相対評価の司法試験を制するために - 辰已法律研究所

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相対評価の司法試験を制するために

佐藤 達也(仮名)さん
受験歴: 1回
京都大学法学部
同志社大学法科大学院 【既修】2020年入学・2022年修了
【受講歴】全国公開模試
既修者一発合格

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 留学をきっかけとして専門性を身につけたいと考えたことから、学部4年から司法試験の受験を決意しました。しかし、母校のLS入試で失敗し、拾って頂いた私立大学のLSに進学することになりました。
 LS入試で過去問の検討が不十分であったことから、司法試験に向けては既修1年目夏から過去問対策に着手しました。また、既修2年目に初受験した予備試験論文式試験では数点差で落ちてしまい、またもや悔しさを味わうことになり、司法試験は一発で合格できたものの、決して順風満帆な道のりではありませんでした。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

 予備校は特に利用せず、大学の授業を聞いて基本書や演習書を読むことが中心でアウトプット対策は殆ど行っていませんでした。そのため、法科大学院入試段階では恥ずかしながら答案の書き方がよくわからないまま受験してしまうという、信じがたい状況でした。

3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)

 まずは答案の書き方を固めるために、某オンライン予備校の答案例付きの講座を受講し、典型論点に関する答案の書き方を身に着けました。その問題集を何度も繰り返しつつ、予備試験の過去問を並行して学習していました。既修1年目の夏からは司法試験の過去問にも取り組むようになり、1年目の春休みには選択科目を除いた直近5年分の過去問は起案したという状態でした。また、既修2年目の5月までは予備試験短答過去問を繰り返し解くことによって、ベースラインとなる知識を固めました。7月の予備試験論文に向けて、7科目の論証を一通り覚えました。以後、3月の全国模試まで司法試験過去問の演習を繰り返し、受験直前期は短答や論証をもう一度頭に叩き込みました。

4 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果

 3月に実施された全国公開模試を利用しました。模試を通じて、本番のシミュレーションをすることを主目的にしておりました。本番と同じ会場、時間帯、食事を想定することができ、本番は試験の内容面以外は落ち着いて受験することができました。あえてトイレに立ったり、書きにくいボールペンを使用したり、時間を短めに設定するなどして負荷をかけて臨んだため、いわゆる高山トレーニングにもなりました。
 また、優秀答案や採点者のコメントを通じて、司法試験が相対評価であることを実感し、「皆が書けるところは確実に、書けないところは悩みすぎない」という学びを得ることができました。
 さらに、模試受講特典として、考査委員の関心分野や刑事訴訟法のヤマ当てレジュメを頂けたので、当該範囲の論証を重点的に見直す等メリハリをつけることができました。実際に、刑事訴訟法でおとり捜査が的中したため、ラッキーでした。

5 受験対策として、私がやって成功した方法等

 司法試験は、学力はもちろん、体力勝負でもあると先輩から聞いていました。そのため、2~3日に1回はジムで運動するように努め、食事や睡眠時間等の生活習慣を意識するようにしていました。
 また、筆力を少しでも上げるために週2~3通は司法試験過去問を起案するように心がけていました。短答も論文もアウトプット中心に取り組んでいましたが、論証や短答プロパーなど暗記のための時間も一定程度確保するようにしていました。

6 受験対策として、私が使用した本

 辰已の短答パーフェクトは何度も繰り返し解くことで、ベースラインとなる知識を身に着けることができました。予備試験論文直前期を除いて、基本的に毎日解いていました。1年分をまとめて解くときを除いて、正答率が低い問題は無視し、正答率が50%を超える問題を優先して解いていました。また、何度も間違えてしまう問題は、ルーズリーフにまとめて直前期に丸暗記しました。
 辰已の令和3年ぶんせき本は司法試験直前に確認し、超上位~低評価の答案まで各科目分析することにより、相場観を養いました。採点実感と併せて読むことにより、「一応の水準」と「不良」の境目(=合格ライン)を見極めるのに役立ちました。また、超上位答案でも書けていない事項はたとえ出題趣旨に記載されているのであっても深入りしないようにしていました。
 短答・論文ともに上記書籍を用いながらメリハリをつけて受験対策をされるのがおすすめです。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) LS在学生へのアドバイス(在学中にやっておくべきことなど)
 LSの授業の予習段階では当該範囲の司法試験や予備試験の過去問を見ておくとよいと思います。復習段階では授業中のメモや百選を確認するなどして、論証を答案に書ける形でストックしていました。LSの授業と過去問を結びつけることで、授業時間を有意義に活用することができると思います。
 また、期末試験も司法試験本番のつもりで本気で取り組み、できなかった問題はしっかりと復習しておくと、本番で似たような問題が出たときに役立つと思います。2時間で自分が何ページ書けて、答案構成に何分かかるか等もメモしておけば自分を客観視することができます。
 コロナ禍ということもあり、自主ゼミは一切組んでいませんでしたが、一緒に励ましあえる勉強仲間がいると、しんどいときも頑張れるのではないかと思います。
 LSで弁護士や合格者のゼミが開講されている場合は、答案の書き方や学習方針を相談し、第三者目線でのアドバイスを頂くとよいと思います。

(2) 来年初めて受験する方へのアドバイス(試験当日までの過ごし方など)
 金銭面・体調面で問題がなければ、会場実施の模試を受験して、試験当日の過ごし方をシミュレーションしておくのがおすすめです。現役生は複数回受験生に比べて、短答や選択科目の対策が遅れがちなので、早めに着手しておくとよいと思います。
 来年はどうなるか分かりませんが、少なくとも令和に入ってからのデータ上は、短答で短答合格者平均点をとり、論文で全科目一応の水準を揃えられれば、合格することができます。
 そのため、普段の学習では、難しいことばかりやるのではなく、まずは他の受験生が当然にできる典型論点を習得することに注力するのがおすすめです。
 新司法試験が始まって以来、予備試験含めて過去問が大量に蓄積されているので、まず過去問を潰すことを最優先事項とされるのがよいと思います。直近年度の問題は受験生の相場観を養うために、年度の古い問題や予備試験問題は焼き直し対策にそれぞれ使用されるのがおすすめです。
 本体験記で述べたことが少しでも参考になれば幸いです。皆様の今後の検討をお祈り申し上げます。

辰已法律研究所 受講歴

【2022年対策】
・司法試験全国公開模試

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