クリエイターインタビュー後編|バチコ(グラフィックデザイナー)
「『スキ』をとにかく積む!そういうことが、大切だと思います。」
イラストでもデザインでも、幅広く活躍しているバチコさん。「関東に行けば仕事がもっとたくさんあるのに」と言われても、宮城で働き続ける理由や、クリエイティブ業を志す若者へエールの言葉をいただきました。
―宮城という”地元”に残って働き続けている明確な理由はありますか。
「関東に行けばもっと仕事がたくさんあるのに」という言葉はたくさん聞きました。しかし、近くに住む家族や友人の存在が大きくて。離れたくない、と思いましたし、純粋に宮城・仙台が住みやすい土地なんですよね。
それと、「地方でもおもしろいことは実現できる」ということを体現したいんです。自分の活動を通して、示していけたら。
たとえばJOURNAL STANDARD というブランドと、もともとご縁があったこともあり、そのブランドの運営会社主催のBAYCREW’S FESTIVALという全国各地を回るフェスでもコラボさせていただいたこともあります。他にも、宮城県以外の企業とのコラボ案件は多いですね。
―そんな宮城・仙台に望むことは?
おもしろいことをされている方はたくさんいらっしゃるのに、その方々を支援する事業はあるもののクリエイター・アーティスト自身がその事業の存在に辿りついていないことが多いように感じます。支援事業とクリエイターたちをつなぐために「情報の整理」としてデザインの力が加わるとより良くなるのでは、と思います。具体的には、そういった情報の掲載されたホームページやSNSを見やすくするとか、そういうことです。
―昨今のコロナウイルス蔓延で起きた変化や、感じたことはありますか。
単純に仕事の数が減ったのは大きな変化ですね。だからこそ、今後は”企画を生み出す力”がより必要になってくるのかなと思います。
―企画を生み出す力は確かに必要になってきますね。現実的な話、バチコさんは今後も「手を動かしてものをつくる」側でありたいと思っていますか。それとも「企画を生み出す」ディレクターやプランナーとしての動きも視野に入れていますか。
今までは完全に手を動かす側でありたいと思っていました。しかし、今後のことなどを踏まえると、ディレクターやプランナー側の立場にもなれたらいいな、と思い描いてはいます。
ーどんな企画をされてみたいですか。具体的な構想があれば。
きっこうちゃん関連で言えば、大きな立体物を作って展示することです。
現代アーティスト・カウズの巨大な彫刻プロジェクト「カウズ:ホリデイ(KAWS:HOLIDAY)」のような感じで。
単純に大きいものってかっこいいし面白いなと思っているので。
―ところで、最近はインターネットや技術の発達が著しいこともあって、クリエイティブ関係の道へ進もうとする若い世代が多いですね。
そうですね。
―SNSで発信しやすくなった分、そういった世代にも発表のチャンスが多くなりましたが、「”いいね”の数が少ない。”いいね”が少ないから自分はダメ」と悩む若者が多いそうです。バチコさんの学生時代には少なかった感覚だと思うのですが、どのようにお考えになりますか?
そんなお悩みを今の若い世代は抱えているんですね!私自身、そこまで極端にSNSの”いいね”獲得数が多いわけではないのですが、気にしなくていいと思います、本当に。私も、SNSに掲載していないお仕事の方が多いですし。
SNSで”いいね”が多いのにそこまで数が売れなかったものや、反応が少なかったにも関わらず、大きな売り上げに繋がったケースもありました。そのあたりは読めないことの方が多いんです。”いいね”が全てではありません。
―そんなバチコさんの学生時代の経験の中で、今の職業に繋がったことはありますか。
今はあまり通わなくなってしまいましたが、友人がDJを回す時にはクラブハウスへ足を運んでいました。ライブペイントが行われるクラブイベントもありましたので、その様子を眺めるのも楽しみで。他にも、好きなお店のスタッフの方と仲良くなったことで今の仕事やクリエイティブに
繋がることもありました。
―悩める若い世代へ、アドバイスやエールをお願いします。
とにかく、遊んでおきましょう!技術は後からついてくるところも多いですし、まずは色んなところに足を運ぶなどして人脈を広げておくことですね。「スキ」をとにかく積む!そういうことが、大切だと思います。
バチコ(ペンネーム)
1993年生まれ。宮城県亘理町出身。仙台デザイン専門学校を卒業後、株式会社PILEに入社。グラフィックデザイナーとして様々な広告に携わる傍ら、きっこうちゃんを描いたりグッズを作ったり。
PILE:https://piledesign.jp
きっこうちゃん:https://www.instagram.com/kikkouchan/