環境法の学習法 - 辰已法律研究所

司法試験

環境法の学習法

R.Mさん
受験歴: 新試験4回
神戸大学法学部
関西国公立ロー 【既修】2016年入学・2018年修了
【受講歴】2021年 西口小教室 他

選択科目

1 環境法を選択した理由

 元々、環境法分野に興味を持っていたからです。私の地元は田畑が広がる田舎なのですが、そこでは、田畑の野焼きの煙によって悪臭が発生し、煙が道路を覆って車の運転手の視界が悪くなる等の被害が生じ、野焼きを取り締まる警察側と野焼きをしたい農家側の対立が激しくなっていました。野焼きは大気汚染防止法に関連する問題であると思いきや、廃棄物処理法にも関連する問題であると知り、環境法分野に興味を持ちました。

2 環境法選択のメリットとデメリット

(1) メリット
 環境法は、法政策分野と訴訟分野から出題され、前者は環境法プロパー(環境10法)から出されますが、後者は行政訴訟と民事訴訟から出されますので、行政法と民法(不法行為法)にかなり強くなれます。特に、予備試験のH29年行政法はまさしく環境法分野の出題ですので、環境法が行政法の一部(行政法の個別法解釈)であるとも捉えられます。司法試験初日は選択科目と公法系の試験日ですので、環境法も行政法の一部と捉えれば、初日を公法系で統一することができます。
 また、基本書が、主要なものとして、北村『環境法』、大塚『環境法Basic』、越智『環境訴訟法』の3冊ぐらいしかなく、勉強する教材を絞り込むことができます。

(2) デメリット
 基本書を選択する幅が小さいという点で不満を持たれる方もいらっしゃるかもしれません(私は優柔不断なので教材の選択肢が絞られる方がありがたかったです)。
 市販の演習書は少なく、あったとしても10年近く前に発売されたもので、情報が古くなっており、法改正に対応できておりません(現在は司法試験の過去問の蓄積がありますので、過去問を演習書代わりにすればそのデメリットも薄れるものと思います)。
 法改正がとても多い分野です。最新の基本書でも対応できていない改正されたばかりの論点が司法試験本番で出たりします(逆に言えば、最新改正を狙い撃ちして出題しますのでヤマを当てやすいともいえます)。

3 法科大学院での選択科目学習状況

 私のロースクールでは、法政策分野で2単位、訴訟分野で2単位の講義、ゼミ形式の演習授業が2単位ありました。法政策分野の講義では北村『環境法』を輪読してインプットし、訴訟分野の講義では判例百選を輪読してインプットしていました。演習授業は、司法試験過去問で出題された分野の研究発表を行いました。

4 受験対策

(1) 私がやって成功した選択科目攻略法
 法改正と条文の素読を嫌がらないことです。
 環境法は毎年のように法改正がなされますので、そのフォローを怠らないことが大事です(試験本番でも改正点が問われやすいです)。
 次に、条文の素読が大事です。特に廃棄物処理法は複雑怪奇です(括弧書きの中に括弧書きがあったり、枝条文の枝条文があります)。環境法は条文の引用で勝負が決まることが多いです(環境法は論点が少ない代わりに適用条文を時間内に探せるかが決定打となります)ので、頑張って条文を読みましょう。

(2) 私が使用した本
 基本書は、北村『環境法』、大塚『環境法Basic』、越智『環境訴訟法』を使用しました。R4年の司法試験第1問では、北村『環境法』で掲載されている図や式とそっくりのものが本番で出てきましたので、基本書は最低1冊持っておきましょう。
 判例百選も重要だと思います(特に、R4年の予備試験環境法は百選から出題されていると思いました)。量が多いので、基本書の通読と並行しながら基本書で出てきたものを読めば良いと思います。
 また、辰已の『1冊だけで環境法』も使用しました。こちらの本には、『趣旨規範ハンドブック』のような定義・論証集と、再現答案が付いた過去問(H18~R3)が掲載されていました。環境法は選択者数が少ないので、独力では再現答案を全年分揃えることすら大変だったのですが、こちらの本を購入すれば再現答案を全年分集めることができましたので、購入して良かったです。

5 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果

 辰已の講座としては、「選択科目集中答練」、「スタ論」、「全国模試」を使用しました。
 選択科目集中答練は8回16問分、スタ論は2回4問分、全国模試は1回2問分の環境法の演習を積むことができました(計22問、11年相当分)ので、こちらと過去問を併せれば、アウトプット量では確実に他の受験生と差を付けることができると思います。
 そして、辰已のヤマ当て力はスゴいと思います。本番で解きながらこれは答練・模試でやったものだと感じる設問が多く、精神的にも優位に立てたと思います。選択科目は司法試験の初っ端の科目ですので、良いメンタルで最初から臨めたのはありがたかったです。

6 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

(1) 選択科目初学者へのアドバイス
 インプットは基本書の通読と条文の素読、アウトプットは過去問演習がなによりも大事です。いきなりアウトプットするのは大変と思いますので、まずはインプットをしましょう。
 私は、上記の通り基本書を3冊も使用しておりましたが、北村『環境法』か大塚『環境法Basic』のどちらかを使用すれば間違いないと思います。北村『環境法』は、話し言葉で頭に入りやすいです(講義テープの書き起こし本のようなイメージです)。他方、キッチリとした定義等が書かれた基本書が良いという方であれば、大塚『環境法Basic』がオススメです。
 環境法は法改正が多いですので、基本書も2~3年毎に改訂されます。基本書を買い替えるのもお金がかかり大変とは思いますが、その改訂された箇所が試験に問われやすいので、買い替える余裕がなければ大学図書館等でフォローして下さい。

(2) 予備試験受験生へのアドバイス
 R4年の予備試験の問題を見た限りですと、判例百選から出題されていますので、判例百選の学習も重要だと思います。
 また、訴訟分野の学習は、行政法・民法(不法行為法)の勉強にもなりますので、特に行政法では他の受験生よりも有利になれると思います。

(3) 来年受験する方へのアドバイス
 環境法は、基本書・条文の素読と過去問演習をすれば平均的な点数が取れるコスパの良い科目と思います。特に、適用条文を時間内に見つけられるかで点差が付きますので、条文の素読を怠らなければ、周りの環境法選択者よりも有利になれると思います。
 論文主要7科目と短答の学習で手一杯で、なかなか選択科目に勉強時間を割くことができない方が多いとは思いますが、だからこそ環境法にも勉強時間を割いて頂ければ他の受験生と差を付けられる科目だと思います。頑張って下さい。

辰已法律研究所 受講歴

【2021年対策】
・西口小教室(スタ論・スタ短・選択科目集中答練・全国模試含む)

【2012年対策】
・原孝至基礎講座

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