので、2日目の試験は気楽に受けることができました。

(3) 口述試験対策
 口述試験は辰已のぶんせき本からダウンロードできる口述再現を読むことから勉強を始めました。論文に合格している自信はありませんでしたので、論文の合格発表前は、要件事実を精緻化する、刑法の構成要件要素を覚える、刑法各論の基本書を読むなど仮に落ちていても司法試験には役立つ勉強をしていました。論文合格後は辰已をはじめ沢山の口述模試を受講しました。中でも辰已の口述模試は2人1組で行われるため、優秀な方の口述を実際に見ることができて非常に勉強になり、刺激にもなりました。口述試験は論文の法律実務基礎科目で求められるような知識を瞬時に答えられる状況にならなければならないので、理解・瞬発力を高めるように狭い範囲を繰り返し繰り返し勉強しました。この勉強で身に着けたことが司法試験の論文式試験でも非常に役立ちました。

3 予備試験合格後の司法試験対策

 予備試験合格者は法律答案の書き方やタイムマネジメント能力は身についていると思います。それなので、司法試験と予備試験で異なる特徴を捉え、司法試験という形式にアジャストできるようになれば自ずと合格できるようになると思います。そのために私は司法試験の過去問を解くことが最良な手段だと考えて以下の勉強を行いました。
 勉強の中心は過去問の起案でほとんど毎日1通以上過去問を2時間計って手書きでフル答案を書くことでした。過去問は2時間で解く→出題趣旨・採点実感を読む→1000位くらいの答案何通かと1桁の超上位答案を見る(余裕があれば300位くらいも見る)→どうしてもよく分からない論点を1、2個に絞って基本書に帰って復習→身につけた知識をまとめノートに一元化っていう約4時間のセットでやるようにして回すスピードを重視しました。
 1000位くらいの答案で現実的にここは書けないと受かりそうにないなってラインを分析して、1桁答案では上手い書き方やコンパクトな論証を真似して論証をそのまままとめノートに一元化しました。また、出題趣旨・採点実感に論点の書き方が書いてあるときがあるので、そういう時はそれを真似して、次に出たときに同じように書けるようにしました。
 私も最初は過去問全部解いても出てない論点があるからそれは解けないのではないか?と思っていました。しかし、過去問何年も解いているとより一般的な司法試験で点が取れそうな答案の書き方がなぜか見えてきました。例えば、1000番付近の答案何通か見ていると「この答案はここが詳しく書けているから良い点なのか」とか、逆に「ここが適当だから点数低くなっているのか」というのが何となく見えてきて「それならここを詳しく書くと点が入るな」っていうのが見えてきました。そうすると、論点に入る前の原則論や問題の所在を適切に指摘することが大事と痛感するようになり、どんな問題が出ても論点以前で点を稼げるようになりました。そして、過去問に出ていた論点ならある程度適切に処理できるのでそこでも点数が稼げました。このようになってから、「過去問に出てない論点は適切に処理できない場合もある。でも、そういう論点は、危機感とかストレス感じながら書いた過去問ではない他の教材でしか勉強出来ない論点なので、おそらく他の受験生も適切に処理出来ている人は少ないはずだからこのような論点ができなくても致命傷にならないのではないか」と思うようになりました。それなので、①過去問を繰り返して過去問で出た論点が次に出たときに適切に処理できるようにすること、②より一般的な点の入りそうな答案の書き方を身につけることが大事だと思い、過去問の起案を続けました。
 このような勉強をしていくうちに司法試験という形式にアジャストすることができたと思います。
 また、選択科目は自分が興味があって面白いと思う科目を選ぶのが良いと思います。予備試験合格後、選択科目にかける時間がないといってコストパフォーマンスで選択科目を選ぶ方も多いと思いますが、私はあまりお勧めできません。なぜなら、面白いと思わない科目は勉強する気になかなか慣れないうえに知識もなかなか身につかないと思うからです。選択科目は、自分の興味のある科目を選択して勉強できるせっかくの機会ですから、自分の興味のある科目を選択することを私は強くお勧めします。

4 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

 予備試験は合格率だけ見ると自分なんかが受かるわけがないと思うような難しい試験であるように思えてしまいます。実際に私自身、短答式試験合格後に1か月半で論文式試験に合格できるようになるわけがないと思ってしまい勉強が手につかない時期がありました。しかし、実際に目的をもって受けてみれば合格できない試験ではありませんでした。難しい・受かるわけないと自分で壁を作ってしまうのではなく、自分なら絶対に合格できると自分を信じ、合格のために必要な勉強は何かと吟味しながら必要な勉強を続けてみてください。そうすれば合格への途が拓けてくると思います。
 予備試験合格後は就職活動が開始するなどして思うように勉強の時間が確保できません。勉強の時間を十分に確保することができず不安になることがあるかと思いますが、時間がない分勉強するときは集中して勉強できると思います。また、司法試験ももちろん難しい試験ですが、合格率だけで言えば予備試験の方が合格するのははるかに難しいと思います。油断は大敵ですが、予備試験に合格したという小さな自信も胸に秘めて、あまりナイーブにならず日々コツコツ頑張って下さい。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・司法試験全国公開模試

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