松田優作など『まんが芸能界最強不良列伝』(アンソロジー著、コアマガジン) [文学]
まんが芸能界最強不良列伝(アンソロジー著、コアマガジン)は、武勇伝やブラックなイメージが話題の芸能人について紹介した漫画です。ただ、没後俳優として再評価されている松田優作など、たんなる「不良」のレッテルを超えた深い描き方が興味深い話ばかりです。(文中敬称略)
『まんが芸能界最強不良列伝』は、コアコミックスというレーベルのついた漫画によるムックシリーズです。
本書は2024年11月26日現在、AmazonUnlimitedの読み放題リストに含まれています。
芸能界やプロスポーツ界などで、悪そうな人、過去にトラブルを起こした人などについて、その生い立ちや出来事を振り返った漫画です。
ネタバレになりますが、誰について書かれているか、ご紹介します。
松田優作、長渕剛、清原和博、清水宏次朗、押尾学、横浜銀蝿、羽賀研二、ガッツ石松、魔娑斗、KID、小次郎、高谷裕之、尾崎豊、勝新太郎、北島三郎、田代まさし、ジョニー大倉、蛭子能収。
「不良」というタイトルですが、その実態は、黒幕という意味での「悪」だったり、奇行だったり、非常識だったり、本人はクレバーだったけれど不良のカリスマだったり、と、かなり広い意味でくくられています。
内容は、これまで芸能マスコミが報じているとおりでしたが、救いようのない悪い奴、というスキャンダラス描き方ではなく、その生き様の背景や、その人の功績などもきちんと描かれています。そこがいいですね。
今回は、松田優作(まつだ ゆうさく、1949年9月21日 - 1989年11月6日)にフォーカスします。
松田優作は、昭和時代を代表するカリスマ的な存在です。その独自の演技スタイルや生き様は、多くの人々に影響を与え、日本映画史に名を刻んでいます。
妥協を許さない情熱
探偵物語で松田優作が使っていた、ありえない火の出方するライター欲しい pic.twitter.com/nBWXsmuhb1
— 瀟洒 (@dokunotanoshimi) November 25, 2024
松田優作は、山口県下関市で生まれ、幼少期から独特な個性を持っていました。
本書によると、「母は売春宿の娼婦」とありますが、松田の前妻の著書では「質や」になっています。
松田優作が在日韓国人2世であることと、熊谷美由紀と不倫の末に再婚したことは公然としていますが、本書は、触れられていません。
俳優としての生き様を純粋に追いたかったようです。
父親は保護司の日本人でしたが、すぐに亡くなったそうです。
日本国籍法によると、父母の婚姻状態に関わらず、父親が日本国籍を持っている場合、子どもは日本国籍を取得できるのですが、それは1950年施行。
松田優作は1949年生まれだったために、1年違いで日本国籍が取れず、『太陽にほえろ!』に出演することになってから帰化しました。
松田優作がすげーなと思うのは、このときジーパン刑事以降の野生派アクション俳優の印象がまるでなく、気弱で実直で純粋な職員をきっちり演じきっているところ。あと当時彼の身長180cmに合うスーツが衣装部になく、立ち上がると袖がつんつるてんなのに芝居の迫力に気圧されて誰も気づかないところ。 https://t.co/X1GfnWN2jX
— 岡田英吉 (@eikichigi4eokd) November 25, 2024
その理由は、「ファンを失望させないように」とのことで、目も整形しています。
下関時代は荒れていて、高校2年の時に叔母を頼ってアメリカ留学。
そこも長続きせず、私立豊南高等学校夜間部普通科の4年生に途中編入し、関東学院大学文学部に進学しました。
文学座付属演技研究所は2度目のチャレンジで合格。
同期には阿川泰子、高橋洋子、山西道広。
大学は中退します。
「麻雀に勝ったら岡田晋吉プロデューサーを紹介する」と村野武範とニギり、勝ったことで紹介してもらい、『太陽にほえろ!』に出演が決まります。
当時、岡田晋吉は、青春学園ドラマと、『太陽にほえろ!』を担当していたのです。
しかし、仕事に妥協を許さない松田は、現場の人間とも揉めることがしばしばありました。
『太陽にほえろ!』の次に出た、大映ドラマの『赤い迷路』では、役が気に入らないからと、途中で亡くなったことにしてもらいました。
そして、暴力事件もたびたび起こし、『俺たちの勲章』出演後に謹慎しています。
しかし、その暴力性は、「ならずもの」としてというより、本書が云うところの「マグマのごとく湧き上がる役者への情熱を抑えきれなかった」ものであり、げんに自分に対しても向けられました。
『野獣死すべし』では、街なかでひっそりしている男を演じるために、足を5センチずつ切ろうとしました。
さすがにそれは止められましたが、最終的には歯を4本抜き、体重を絞ったそうです。
同作は私も見ましたが、そういえば痩せてましたね。
『ア・ホーマンス』の撮影中には血尿を自覚していたそうですが、人工肛門と人口膀胱になることを拒み、それどころか、決まっていたハリウッド映画『ブラック・レイン』出演のチャンスをフイにしたくないからと、手術そのものを1年延期してくれといい出しました。
1年も放っておいたら、治せるものも手遅れになってしまいます。
痛み止めを打ちなからの撮影は、覚悟の遺作になってしまいました。
「恐るべき狂気を抱え込み、わずか40年の生涯を光速で駆け抜けた唯一無二の役者」と、本書では結んでいます。
享年40年でも有名な作品に続々出演
映画祭まで9日!
— 周南「絆」映画祭 (@shunaneiga) November 21, 2024
作品紹介⑤ 「ア・ホーマンス」
祝松田優作さん生誕75周年!
優作さんが監督・主演した新感覚ハードボイルドの傑作を最新デジタルDCPで上映!(西日本初)
1日の上映後は、この作品で殺陣師となった周南市出身の二家本辰己さん、デビュー作となった俳優寺島進さんのトークがあります! pic.twitter.com/7bQbBM3duD
ChatGPTに、代表作を挙げてもらいました。
1. 『探偵物語』 (1979年 - 1980年)
テレビドラマとして人気を博した作品。松田演じる私立探偵・工藤俊作は、ハードボイルドながらもユーモアを持ち合わせたキャラクターで、松田の代名詞的存在となりました。洒脱なセリフ回しや独特なスタイルは、多くのファンを魅了しました。
2. 『太陽にほえろ!』 (1973年 - 1974年)
日本の刑事ドラマの金字塔で、松田は“ジーパン刑事”役で登場。若さと情熱を体現するその姿は、観客に強い印象を残しました。ドラマ内でのキャラクターの悲劇的な最期も語り草となっています。
3. 『ブラック・レイン』 (1989年)
ハリウッド映画であり、松田優作が最後に出演した作品。この映画で松田はマフィアのリーダー・佐藤役を演じ、国際的にもその実力を評価されました。闘病中の撮影でありながら全力で挑み、鬼気迫る演技を見せています。
4. 『蘇える金狼』 (1979年)
同名小説を映画化した作品で、松田は主人公・朝倉哲也を演じました。野心と復讐心に燃える一匹狼的なキャラクターで、彼のハードボイルドな魅力を存分に発揮しています。
5. 『家族ゲーム』 (1983年)
松田が演じた家庭教師・吉本剛は異色のキャラクターで、日本映画の中でも際立った存在です。この作品では松田のユーモラスかつ不気味な一面が強調され、彼の演技の幅広さを示しました。
松田の魅力は、単なる俳優にとどまらない「生き様」にあります。彼は自分の役割に対して真摯であり、妥協を許さないプロフェッショナルな姿勢が特徴的でした。また、作品を通じて人間の持つ闇や光をリアルに表現し、観客に深い感動を与え続けました。
……とのことです。
松田優作は、そのカリスマ性や類稀な演技力によって、今もなお日本の映画ファンの間で語り継がれる伝説的な俳優です。
松田優作の作品は、何を思い起こされますか。
まんが芸能界最強不良列伝 (コアコミックス) - アンソロジー
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やはり
「なんじゃこりゃー」ですかな。
by おっつぁん (2024-11-26 23:34)
探偵物語のベスパに乗ってるイメージが強いですね
by mau (2024-11-27 01:42)
Gパン刑事の殉職シーンをよく真似してました。
by HOTCOOL (2024-11-27 03:49)
名前は知ってるけど、テレビがない時代(学生時代の4年間)もありましたので、若い時、ほとんどテレビを見てなくて、ほぼわからないんです。
こうして読んでみると、凄い人だったんですね。のめり込みが半端ない!
by mutumin (2024-11-27 05:41)
やっぱくどーちゃんかなぁ、野獣死すべしよか蘇る金狼の方が痩せ細ってない?
by pn (2024-11-27 06:28)
掘りごたつと箱火鉢に使います。木炭だけでは着火が遅いし、消耗も早いので。
by 夏炉冬扇 (2024-11-27 07:59)
おはようございます!
昨日97歳になる母が逝去しました・・・
しばらく、ガタガタします (;.;)
by Take-Zee (2024-11-27 08:49)
どの作品も生まれる前だったので観ていないのですが「太陽にほえろ!」の殉職シーンは何かの番組で放送されていたので覚えています。
松田優作さんは俳優としてよりは松田龍平さんと翔平さんの父親というイメージです。
by MINA (2024-11-27 11:03)
芸能界最強不良列伝ですか、ワルとされた芸能人も多いですね。
松田優作の作品は残念ながらみておりませんでした。
by tochimochi (2024-11-27 15:31)
こんばんは。
『ブラック・レイン』は NHK でも松田優作を取り上げた番組で紹介していましたので部分的に観ましたが、凄みがありますね。
生い立ちは知りませんでしたが、そう言われてみると日本人とはちょっと違う骨格かなと思えます。
by センニン (2024-11-27 18:38)
「松田優作さんの不屈の情熱と、背景にある複雑な人生に感銘を受けました。特に妥協を許さない姿勢が作品に反映されている点が素晴らしいですね。人間の深みが感じられます!(^_^)」
by かずい (2024-11-27 22:01)
カッコイイ役柄だったなあ、工藤俊作。
あのときのヴェスパが欲しいです。
by kgoto (2024-11-28 20:14)
みなさん、コメントありがとうございます。
> 「なんじゃこりゃー」ですかな
やっぱりですか。
> ベスパに乗ってるイメージ
かっこよかったですね。
> Gパン刑事の殉職シーン
インパクトありました。
> のめり込みが半端ない
体重はもとに戻せても、抜いた歯は生えてこないのにすごいことをしますね。
> やっぱくどーちゃん
殉職シーンと2つにわかれますか。
> 掘りごたつと箱火鉢に使います
あたたかそうですね。
> 昨日97歳になる母が逝去しました
お返事が遅くなりました。生前のご遺徳をお偲び申し上げます。
> 松田龍平さんと翔平さんの父親というイメージ
若い人はやはりそっちですか。
> 芸能界最強不良列伝ですか
松田優作がそれほど不良とも思えないのですが。
> 部分的に観ましたが、凄みがありますね
主役は高倉健とマイケル・ダグラスのはずなんですが。
> 妥協を許さない姿勢
最期まで役者としての生き方を貫きましたね。
> あのときのヴェスパが欲しい
みんなの憧れでした。
by いっぷく (2024-11-30 18:32)