太宰治は“いかにもお誂え向きの富士山を見ると、恥ずかしくなってしまう”という趣旨のことを書いていたはずです。そして霧で富士山が見えない日におばあさんが身振り手振りで懸命に説明してくれたことを“いい富士を見た”と称しています。富士登山競走では近過ぎてある意味見えない富士山(岩と土しか見えない富嶽一景)を、程よい距離で走りながら仰げるとは、こんな経験もなかなかできません。走っている時間以外でも何度も富士山と向き合い、色々な姿を目にして、自分との関係を確かめ合える機会になりました。
レース当日は絶好の天気にも恵まれ、憧れの富士山を間近で完璧に見ることができました。今年は冠雪が遅れに遅れたものの、数日前にようやく積もってくれたとのことです。この季節の富士山は、より立体的と言いますか、斜面や影が一層はっきりと見えます。その分更に気高さも感じるものに思えました。そしてあまりの大きさに(毎度ながら)とことん驚きます。
富士山が見えるのは主に河口湖エリアですが、その姿が見えない西湖の紅葉も夢のような世界です。静かな湖畔を何物にも邪魔されることも縛られることもなく走ることができ、富士五湖の魅力も一段と深く心に刻むことができました。
コースと応援を除く大会全体のテイストは大都会のマラソンのもの(ご当地感は希薄)ですので、好みは分かれると思います。東京マラソンや大阪マラソンを思い浮かべていただければ予想はつくかと思います。海外から参加される方にはこういう形の方が人気があるのかもしれません。沿道の声援に加え、ジャズや太鼓は嬉しいですね。エイドではシャインマスカットだけはしっかりいただき、上り坂の励みになりました(終盤桃ゼリーもあったっぽいですが、17km組との合流後の混雑で取れずでした……。)。
走りは、序盤の渋滞で3時間15分も危ないかというところから持ち直し、グロス3時間9分台、ネットで前半1時間36分0秒、後半1時間32分35秒と上げられたのでよかったです。35km以降は人の間を縫いながらも29分54秒で久々に30分を切れたのも手ごたえがありました。(154bpm, 184spm※, 1.20m, 4.9%, 6.2cm, 47.0%:53.0%, 248ms, マジックスピード3 ※途中106、139や150台、160台と明らかな誤計測が複数あり、それらを除くと190spmは超えています。)
行楽シーズンの河口湖観光はとても無理と判断しました(河口湖チーズケーキ・ガーデンさんには行けました!)が、富士登山競走でお世話になっている富士吉田では、北口本宮冨士浅間神社、新倉山浅間公園忠霊塔、御殿、パン屋さんに和菓子屋さん、定食屋さん、うどん屋さんなど、沢山巡れました。翌日は富士登山競走でお馴染みの馬返しまでゆっくり走って往復できましたし、時間と体力の許す限り富士山と過ごすことができました。自分だけの富嶽百景です。
富士山とこんなに長くつながりを持つことになるとは、少し前までは予想すらしませんでしたが、ご縁とは不思議なものです。今回参加された皆さんも、これまでとは違った、それぞれの富士山の姿を心の中に収めて帰路に就いたことと思います。
河口湖町の皆様、ここでしか体感できない素晴らしいコースを存分に走らせていただきありがとうございました!これからも富士山と河口湖町にしかない魅力を伝える大会を作っていって下さい!
三年続けて山頂コースに参加している富士登山競走。どこまでも真剣勝負の大会です。
エイドで名物は出なくとも幸せかつ穏やかな気持ちで終われる四万十川桜マラソン。四万十川ならではの空気を最大限活かしています。
大都会の大会にもかかわらずご当地色も出していてすごいと思ったのがさいたまマラソンです。スーパーアリーナでのフィニッシュも特別な経験です。
最強のご当地マラソンではないかと思うのがオホーツク網走マラソンです。いいから出てみてください。びっくりしますから。
続きのページには、コース上の絶景、富士吉田の思い出、大変な移動等々、思う存分詳しく書いています。長過ぎますが、一部だけでも伝わるものがあれば嬉しいです。
コメント、スター、↓のバナークリック、SNSなど何でもよいので反応をいただけますと、私が機織りに目覚めます。
次回予告は、“ラララ~ラララ、ラララ~胸騒ぎの腰つき”です。年内のフルはラストですが、マイカップ健康ジョギングになる予定です。
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