『科学館日記』 - 新潟県立自然科学館 -スタッフコラム-

「赤身?白身?」

みなさん、こんにちは。だんだんと気温も低くなり、冬の気配が近づいてきましたね。

私は食べることが好きなのですが、冬になると食欲が増す気がします。寒さに負けないように脂肪を蓄えようとしているのでしょうか…。

そんな冬に旬を迎える食材は色々ありますが、その中でも特に私が好きなものは、冬魚の王様「ブリ」です!

佐渡沖で獲れる寒ブリは日本を代表する冬の味覚ですよね。

脂ののった寒ブリの身は綺麗な白い色をしていますが、実はこのブリ、マグロやカツオなどと同じ「赤身魚」なんです。

魚は身の色ではなく、色素タンパク質の量で赤身か白身か区別されます。

色素タンパク質とは、血液の中にあるヘモグロビンや筋肉の中にあるミオグロビンといった色のついたタンパク質のことです。色素タンパク質が100gあたり10mg以上あれば「赤身魚」なければ「白身魚」となります。

代表的な赤身魚のマグロやカツオは長距離を遊泳する回遊魚です。

長距離移動には莫大なエネルギーが必要になり、このエネルギーを生み出す酸素も不可欠です。ヘモグロビンやミオグロビンは酸素と結合しやすい性質をもつため、回遊魚にはこれらの色素タンパク質が多く、身も赤くなります。

ブリは北海道沿岸から東シナ海の間を遊泳する回遊魚です。

遊泳距離はマグロやカツオほど長くはなく身全体が赤くなることはありませんが、血合いの部分には色素タンパク質が多く含まれるので赤身魚に分類される、というわけです。

この逆で鮭は身が赤く見えますが、「白身魚」です。

鮭の餌となるエビやカニにはアスタキサンチンという赤い色素が含まれており、これにより身が赤く見えます。鮭の卵であるいくらが赤い色をしているのも同じ理由です。

夏から秋にかけて北の海で餌をたくさん食べて太ったブリは、その後産卵のために東シナ海へ南下します。

ブリの産卵期は2月~7月。産卵のために南下するブリがちょうど佐渡の近くを通るのがこれからの時期ということですね。

こんな話をしていたら、お腹がすいてきました。今日の夜は寒ブリを求めてお寿司を食べに行こうと思います。

皆さんもぜひ季節ごとの旬の食材を味わってみてくださいね!(おすすめのお寿司やさんがあったらこっそり教えてください✨)

コミュニケーター H

<参考>

・一般社団法人 大日本水産会 魚食普及推進センター, 赤身魚と白身魚の違い そして…青魚と赤魚とは??, https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/4923 (参照2024-10-10)

・農林水産省, サケは赤身の魚ですか、白身の魚ですか。, https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1203/03.html (参照2024-10-10)

・富山県農林水産総合技術センター 水産研究所,ブリの回遊生態を探る, https://taffrc.pref.toyama.jp/nsgc/suisan/webfile/t1_89c7ee777b50f6fa7a5a020f73ad02c6.pdf(参照2024-10-10)

・新潟県 水産海洋研究所 水産・研究情報,にいがたのさかな100選ブリ,2019年, https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/97347.pdf (参照2024-10-10)