立石一真など『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』 (桑原晃弥著、SBクリエイティブ)
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立石一真など『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』 (桑原晃弥著、SBクリエイティブ) [社会]

立石一真など『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』 (桑原晃弥著、SBクリエイティブ)

立石一真など紹介するのは『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』 (桑原晃弥著、SBクリエイティブ)です。自動改札機やATMの世界初を実現した創業者。「できません」と言うな、という名言が有名な実業家です。(文中敬称略)



長い歴史をもち、今でも成長を続けるトップ企業にも、創業や成長過程では多くの苦難があった。創業者たちはどのように苦難を乗り越えて、トップ企業に育て上げたのか? 

その答えを探ったビジネスパーソン必読の書が本書、『大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ』 (桑原晃弥著、SBクリエイティブ)です。

紹介されている創業者は、トヨタ自動車、リコー、キヤノン、ヤマハ、セイコー、森村グループ、ミズノ、ブリヂストン、スズキ、森永製菓、日立製作所、花王、ヤンマー、クボタ、グリコ、オムロン、ブラザー工業、伊藤ハムなどです。

その中で今回は、オムロンの創業者である立石一真(たていし かずま、明治33年(1900年)9月20日 - 平成3年(1991年)1月12日)にフォーカスします。

自動改札機やATMの世界初を実現



立石一真は、熊本県熊本市(現・熊本市中央区)新町に生まれました。

立石家は祖父の孫一の代に、伊万里焼で有名な佐賀県伊万里の地で、焼き物を習得し熊本に移住、「盃屋」を開業して大成功していました。

しかし、祖父が亡くなってからは一気に家が傾いたといいます。

さらに、父親も亡くなり、当時小学1年生だった一真は、祖母、母、弟2人という一家5人を食べさせていかなければならないため、新聞配達で暮らしを支えました。

本人は、義務教育の小学校を卒業したら労働に専念するつもりでしたが、教師たちのすすめもあり、一新尋常小学校(現・熊本市立一新小学校)、旧制熊本中学校(現・熊本県立熊本高等学校)を経て、1921年(大正10年)熊本高等工業学校電気科一部(現・熊本大学工学部)まで進みました。

早くから技術に興味を持ち、特に電気工学に関心を抱いていた一真は、高等教育を受けた後、電気技術者としてのキャリアをスタートさせ、国内外の技術革新を学ぶ機会を得ました。

その後、兵庫県庁での勤務を経て、1930年(昭和5年)に「彩光社」を京都市にて設立。

1933年(昭和8年)にオムロンの前身である「立石電機製作所」(重電用機能部品を生産)を設立しました。

戦後、オートメーションの必要性からマイクロスイッチなどを自社開発し、当時の同社の資本金の4倍もの資金をかけて中央研究所を設立します。

創業当初は、信号機やリレーなどの制御機器の製造を行っており、当時としては革新的な技術を追求していました。

主要な製品の開発は、まず信号リレーの革新。

当時、日本では高品質なリレーの生産は困難でしたが、立石の製品は信頼性の高い技術で市場を席巻しました。

そして、自動販売機の開発。1960年代、世界初の完全自動化された駅の改札機や自動販売機を開発し、社会インフラに大きな変化をもたらしました。

ここで計算能力をもつ体温計、自動販売機、自動改札機などの製品を次々と発明し、オムロングループを一代で大企業に育て上げました。

立石一真は、単なる利益追求ではなく「社会的課題を解決すること」を企業の使命と考えました。

この理念は、「企業は社会の公器である」というオムロンの基本方針として知られています。

立石は、未来予測と社会問題解決のために「SINIC理論(Seed-Innovation to Need-Impetus Cyclic)」を提唱しました。この理論は、科学技術と社会の進化を相互作用として捉え、技術革新がどのように社会を変革し得るかを示したものです。

「できません」と云うな



その他、立石については評伝として、『「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真』(湯谷昇羊著、ダイヤモンド社)、自伝として『人を幸せにする人が幸せになる: 人間尊重の経営を求めて』(立石一真著、PHP研究所)が上梓されています。

それらによると、祖父と父親がなくなったのに、苦学しながら現在の熊本大学工学部まで進んだときは、湯谷の書のタイトルどおり、『「できません」と云うな』と、自分自身に言い聞かせ卒業したそうです。

一家の暮らしを助けなければならない、という事情は公然としていたので、挫折する(学校に行くのを諦める)ことはいつでもできました。

しかし、技術者として一人前になるためには、どうしても教育が必要であるとの信念があったそうです。

大晦日の記事にも書きましたが、凡夫は「できない理由」、自己実現した人は「しなければならない理由」を想定することで明暗が分かれる、その後者の典型的なパターンです。

そして、単なる利益追求ではなく、「社会的課題を解決すること」を企業の使命と考えたのも、他の成功した創業者と同じです。

それがない人は、いっときは儲けても「盛者必衰の理」で、早晩消えゆくようになっていますね。

成功するには、確かに時代とタイミング(つまり運)は大事ですが、自分の側で何をすべきか、というのはこうした偉人・成功者たちの生き様を見ていくと、なんとなくですがわかってきたような気がします。

オムロンと言うと、血圧計、体温計、体重計、低周波治療器、電動歯ブラシ、万歩計……

個人・家庭向けの製品も豊富ですが、お使いのものはありますか。

大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ (ビジネス+IT BOOKS) - 桑原 晃弥
大企業立志伝 トヨタ・キヤノン・日立などの創業者に学べ (ビジネス+IT BOOKS) - 桑原 晃弥

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kazumin

明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします(*^^*)
by kazumin (2025-01-05 23:17) 

侘び助

今年もよろしくお願いいたします。
知らないことが伺えて世の中の事が少しわかる頁に
興味深く拝読をさせて頂いております。
by 侘び助 (2025-01-05 23:33) 

おっつぁん

体温計は生活必需品ですな。
by おっつぁん (2025-01-05 23:34) 

mutumin

色んな測定器というとオムロンが当たり前。オムロン=体温計という位ですが、それを作った背景の志をこのブログでは知ることが出来る。裏を見せて貰ってる気がして面白いです。
by mutumin (2025-01-06 04:50) 

我流麺童

オムロンの血圧計を毎日使用しています。
by 我流麺童 (2025-01-06 06:37) 

HOTCOOL

健康器具ではNo.1ですね。
by HOTCOOL (2025-01-06 06:50) 

夏炉冬扇

血圧計。オムロンです。
by 夏炉冬扇 (2025-01-06 07:34) 

taku1_lily

むろん オムロン・・・
ですね。
by taku1_lily (2025-01-06 08:40) 

いっぷく

みなさん、コメントありがとうございます。

> 今年もよろしくお願いいたします
こちらこそよろしくお願いいたします。

> 知らないことが伺えて世の中の事が少しわかる
私もこうした書籍を読みながら学ばせてもらっています。

> 体温計は生活必需品
コロナ禍のときは品薄でしたね。

> 裏を見せて貰ってる気がして面白い
いきなり体温計、ではなかったんですね。

> オムロンの血圧計を毎日使用
血圧計も信頼性が高いのはオムロンでしょうか。

> 健康器具ではNo.1
同感です。

> 血圧計。オムロン
やはりここにもユーザーが。ちなみに我が家もずっとオムロンを使っていました。

> むろん オムロン・・・
> ですね。
座布団一枚かも。

by いっぷく (2025-01-06 15:05) 

Take-Zee

こんにちは!
いまさっき、雨が降ってきました (*^^)/
これで乾燥からも逃げられますね~!
by Take-Zee (2025-01-06 16:22) 

sasanono

オムロン製品... 血圧計, 体温計の他、
小型のマッサージ機 (低周波治療器)
も持っています*
現役時代、首・肩・背中がバッキバキ
でしたので...
by sasanono (2025-01-06 18:35) 

いっぷく

> これで乾燥からも逃げられますね
本降りの雨は久しぶりです。

> 小型のマッサージ機 (低周波治療器)
> も持っています
私も身体のコリがひどいので欲しいですね。


by いっぷく (2025-01-06 21:51) 

cheese

凡人はできない理由を想定する…耳に痛いコトバです^^


by cheese (2025-01-06 22:53) 

mau

なんとなく体温計はオムロンだと信頼して使えます
by mau (2025-01-07 00:02) 

いっぷく

>凡人はできない理由を想定する
自らに言い聞かせて物事にあたるようにしています。

>体温計はオムロンだと信頼
わかります。購入するとき違うメーカーだとちょっとためらいますね。
by いっぷく (2025-01-07 09:13) 

Jetstream

もともとは産業向けで強かったですが、コンシューマー向けの血圧計では世界でNO.1に押し上げたのだから立派ですね。
21世紀になって、拡大志向のチャレンジする経営者は大手ではすくなくなりました。均衡経営、内部留保だけ、自分の在任中何とか持てばよいという経営者は少なくありません。日本低迷の一因かと思います。
by Jetstream (2025-01-07 20:51) 

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