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公判の概要

1 公判とは?

公判とは、公開の法廷で行われる刑事裁判を言います。

公開の法廷で行われますので、傍聴人が被告人の後ろにいることになります。

なお、裁判の公開は憲法上の要請です。

2 公判手続きの流れ①

裁判が始まると、実質的な審理を行う前に、最初に形式的な手続きを行います。

これを冒頭手続きと言います。

①人定質問

まず、裁判官の前にいる被告人が、人違いではないかを確かめます。

この手続きを人定質問と呼びます。

具体的には、氏名・生年月日・住所・本籍(国籍)などを尋ねることとなります。

多くの方が本籍地を答えるときに戸惑ってしまいますが、そのような場合には裁判官が起訴状に記載されている本籍地を読み上げ、それで間違いないかを確認することとなります。

②起訴状朗読

次に、検察官が起訴状を読み上げます。

③黙秘権告知

その後、裁判官が黙秘権があることを告知します。

黙秘権とは、被告人に対する質問に対し、一切答えなくてもよいという権利です。

もちろん、答えたい質問にだけ答え、答えたくないものには答えないということもできます。

これに加え、裁判官からは、答えた内容は有利にも不利にも考慮されることを注意されます。

被告人質問の際の被告人の受け答えは、それそのものが裁判の証拠として利用されるため、有利不利を問わないのです。

④罪状認否

ここまでを踏まえて、裁判官から、まず被告人に対し、読み上げられた起訴状に間違いがないか確認されます。

これを罪状認否といいます。

次に、弁護人も同じように間違いがないかを聞かれます。

3 公判の流れ②

冒頭手続きが終わると、次は証拠調べ手続が始まります。

裁判員裁判ではない通常の事件の場合を想定して、流れを説明します。

①冒頭陳述

まず、検察官が証拠により証明しようとする事実を読み上げます。これを冒頭陳述と言います。

冒頭陳述の内容は、起訴状よりも詳しい犯行態様や、起訴状に記載されていなかった犯行に至る動機、被告人の性格等となります。

②証拠調べ手続

次に、検察官が証拠を提出します。

最初に書類や物が提出され、書類の内容が読み上げられたり、物が裁判官に提示されたりします。

次に、弁護人が証拠を提出することとなります。

書面の証拠調べが終わると、証人が呼ばれ、証人尋問が行われます。

ただ、被告人が罪を認めている事件で検察官が証人を請求することはまれで、多くは弁護人が請求することになります。

③論告・求刑

証拠調べが終わると、検察官が事件に対する見方などを説明します。

これが論告です。

そして、論告の最後には、被告人に科すべき刑を述べることとなっています。

④最終弁論・意見陳述

そして、弁護側も事件に対する見方を説明します。

被告人が罪を認めている事件であっても、被告人に有利な事情を述べ、少しでも処分が軽くなるように意見を述べることとなります。

弁護人が意見を言い終わると、最後に被告人自身が発言する機会を与えられ、事件に対する意見を述べます。

被告人が罪を認めている事件の場合、ここまでを1回の裁判で終わらせます。

時間としては40分程度になることが多いです。

もちろん、被告人が争っている場合や、認めていても事件が複数個ある場合などには、複数回の裁判が開かれることとなります。

4 公判の流れ③

最後に行われるのは、判決言渡しです。

判決言渡しは、被告人が意見陳述をした日とは別の日に行われます。

判決言渡しの日には、判決を言い渡した後、14日以内に控訴できる旨を伝え、そのまま裁判が終了となります。

5 公判手続きの特則~即決裁判手続~

以上が通常の裁判の流れなのですが、これとは異なり特別のルールで裁判を行う可能性があります。

それが即決裁判手続です。

即決裁判手続は、検察官が起訴状を提出する際に、即決裁判の申立を行うことにより開始します。

即決裁判をするための条件は

  1. 軽微な犯罪であること
  2. 事案自体も軽微で明白であること
  3. 証拠調べが速やかに終了すること
  4. 被疑者の同意があることです。

また、即決裁判の公判を行うためには、必ず弁護士がつけなければなりません。

即決裁判手続を行うメリットとしては、必ず執行猶予付き判決となることです。

また、判決言渡しは、裁判を行ったその日になります。

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