常に目的を考え続ける勉強
1 司法試験の受験を決意した経緯
私は、法学部入学当初、法曹になりたいという希望は特にありませんでした。しかし、法学部で試験勉強のために法律の勉強をしていくにつれ、法学が楽しいと思うようになり、せっかくだからこの勉強をつきつめようと考えました。そこから、さまざまな情報を調べるにつれて、法曹という仕事に魅力を感じ、司法試験を受験しようと決意するに至りました。それまでの私の中では、メディアの過剰な報道により「法曹は食っていけない」という認識がありましたが、詳しく自分で調べたところ、むしろ需要は数多くあるということを知ったことも、上記決意を後押ししてくれました。
2 予備試験合格までの学習状況(法律学習)
私は、大学1年次にとくに勉強をしておらず、大学1年の終わりから2年になったタイミングで、本格的に勉強を開始しました。最初は右も左もわからない状態でしたが、令和2年の短答式試験を記念受験として申し込んでいたため、ひとまず、この試験を目標に勉強をすることにしました。これまでしっかりと勉強をしていなかった私にとって、まずは知識を入れることが喫緊の課題でした。短答式試験に間に合うために、各科目の入門基礎講座を高速で視聴したのち、辰已の肢別本を各科目1周しました。今思うと、この入門基礎講座を高速で視聴してインプットを早々に終わらせたことが、1年合格につながったのだと思います。
そして、不完全な状態で臨んだ令和2年短答式試験ですが、一般教養で高得点をとれたことも相まって、155点(当時の合格最低点は156点)をとることができました。本格的に勉強を始めてから3カ月ほどの状態で受けた記念受験で、ここまでとれたのであれば、しっかりと取り組めば来年は最終合格できるのではないかと考えた私は、このとき、来年の最終合格に照準を合わせて勉強をする決意と覚悟が決まりました。
そこで来年の予備試験に向けて、論文の勉強を開始しました。具体的には、辰已でスタンダード論文答練をとり、毎週2~4通実際に答案を書き、その復習を丁寧に行うという勉強をしました。またこれらと並行して、予備試験の論文の過去問演習をしつつ、論証集の読み込みを徹底しました。辰已の答練では、予備試験型の問題にコンスタントに取り組むことができたので、答練をペースメーカーとして、「書いて覚えていく」勉強をしました。私の勉強を振り返ると、アウトプットが非常に多かったと思います。
これらの勉強を令和3年3月上旬まで繰り返して論文の実力を上げていき、その後は、令和3年5月に実施される短答式試験までの間、短答対策を行いました。短答対策としては、辰已の短答パーフェクトを各科目3~5周ほど周回しました。この時期は短答対策に追われてまったく論文の勉強ができなかったので、焦りもありましたが、短答に落ちてしまっては元も子もないと考え、とにかく短答対策に集中しました。
短答式試験後から論文までの2カ月は、辰已の全国公開模試と直前答練を利用して、ひたすら答案を書き続けました。短答対策に追われて3カ月弱も論文の勉強をできていなかったため、答案を書く感覚を戻すのは大変でしたが、答案を書き続けることで徐々に感覚を取り戻すことができました。これらの答練と並行して、論証集を中心に論文用知識のインプットを徹底しました。これまでの短答対策で、合格のためには必要十分な知識を得ることができたと考えたので、論文式試験のために特に抑えておきたいと考える部分に絞って、インプットをしました。
論文式試験当日は、2日間で10科目もの答案を書かねばならず、体力的にも精神的にも大変つらいものがありましたが、短答式試験後にひたすら答案を書いていたため、なんとか当日も乗り越えることができました。
論文式試験の受験後はなかなか勉強に身が入らず、ほとんど勉強をしない状態で論文式試験合格発表を迎えました。合格しているのを確認すると、うれしさ半分、口述式試験への恐怖が半分という気持ちが沸き上がりました。そこから2週間、人生でこれほど勉強したことがないと思うくらい、勉強をしました。具体的には、1日15時間ほど、口述式試験の過去問と後述する教材に取り組みました。また、辰已の口述模試も受験しました。さらに、いろいろな人に頼み込み、口述式試験の相手もしてもらいました。口述式試験では、何よりも実践演習が重要だと思います。
猛勉強の結果、口述式試験も合格でき、最終合格をすることができました。
3 予備試験合格後の学習状況(法律学習)
予備試験合格後、年内は、法律事務所のインターンや大学の授業に追われ、なかなか勉強に手をつけることができずにいました。そのような中でも、最低限、選択科目(知的財産法)の勉強はするようにしていました。年が明け、だんだんと忙しさが解消されていくにつれて、徐々に勉強量を増やしていきました。予備試験合格後から基本7科目をろくに勉強できていなかったので、ひとまず、予備試験合格時のレベルまで知識を戻すことを目標にして、2月ころまでは、予備試験に向けて勉強した教材を一通り読み直し、復習に徹しました。そしてその後は、全国公開模試も予定されていたこと、また過去問の分量が非常に多いことから、司法試験の過去問に取り組み始めました。最初は司法試験過去問の分量・質の双方に圧倒され、自信をなくしました。とくに、2時間という少ない時間の中で、最大8ページもの答案を書かなければならない制約は、筆力のない私にとって非常に重くのしかかりました。ですが、辰已の答練での起案や、過去問の起案にめげずに取り組み、最終的にはなんとか筆力を向上させることができました。
また私は短答式試験に苦手意識を有していたため、3月ころから、短答式試験の対策にも取り組むようにしました。3科目それぞれの過去問を徹底的に潰し、併せて各科目の条文の素読を繰り返しました。
以上の勉強をした結果、司法試験本番では短答・論文ともに落ち着いて解答することができました。
4 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果
私は、スタンダード論文答練を主に利用しました。同講座では、毎週答案を2~4通書くことができるので、高田馬場本校に足を運び、会場で毎週必ず起案をするようにしていました。実際に会場受験をすることで、少しでも本番に近い環境で起案をすることができました。また受験後は、かならず解答解説を読んで、自己添削をし、なにが足りなかったのか、どう書けばよかったのかを分析していました。答案返却後には、自己分析と客観的な採点結果の差異を確認するようにしました。
同講座はとてもいいアウトプットの機会になるのと同時に、勉強のペースメーカーにもなります。さらに、同講座は、採点表の完成度が非常に高く、復習もしやすいという点が特に優れています。一般に、予備校の答練は、毎回採点者が異なるので、採点者によって採点結果が大きく異なるということが往々にしてあります。辰已の同答練も、たしかにそのような面がある点を否定できませんが、前述のとおり、採点表が非常に細かいがために採点者の裁量が良い意味で限られており、他予備校の答練に比して上記の問題点は少ないです。この点も、辰已の答練の良いところだと思います。また、スタンダード論文答練の採点表はどのような事実・評価をするべきかが、ひとつひとつが細かく記載されているため、自分の答案のどこが足りないのか、どのような事実を拾うべきなのかといった点が復習の際に一目瞭然となります。
同講座を利用し多数の問題演習をこなすことによって、時間配分等はもちろん、特に事実の摘示及び評価の手法、またさらにどんな問題がでても対応できる力を身に着けることができました。そのため、本番で様々な現場思考問題がでたとしても、焦らずに的確に答案を書くことができるようになりました。
5 受験対策として、私がやって成功した方法
「私がやって成功した方法」は、一元化教材を作成することです。普段の学習で覚えたことや注意するべき点を、一つの教材に書き込み、すべての情報を集約化するようにしていました。この一元化教材を答練前に何度も見返すことで、必要十分の知識を記憶に定着させることができます。また試験直前に一元化教材を周回するだけで、すべての範囲を復習できるようになるため、精神安定剤としても機能します。私が短期合格できたのは、まちがいなく、一元化教材を使用していたからにほかなりません。
6 受験対策として、私が使用した辰已書籍
7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス
辰已法律研究所 受講歴
・スタンダード論文答練
・スタンダード短答オープン
・選択科目集中答練
・福田ファイナル予想答練
・福田論文合格塾
・合格答案の型(テンプレート)
・全国公開模試