私の勉強方法と合格に役立ったこと - 辰已法律研究所

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私の勉強方法と合格に役立ったこと

比内 理希さん
受験歴: 新試験4回
関東学院大学法学部
関東学院大学法科大学院 【未修】2014年入学・2018修了
リベンジ合格

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 私が司法試験の受験を決意したのは、未だ幼い頃でした。父が昔弁護士になれなかった経緯から弁護士という職業を勧められ、幼心に将来自分は弁護士になると決意して、小学校の文集では将来の夢を弁護士と書いていました。高校卒業後は、法学部、法科大学院に進学し、法科大学院を卒業した初年度の司法試験は総合2100番台で不合格となりました。2回目は総合1600番台、3回目は総合1700番台であと少しというところで落ち続けていましたが、4回目にようやく合格することが出来ました。

2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)

 私は大学では法学部に入学しました。法学部では法律科目を勉強はしていたものの、司法試験の勉強は法科大学院に入学してからで間に合うと思っていたので、あまり熱心に勉強はしていませんでした。
 法科大学院の受験に際しても、既修者試験の問題を解くことができなかったため、未修での入学しか考えていませんでした。したがって、法科大学院受験前の学習状況としては、司法試験に関する勉強というものは一切行っていませんでした。

3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)

 法科大学院に入学した後は、上述したようにそれまで司法試験に関する勉強を一切していなかったことから、凄く苦労しました。中学や高校、大学で試験対策として必要となる範囲を大きく超えて試験が出るので、単純な暗記だけでは対応ができず、初年度は授業についていくことが精一杯で良い成績を取ることができず、進級要件となるGPAを満たすことができなかったため留年してしまいました。
 その後は、勉強方法を変えて基礎から整理して理解し、いわゆる論点についても通説や反対説を軸に争点を理解することを重視しました。そして、最低限必要となる知識を繰り返し暗記するとともに、起案の時間を確保しました。1年次は辰已のえんしゅう本、2年次からは司法試験の過去問を繰り返し解いて、同級生や法科大学院の先生方、AAの先生方に添削をしてもらい、起案の型を身に付けていきました。
 起案の機会は自主的に作ると共に法科大学院のAAを利用して確保し、後述する辰已のスタ論を用いたことで必要十分な量を確保できていたと思います。ただ、法科大学院の授業に追われてインプットの時間が不足していたため、初年度の不合格の理由はこの点にあったと思います。最終的には、辰已の趣旨・規範ハンドブックに記載されている論点について、主要なところは覚え、細かいところも論点として気付ける程度までインプットし、これが合格に繋がったと感じました。

4 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果

(1) スタンダード短答答練(以下「スタ短」)について
 スタ短は法科大学院3年次に利用しました。当初は点数が非常に悪く70~80点台で足切りの可能性があったため、スタ短で問題を解き復習することで模試や本番の司法試験でも合格平均点程度は取ることができました。
 スタ短では主に過去問の中で再度の出題可能性が高い分野が出題されていたと思います。これにより、過去問の重要な肢をカバーできました。また、牽連犯と観念的競合、併合罪との罪数処理の問題等、各科目を通じて問題処理のテクニックを教わったことも役に立ちました。

(2) スタンダード論文答練(以下「スタ論」)について
 スタ論も法科大学院3年次に利用しました。辰已の問題は予備校の問題の中で最も司法試験に似た問題形式だと思います。司法試験に似た問題を時間内で解く訓練をたくさん行うことで、起案に慣れて物理的に文字数が増え、体力も増えていきます。また、現場思考問題や自分がわからない問題の処理方法・逃げ方を学ぶことができます。
 過去問をしっかり解くことは必須ですが、未知の問題をたくさん解き起案の型を作ることも司法試験合格に役立ちます。私はスタ論で起案に慣れたことで論文を書く量が1頁程度増え、書き方の型がある程度固まり、知識面以外の不安は無くなったと思います。

(3) 全国公開模試について
 全国公開模試は非常に重要です。私は2年次と3年次に模試を利用しましたが、2年次では会場選びという点で非常に役立ちました。私の選択科目は倒産法なので、司法試験を東京受験にした場合は五反田にあるTOCビルが会場になります。辰已の模試では実際の司法試験の受験会場を選択することができ、私は1日目と2日目を五反田TOC、3日目と4日目はTKP日本橋カンファレンスセンターで模試を受験したところ、TOCの環境が自分には合わないと感じました。他方、TKPの会場は非常に受験環境が良かったため、同じTKP会場である仙台を司法試験の受験地として選択しました。受験環境が快適かどうかで集中できるかどうか、文字を一文字でも多く書けるかは変わると思います。1科目1点の違いでも点数調整が入れば14点変わり、合格ラインの前後では200位近く変わります。
 2年次、3年次以降含め試験対策という点でも役立ちます。司法試験の2か月前に自分がどれだけ起案を書けるか、何が不十分なのかを確認する機会です。知識が不十分ならそこに時間を割く、筆が進まない、途中答案など起案のテクニックが不十分なら意識して起案をして修正することができます。また、相対評価で自分が母数の中でどの位置にいるかを確認でき、苦手な科目を確認して対策もできます。
 以上の観点から、できれば模試は2年次から受験して試験地やホテルを決め、3年次以降では司法試験の直前の修正点確認のために受験すべきだと思います。

5 受験対策として、「私がやって成功した方法」

 受験対策として私がやって成功した方法は、論文も意識して短答の肢を解くこと、論文の際には途中答案をしないこと、問いに答えること、三段論法を使うこと、条文を摘示・引用すること、事実を摘示・評価すること、これらを徹底することです。当たり前のことですが、これらを全科目徹底して行うことができずにギリギリで落ちている人もいます。
 途中答案をしないことについては、最初に配点を見て自分が書ける頁数をもとに文章量の配分を決めます。そして、時間が余ったら最後を厚く書きます。途中答案を絶対にしないためにも、設問1は配分した文量に抑えることは必須です。オーバーしないように三段論法すべての部分で意識をして起案すべきです。
 三段論法については事実が少なくとも必ず守っていました。条文の摘示・引用も同様です。
 事実については問題文の段落毎に事実の意味合いを考え、必ず評価を忘れないようにします。副次的には論点を落とすことの防止にもなります。
 これらは基礎的なことですが、受験回数が増えるにつれ意識が薄くなっていく部分なので、常に徹底することが大事です。

6 受験対策として、私が使用した本

 短答対策としては、辰已の司法試験&予備試験短答過去問パーフェクトの憲法、民法、刑法を使用していました。毎朝1時間パーフェクトを用いて過去問を解く時間を設定し、前日までの間違えた問題・肢を解き直し理由まで正答できるようにしつつ、新しい問題を解く作業をひたすら続け、問題を解く際には必ず全部の肢を理由まで解けるようにしていました。この勉強法により悪くても7割以上は確保することができ、論文にも短答知識を活かすことができました。
 論文で役に立った本は、全科目共通して辰已の「趣旨規範ハンドブック」です。趣旨規範ハンドブックに記載されている論証のうち、過去問や演習書に記載がある重要なところは理解して書けるように暗記し、重要ではないと思うところでも出題された場合には論点に気付き、キーワードを用いて書けるようにしました。また、私は「趣旨規範ハンドブック」をまとめノートとしていたので、必要に応じてなぜそこが問題になるのかを基本書等から抜粋して記載していました。
 科目別では、憲法は「読み解く合格思考憲法」、「憲法判例の射程」(横大道)が役に立ちました。「読み解く合格思考憲法」は当初は十分に理解できなかったのですが、「憲法判例の射程」と合わせて読んだ際に起案の濃淡や書き方について必要十分に書かれていることを理解できるようになりました。
 民法では「読み解く合格思考民法」が役立ちました。「読み解く合格思考民法」には民法の処理の思考過程が記載されており、今までAA等で指導を受けたところがこの本を読んで理解でき、苦手だった民法が得意科目になりました。
 倒産法では、「基礎トレーニング倒産法」(藤本・野村)、「答案判例インデックス」(山本・瀬戸)が役に立ちました。「1冊だけで倒産法」をまとめノートとして使用していたのですが、古く内容が薄かったため、過去問での出題論点をまとめるのに加えて、必要な知識を上記2冊からまとめていました。
 上記以外では、定評がある基本書、演習書を使用していました。演習書は定評があるものならどれでもいいので1冊選んでしっかり全部やりきることが大事です。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

 司法試験は凄く疲れます。今までしたことの無いミスをすることもあります。出題変更により混乱することもあります。なので、頁数が少し減っても良いので意識的に落ち着いて検討し、難しくとも混乱しても他の受験生も同じだと考えていつも通りに起案することが大事です。相対評価なので、苦しいときほど周りも一緒だと考えて丁寧に起案していきましょう。
 また、司法試験の成績はあくまで相対評価です。ミスをしても皆が同じミスをしていたら大きな減点はされません。終わった科目は忘れて、次の科目に集中し、5日間を乗り切ってください。途中答案をしないこと、問いに答えること、三段論法を使うこと、事実を摘示・評価することを意識的に行い、絶対にここだけはミスしないようにしてください。

8 LS在学生へのアドバイス

 私は法科大学院の授業に追われてインプットが不十分なまま司法試験を迎えてしまったので、在学中にしっかりとインプットの時間を作っておくべきだと思いました。上述したように「趣旨規範ハンドブック」等の論証集をしっかり覚えましょう。
 また、AAや自主ゼミを用いてアウトプットの機会もしっかり確保してください。他人に答案を見てもらい、複数人の先生に指摘された部分は必ず直してください。これらができない人は司法試験に合格することはできない人がほとんどです。
 短答の勉強は理解を深めることになるため、できるだけ早期に取り掛かるべきだと思います。解く際にはわからない部分はしっかり基本書等で調べ、遅くてもいいので理解するようにしましょう。

9 来年のリベンジ合格を目指している方へのアドバイス

 複数回受験の皆さん、お疲れ様です。十分頑張ってきたと思います。あと少しだけ、来年の司法試験を受験し終えるまでの辛抱です。まずは何故不合格だったのかを検討し、そこを穴埋めすることが大事です。そして上述したように、途中答案をしないこと、問いに答えること、三段論法を使うこと、条文を摘示・引用すること、事実を摘示・評価することを意識的に行い、絶対にここだけはミスしないようにしてください。
 繰り返しとなりますが、司法試験の成績はあくまで相対評価です。ミスをしても皆が同じミスをしていたら大きな減点はされません。終わった科目は忘れて、次の科目に集中し、5日間を乗り切ってください。
 この体験記を見てくださった皆さんの合格を願っております。

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