ゴダール全評論・全発言〈2〉1967‐1985 (リュミエール叢書)
- 作者: ジャン=リュックゴダール,Jean‐Luc Godard,奥村昭夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/10
- メディア: 単行本
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2巻はもう映画評論なんか載ってなくて、おもに自作に関する文書とインタビューが収録されている。前半はジガ・ヴェルトフ集団時代のもので、フランスの映画産業の構造を批判したり、まぁ、真っ赤な感じで、熱い。後半はその真っ赤な熱が冷めて、というか挫折してて「映画で社会を動かそうとしてたけど、あれやっぱ上手くいかないわ」とか言っている。
1巻の感想はこちら。
個人的には2巻のほうが面白かったな。読みどころとしてはアメリカの映画批評家と公開対談の模様を収めたものがあって。オーディエンスの質問も、対談相手の質問もなんかのらりくらりとケムに巻いていく様子が良かった。まず、相手から指摘されたことに対して肯定することがない。
一番面白いのは、ゴダールのオーダーでものすごい金出して作らせたカメラにまつわるもの。そのカメラを開発した技術者との対談なのだが、巨額の金を投じて製作したのに、ゴダールがまともに使ってくれなくて「あんたが欲しいって言ったから一生懸命作ったのにひどいじゃないか!」と恨みつらみをぶつけられる、というシロモノ。それに対して「いや、こういう技術的な問題があってさ」とまたのらりくらりと言い訳するゴダール。「そんな問題は解決されていたハズだ!」と畳み掛ける技術者。このやりとりが最高。ゴダール、ひどいな、と思いつつも、当時の撮影技術に関して勉強になる記述がいくつも含まれていたのが良かった。