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無免許運転・スピード違反

1.無免許運転の禁止

無免許運転には、運転免許を取得していない場合だけでなく、運転免許停止中や運転免許取消後・失効後に運転した場合も含まれます。2013年の道路交通法改正により、無免許運転を助長する車両提供者・同乗者に対する罰則も新設されました。

無免許運転をした場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法第117条の2の2)に処せられます。なお、交通反則金制度の適用はありません。

無免許運転に関しては、初犯であれば罰金刑となることがあります。しかし、前科がある場合や、無免許運転の頻度が高い場合などには、1年以内程度の実刑判決を受けることも多くあります。

なお、近時、「無免許運転をする恐れがある者に対して自動車やバイクを提供する行為」(車両提供罪)、「無免許の人に運転を要求若しくは依頼して同乗する行為」(要求・依頼同乗罪)が処罰の対象として新たに追加されました。

車両提供罪は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2の2第2号)、一方、要求・依頼同乗罪は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」(道路交通法第117条の3の2第1号)が科されます。

2.法定速度違反

道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路では政令で定める最高速度をこえる速度で走行した場合には6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金となります(道路交通法118条第1号、22条)。

スピード違反の場合は、無免許運転と異なり、交通反則金制度の適用があります。しかし、一般道で時速にして30km/h以上、高速道路で40km/h以上超過した場合は、反則金制度の適用がなく、刑事罰の対象となります。

3 Q&A

①免許自体は有効に取得しているが、携帯していない場合も無免許になりますか?

この場合は、免許不携帯となります。

免許の携帯義務は、道路交通法95条に定められています。

【道路交通法95条1項】
免許を受けた者は、自動車等を運転するときは、当該自動車等に係る免許証を携帯していなければならない。
これに対する罰則は、121条にあります。

【同121条】
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。

十  第95条(免許証の携帯及び提示義務)第一項又は第百七条の三(国際運転免許証等の携帯及び提示義務)前段の規定に違反した者

2項 過失により前項第9号の3又は第10号の罪を犯した者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。

うっかり携帯するのを忘れた場合でも、罰金・科料の制裁を受けることとなっています。

しかし、交通反則金制度の適用があるため、実際には3000円を反則金として支払うこととなっています。

②制限速度が60km/hだと思って50km/hで走行していたのですが、実際の制限速度は40km/hでした。この場合も速度違反になるのでしょうか?

速度超過の場合は、過失であったとしても(うっかり標識を見落とした場合等)でも、刑事罰の制裁が予定されています。

【道路交通法118条】
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。一  第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者

2項 過失により前項第1号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

ただし、事案の速度超過であれば、交通反則金制度の適用があります。

~無免許運転・スピード違反における弁護活動~

①無罪主張

スピード違反の容疑で検挙されてしまったが、警察官の速度測定に疑義がある、又は速度超過の覚えがないというような場合は、警察官の検挙の仕方に問題があったことや、速度測定器の誤作動や不備、操作不良があった可能性があることを具体的な根拠とともに示す必要があります。捜査機関による証拠が不十分である場合は、不起訴処分を得られる場合があるとともに、正式裁判で事実を争うことにより無罪判決の獲得を目指します。

②減刑(情状)の主張

交通違反事件の事実を認めている場合は、できる限り罰金や執行猶予付き判決などの軽い処分となるよう弁護活動を行うことになります。

人身事故ではないため、被害者の示談はありません。しかし、無免許運転や速度超過に陥った原因を特定し、例えば車を運転しない環境づくりや、反省をしている状況などを証拠化し、検察官や裁判官に提出することが必要となってきます。

③早期の身柄解放

一般に、無免許運転やスピード違反などの交通事犯では、在宅のまま取り調べなどが進み、略式手続きによって罰金処分が下されることになりますので、身柄を拘束されるような場合は、少ないといえます。しかし、違反の態様が悪質であったり、違反の程度が著しいような場合、また、出頭要請に従わないなど捜査に非協力的であったりした場合には、逮捕や勾留がなされる可能性もないとはいえません。

その場合でも、被疑者が反省しており逃亡したり証拠隠滅したりするおそれがないことを客観的な証拠に基づいて説得的に主張していきます。また、早期に釈放されることで、会社や学校を長期間休まずに済み、その後の社会復帰がスムーズに行いやすくすることができます。

④環境調整

重大事故を起こした場合や交通事故の前科がある場合は、運転免許を返納した上で車を売却する等の検討も視野に入ってきます。また、職場の近くに転居するなど車を使わなくても生活できるよう環境を調整していく必要があります。

環境調整のための様々なアドバイスを致します。

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